友人で、亜細亜大学国際関係学部教授の小磯千尋さんが送ってくれた雑誌「vesta」No.125は、「世界の豆文化」特集でした。「vesta」は公益財団法人味の素食の文化センターという機関が編集・発行している季刊誌で、「vesta」というのは古代ローマの神話に登場する「かまどの女神」なのだとか。むむ、荒神様みたいなものかしらん、とこちらのwikiを見てみたら、かまどだけでなく家、家庭全体を守る女神様のようでした。荒神様、と言っても、いまどきの皆さんはご存じないと思いますが、時代小説にはたまに出てくる神格名で、宝塚市の「清荒神(きよしこうじん/ありゃ、”きよすこうじん”だと思ってた)」のように地名・駅名として残っている所もありますね。私の小さい頃は父親の実家に行くと、竈の煙突に荒神さんのお札が貼ってありましたっけ。と脱線してしまいましたが、荒神様について知りたい方は、これもwikiがありますので見てみて下さいね。
これが「vesta」の表紙ですが、コンテンツ一覧はこちらをご覧下さい。小磯さんはこの特集のアドバイザーとして、全体の統括と、それから「豆消費大国インド」の部分を担当しています。また、「食べ歩くインド」(2巻本/旅行人)などの著作で知られる小林真樹さんも「インド豆料理探訪」という記事を寄稿していますし、さらにインドの農業に詳しい中西泉さんも「マディヤ・プラデーシュ州における大豆増産プロジェクトの思い出」という文を寄稿しています。インド以外では、日本はもちろんイスラエルやペルー、アフリカ大陸などの豆のお話が掲載されているのですが、いずれも面白く、ものすごく勉強にもなります。ぜひ1冊お手元に置いて、豆ライフを楽しんでいただきたいと思います。ご購入はこちらからどうぞ。下は機内食ですが、インドの豆のカレーもおいしいですよね~。
インドの豆食シーンは本当に多岐にわたり、それはインド人の移民先でも展開されている、という証拠写真を1枚付けておきます。下の写真はシンガポールの街頭でのチャナー売りのおじさんです。15年程前の写真なので、今では姿を消しているのでは、と思いますが、インドと同じく紙の細長い円錐形の袋に入れて渡してくれます。こういう豆売りを見るたびに、『ラジュー出世する』(1992)の中でジュヒー・チャーウラーがシャー・ルク・カーンに言う「チャナー・カーオー(お豆を食べなさいよ)」というセリフを思い出します。就職試験の結果を早く聞きたいのに、ひよこ豆でじらされるかわいそうなラジュー...。
こんな「豆の思い出」を書いているとなかなか肝心の動画に行き着きませんので、一足飛びに動画をご紹介。ショート・ヴァージョン(1分)とロング・ヴァージョン(12分16秒)がありますので、お好きな方をどうぞ。
【みるvesta~食文化の世界~】『vesta』特集「世界の豆食文化」ショートバージョン
【みるvesta~食文化の世界~】『vesta』特集「世界の豆食文化」ロングバージョン
イスラエルの豆料理「フムス」は、ペーストとして普通の西洋料理に付いてくることもあり、ある時カフェのランチで食べたものがとてもおいしくて、「ひよこ豆のペーストです」と言われてびっくり。早速ネットに載っていたレシピを見て、ひよこ豆をゆでてオリーブと一緒にフードプロセッサーにかけ、作ってみたことがあります。今回の「vesta」でフムスの背景をいろいろ知って、「MAKE HUMMS NOT WALLS(壁ではなくフムスを作ろう)」というスローガンに目が覚める思いでした(ちゃんと脚韻踏んでるし素晴らしい!)。今のウクライナ情勢で言えば、「交わすのは砲弾ではない、クワスのジョッキだ(EXCHANGE KVASS MUGS NOT CANNON BALLS)」というところでしょうか。和平交渉の進展を祈っています。