アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

インド映画@「映画の授業」

2011-04-19 | インド映画

前回『下女』の上映があるとお知らせした、アテネ・フランセ文化センターの「映画の授業」ですが、インド映画の上映もあります。グル・ダット監督・主演作の『紙の花』 (1959)です。

日本では、下にカタログ表紙をアップした<インド映画の奇跡:グル・ダットの全貌>(2001年/国際交流基金アジアセンター アジア映画監督シリーズ9)ほかすでに何度も上映されたり、DVDにもなっているので、見ておられる方も多いと思います。でも、グル・ダットの3作品が入ったDVDボックスの『紙の花』は、前に書いたようにシネスコサイズに近い状態にはなっているものの、完璧ではありません。やっぱりプリントで見なくっちゃあ、です。今回はプリント上映なので、インド初のシネマスコープ作品がオリジナルの状態で楽しめます。

 上の写真のうち、右側の裏表紙が『紙の花』からの場面となっています(左側の表紙写真は、『渇き』(1957)のグル・ダットとワヒーダー・ラフマーン)。人気映画監督が、妻との離婚を考えていた時に新作のヒロインそのものの娘を発見、彼女が女優として成長していくと共に2人は互いに惹かれあってしまう....という『紙の花』は、当時のインド映画界を知る上でも貴重な作品になっています。

一番印象的な歌のシーン、「時がした残酷な仕打ち」がこちらで見られます。歌っているのはグル・ダットの妻である歌手ギーター・ダット。実はグル・ダットは、ギーターという美しい妻や子供たちがありながら、ワヒーダー・ラフマーンに惹かれてしまうという、『紙の花』さながらの人生を辿るのですね。そんな彼の生き方が二重写しになる作品でもあります。

劇中では、FTIIの紹介記事で触れたクレーンにもお目にかかれます(笑)。そのクレーンが出てくるシーン、ワヒーダー・ラフマーン演じる娘がスタジオに迷い込んでしまい、クレーンに乗った監督グル・ダットと出会うシーンが、私はとても好きです。ポカンとしている監督を促す、カメラマンの「ボ~ス?」というセリフもすごく好き! ついでに、そのウィンクも粋ですね~。

字幕は次良丸章さん。グル・ダットへの愛のこもった名翻訳で楽しんで下さい。上映スケジュールは次の通りです。 

「映画の授業」@アテネ・フランセ文化センター

 『紙の花』 5月28日(土) 15:00- / 5月31日(火) 18:00-

 場所・問い合わせ:アテネ・フランセ文化センター TEL:03-3291-4339(13:00-20:00)

両日とも、前回ご紹介した『下女』とのカップリング上映になってるんですね。アジア映画ファンには嬉しい組み合わせ、さすがアテネさん! 国際交流基金アジアセンターの<アジア映画監督シリーズ>がよみがえったようです。同時代のアジア映画の巨匠による2作品、ぜひ見比べてみて下さい。

 

 


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