シンガポールは暑いです。って当たり前なんですが、バンコクが涼しかったのでちょっと応えます。でもまあほとんどは映画館にいるので、寒くてセーターを着て、膝掛けをしている状態です。そんな冬支度で見たインド映画4本、それぞれに違ったテイストで楽しめました。見た場所は、中心街にあるショウ・タワーのボンベイ・トーキーズです。
『俺たちゃ何てスーパー・クール(Kyaa Super Kool Hain Hum)』
これは、リテーシュ・デーシュムクとトゥシャール・カプールによる、チープなお笑いを盛り込んだバディ・コメディ。「スーパー」が抜けた前作もありましたね。今回も、売れないDJと俳優の卵に扮して、それぞれに美女を獲得するために奮闘します。面白かったのは、トゥシャールの役が俳優の卵ということで映画ネタのギャグがいっぱい出てくるのですが、すごく新しい作品が入れ込まれていたこと。『ラ・ワン』をパクった『ブラ・ワン』(ヒーローのコスチュームが、ボディ・スーツの上に銀色のブラジャー!をしているデザイン)とか、『シンガム』をパクった『チンガム』とかはまあヒットした作品なのでよくわかるのですが、何と、『エークター・タイガー』というギャグも。この8月15日に公開される作品なので、いつ頃脚本書いてたんだ?という感じです。オリジナルの方は、下にも書いたように『エーク・ター・タイガー(タイガーが1人いた)』なのですが、ここでは「エークター(女性名でもある)」という女性が出てきて、トゥシャールが「俺はタイガーだ」という仕掛け。いやー、大笑いでした。
あと、パグ犬が出てくるのですが、『タイガーが1人いた』にもやはりパグ犬が登場。インドもペットブームで、パグ犬が人気なのかも知れません。パグ犬に交尾のシーンをやらせてみたり(肝心の部分はアニメ画像でブロック)、ちょっときわどいセックス・ギャグが盛り込まれていたのも驚きでした。そうそう、DJの飼っているパグ犬が動物病院で種付けアルバイトをするのですが、そこではちゃんと『ドナー・ヴィッキー』(2,3ヶ月前にヒットした映画)のギャグが。いやはや、いくつ映画ギャグが出てきたことか、という感じでした。
『カクテル(Cocktail)』
監督はホーミー・アドジャーニヤー(もしかしたら、音引きが違っているかも)。これが2作目(デビュー作は2006年の『サイラスとして』)とは思えぬ、なかなか手だれた映画でした。お話はほぼ全編ロンドン。お調子者のプレイボーイ、ゴウタム(サイフ・アリー・カーン)は、ゴージャスな美女のヴェロニカ(ディーピカー・パードゥコーン)と同棲していますが、母親がロンドンに来ることになり、見合い話を避けるために急遽婚約者がいるということに。でも、奔放なヴェロニカではまずいことから、ヴェロニカと同居しているインドから出てきたばかりのミーラー(ディアナ・ペンティ)を婚約者だと偽ってしまいました。恋人同士の振りをしているうちに、惹かれ合っていくゴウタムとミーラー。するとヴェロニカにも変化が。一方、ミーラーは実は既婚者で、夫との問題を抱えていたのです....。
歌と踊りのシーンは、主人公たちが休暇で行くケープタウンでのシーンぐらいで、それもごく自然な入れ方でした。むしろ、主人公たちの複雑な心理を見せていく作品で、テイストとしてはまったくの欧米映画。主人公たちの演技もしっかりしていて、楽しめる作品ではあるのですが、インド映画好きとしてはフラストレーションが残りました。ディアナ・ペンティ(正確な音引き不明)はモデル出身でこれがデビュー作とのことですが、フリーダ・ピントを思わせる外見と、自然な演技で、とてもチャーミングでした。
『ワーセープルのギャング(Gangas of Wasseypur)』
アヌラーグ・カシャプ監督も、やっぱりこういう『ゴッドファーザー』ものを作りたかったのか~、というのがまず最初の感想。独立後、炭鉱の所有者となった有力者と、彼に父親を殺されたサルダール・カーン(マノージ・バージパーイー)との確執を描きます。サルダール・カーンが殺されたところで映画が終わるのですが、「有力者の方はどうなるの?」と思っていたら、何と第2部があるそうです。
その第2部で中心人物となるのが、サルダール・カーンの次男(ナワーズッディーン・シッディキー)で、今回見た第1部では最後30分ぐらいに出てきて強い印象を残します。さすが、『カハーニー/物語』のカーン警視。この人、風貌が特異で、出てくるだけで画面が締まります。小柄なことが難点ですが、かえってヒーロー然としてない方が印象的なキャラを作り出せるのかも知れません。第2部にも期待しましょう。
『タイガーが1人いた(Ek Tha Tiger)』
これが今回の目玉でした。結論から言うと、アクションはすごいものの、脚本がいまいち。インドとパキスタンとのエージェント合戦を描く作品で、タイガーと呼ばれるサルマーン・カーンは凄腕のエージェントながら、絶妙のダールが作れるなど料理の腕も一流。結婚したいのですが、いい相手に出会わなかったことと、「お仕事は何を?」と聞かれた時「スパイです」とは答えられないことから、いつもお見合いも不調に。そんな彼が今度命じられたのは、敵を始末するのではなく、敵に狙われているロンドン在住の科学者を監視すること。科学者の家に来るハウスキーパーのゾーヤー(カトリーナ・カイフ)に初めて恋心を抱くタイガーでしたが、その恋は....。
北イラク、ロンドン、イスタンブールなど、ロケはうまくて感心しました。料理の腕が殺しの腕と同じくらいあるスパイ、というのを最後まで生かし切ってくれると面白かったのですが...。前宣伝もすごかったものの、ヒットぶりは『肝っ玉男』には及ばないかも知れません。
ということで、インド映画で満腹のシンガポール。さて、あとは今いるクアラルンプル(1日だけ出張中)で何本か、マレーシア映画や中国語圏映画が見られると思います。今日は4時起きでしたが、がんばります!
『Ek Tha Tiger』いかがでしたか? ZeeとDDのギャグ、笑えました? こんなの、字幕だと訳せないよ~、です。結構アクションが激しかったですが、お子さん(おいくつですか?)大丈夫でした?
また感想など、そしてムンバイ生活のご様子など、投稿して下さいね。来年3月に行った時に会いたいな~~。