アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

卯年から辰年へ~今年も鋭意引き継ぎ中

2023-12-31 | 日常

今日は充実した大晦日でした。一昨日書いたように、川崎チネチッタに韓国映画『宝くじの不時着 一等当選くじが飛んでいきました』(2022)とインド映画『きっと、うまくいく』(2009)を見に行ったのですが、どちらも面白くて大満足。『宝くじ~』の方は公式サイトを見ていただければと思いますが、地味なキャストの割りにはどの人も役にハマっていて、特に主役の韓国軍兵士を演じたコ・ギョンピョ(なぜか大谷翔平選手を彷彿させる体型&顔立ちで、目元の感じがちょい違うのが残念な俳優さんでした)と、この兵士が飛ばしてしまって、南北の軍事境界線を越えてしまった宝くじ(正確に言うとロト6、香港では六合彩=ロクハプチョイと言われるアレ)を拾う北朝鮮兵士役のイ・イギョンが光ってました。あと懐かしい顔では、『達磨よ遊ぼう』(2001)などのリュ・スンスがとぼけた給水補給官役で登場していて、おお!でした。この給水組織は南北共用で、従って「JSA(Joint Supply Area)」と呼ばれている、と説明されるのですが、ホントかな? 本物の「JSA(Joint Security Area)」に引っかけたギャグですよね、きっと。後半になるほど客席から笑いが出ていた楽しい映画でしたが、エンドロールに入るところで出てくるワンシーン、あれは何?? 最後にどっかーん! と笑わせてくれるのかと思ったら、拍子抜けでした。

©Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009. All rights reserved.

『きっと、うまくいく』の方は、CINE12という488席もある大きなスクリーンだったのですが、6割方座席が埋まっていてびっくり。大晦日なのにこんなにたくさん見に来て下さる方があるなんて、と開始前に何度か場内を見回してしまいました。10年前には、字幕作業を終えて試写で見た後、シネマート新宿での公開時に大きなスクリーン1(定員333名)で2回見たのですが、それ以来の公開版です。この10年間ずっとDVDを見ていたので、そうか、公開版は漢字の「”強姦”」のままにしていたのか、と思い出しました。ソフト化した時に、劇場に来て下さる観客よりもさらに幅広い層の方が見るわけだから、と、ソフトな「”ゴーカン”」という字に直したのでした。憶えていらっしゃる方も多いと思いますが、ウガンダのインド人移民子弟として育った優等生チャトゥル(オーミー・ヴァイディヤ)が、「教師の日」のスピーチでウィルス学長(ボーマン・イーラーニー)にヨイショしようと学長を褒め称えるヒンディー語のスピーチを図書館員に代筆してもらうのですが、その中にあった「チャマトカール(奇跡)」という単語をランチョー(アーミル・カーン)が「バラートカール(強姦)」に置き換えたため、賞賛スピーチがとんでもないお下劣スピーチになる、という見どころシーンのくだりです。公開された2013年5月18日の頃は、インドでのレイプ事件の頻発が日本のニュースでも取り上げられていて、そんな時に「強姦」という言葉が出ると観客から批判が出てくるのでは、と公開前に配給の日活さんでいろいろ議論があったのでした。でも幸い、少数の批判はあったものの、映画全体の言おうとしていることを正確に受け止めて下さった方の方が断然多く、当時ヒットになったほか、長く愛される作品として、いろんな方が言及して下さる作品となりました。

©Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009. All rights reserved.

今日あらためて見てみて、こういう作品の字幕翻訳を担当させてもらえたのは、本当にラッキーだったなあ、としみじみ思いました。いい字幕になっているのは、私の力ではなく、最初の映画祭上映の時にいろいろ手を入れて下さった字幕制作会社アテネフランセ文化センタ-制作室のOさん、公開にあたっての字幕検討で手直し提案を山ほどして下さった日活の担当者お二人、そして、最後に監修者としてチェックして下さったいとうせいこうさんのおかげです。いとうさんは、例えば「スケベな妄想」を「エッチな妄想」に、「インポなの?」を「EDなの?」に直して下さったりしたほか、「Aal Izz Well」の訳「うまくいく」を「うまーくいーく」にして下さったりと、要所要所を締めて下さいました。なるほどなあ、まさにブラッシュアップだわ、と当時感心したものです。そんなこんなを思い出しながら、170分を楽しみました。今日来て下さった皆さんは、初見の方は少なかったのではと思いますが、それぞれたっぷりと楽しんでいただけたと思います。帰り際にちょっと挨拶して下さる方もあって、嬉しかったです。

さて、そんな映画体験から戻った我が家では、兎と龍がジャガンナート神三兄弟妹とガネーシャ神が見守る中、引き継ぎをやっていました。干支人形が複数あるのは、以前使ったのが捨てられないからで、龍の一番右は今年買ったもの、次の金色龍は2012年のもの、布団の上にいる龍は2000年のものです。左の兎2匹もそんな感じで、今年1年揃ってわが家を守ってくれたのですが、1年前はまだコロナ禍がどう終熄するのかがいまいち不安でした。でも、今回の引き継ぎでは、兎たちは安心してリタイアできそうですね。では、皆様の2024年がよいお年になりますように!

 

 


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