久々の展覧会ネタです。以前にもご紹介した小野佐世男の本格的な展覧会が、今秋岡本太郎美術館で開催されます。題して、「小野佐世男-モガ・オン・パレード」。「モガ」とはご存じのように「モダン・ガール」の略で、つまりはきれーなお姉さんがたの魅惑的な絵がいっぱいの展覧会です。
小野佐世男(1905-1954)は、1930年代から戦後にかけて活躍した、画家であり漫画家でした。詳しくはこちらの美術館公式サイトをご覧いただければと思いますが、そこにもあるように、「小野は、時代の風に関わりなく、飄々と闊達に生きていくことの大切さを、モガとしての女性像に仮託して描き続けたように思われます」というわけで、単なる美人画、風俗画以上の迫力を持つ作品が並んでいます。美術展の詳細は以下の通りです。
会期:2012年10月20日(土)~2013年1月14日(月・祝)
場所:川崎市岡本太郎美術館 地図(少々不便な所なので、ご確認の上いらして下さい)
214-0032 川崎市多摩区枡形7-1-5
TEL:044-900-9898
料金:一般900円/高大学生・65歳以上700円/中学生以下 無料
※本料金で常設展もご覧いただけます
休館日:月曜日(12月24日および1月14日を除く) 、12月25日(火)、年末年始(12月29日~1月3日)
主催:川崎市岡本太郎美術館、小野佐世男展実行委員会
協力:若山美術館、漫画資料室MORI、株式会社ショウエイ
実は小野佐世男は、友人の映画&漫画評論家である小野耕世さんのお父さん、という入り方で知ったのですが、日本における画家・漫画家としての活動を知る前に、戦争中インドネシアに滞在していた文化人の1人として認識したのが最初の出会いでした。太平洋戦争中、画家や作家、映画人など多くの人々がアジア各国に派遣されますが、小野佐世男は1943年3月ジャワ島に派遣され、敗戦までそこに駐留したのでした。
ちょうど展覧会に合わせたように、「小野佐世男:ジャワ従軍画譜」が編集復刻されて、龍渓書舎から出版されます。お値段が25,000円+税と少々お高いので、ご覧になりたい方はお近くの図書館等に購入をリクエストしてみて下さい。本のパンフレットはこちらです。
また、展覧会のカタログと思われる「モガ・オン・パレード--小野佐世男とその時代」も間もなく岩波書店から出版の予定で、現在amazonで予約受付中。この秋、ちょっとした小野佐世男旋風が、生田緑地を中心に吹き荒れるかも。それに乗って飛ばされるのも楽しそうな、魅力的な展覧会です。期間中にはトークイベントなども予定されていますので、ぜひ美術館の公式サイトをチェックしてみて下さいね。
モガ・オン・パレード――小野佐世男とその時代 | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店
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「ジャワ従軍画譜」の方は、京大の東南アジア研究所が出している「東南アジア研究」のある論文にその一部が抜粋されているのを見て以来、ずっと気になってました。日本敗戦直前にジャワで出版された、正に幻の本だったようです。復刻大歓迎なのですが、しかし龍渓書舎の本はいつもいつも高価なものばかりで、個人では購入するにはためらわれてしまうのが難点です。
展覧会のご報告をお待ちしております。
そうなんですよ、個人で買うには高価すぎます。どこか図書館で入れてくれるのを待つしかないですね。そう思って、小野耕世さんから本の紹介パンフをもらい、インドネシア関係の大学の先生方に送りつけたりしています。さて、いつどこで見られるやら。
今年のTIFFには、ガリン・ヌグロホ、リリ・リザ、ミラ・レスマナ、エドウィンといったインドネシア映画人が来日するようです。インドネシア映画好きの方には忙しい1週間になりそうですね。
http://togetter.com/li/322947