アジア映画巡礼

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5月12日(金)公開『ブラフマーストラ』はインドの『ハリポタ』?<その1>

2023-03-20 | インド映画

2022年は『RRR』が席巻したインド映画@日本。2023年に入っても先日のアカデミー賞主題歌賞(歌曲賞)受賞で、ますます人気が高まる『RRR』ですが、さて、2023年は? 『エンドロールのつづき』が高評価を得て、『バンバン!』がマニアックな人気を獲得したあとは、何が日本のファンの心をつかむのでしょうか? その候補の1つが、5月12日(金)から公開となる『ブラフマーストラ』です。このボリウッド映画は、昨年のヒンディー語映画の中で興収トップだった大ヒット作。ヒットした理由の分析はまた後日に譲るとして、まずはざっくりと作品の紹介をしてみましょう。

© Star India Private Limited.

『ブラフマーストラ』 公式サイト
 2022年/インド/ヒンディー語/167分/原題:Brahmastra Part One: Shiva
 監督・脚本:アヤーン・ムカルジー
 出演:ランビール・カプール、アーリヤー・バット、アミターブ・バッチャン、シャー・ルク・カーン、モウニー・ロイ、ナーガールジュナ・アッキネーニ
 提供:ツイン、Hulu
 配給:ツイン
5月12日(金)より新宿ピカデリーほかロードショー

© Star India Private Limited.

「ブラフマーストラ」とは、「ブラフマー(ブラフマ神)」+「アストラ(武器)」の意味です。冒頭にアニメーションにより、古代インドで最強の武器と言われる「ブラフマーストラ」が誕生し、それらの武器から世界を守るために賢者たちの組織「ブラフマーンシュ」が成立したことが語られます。そして現代、一瞬本作の主人公シヴァ(ランビール・カプール)が登場した後、舞台はデリーにある科学者モハン・バルガブ(表記はモーハン・バールガウとかの方がいいと思うんですが.../シャー・ルク・カーン)の近代的な自宅に転じます。実はブラフマーストラはさる経緯から3つの欠片に分かれてしまっており、その1つをモーハンが守っていたのでした。そう、「ブラフマーンシュ」は現代にまで脈々と受け継がれ、モーハンはその1人だったのです。この欠片を狙って、闇の世界からジュヌーン(モウニー・ロイ)とその配下通称”ラフタール(意味はスピード)”と”ゾール(意味はパワー)”という男たちがモーハンを襲います。闘いの末、欠片はジュヌーンに奪われ、モーハンは命を落とすことに。

そのすべてに、遠く離れたムンバイにいるシヴァは激しく反応していました。ちょうどダシャラ祭で、ロンドンから帰省していたイーシャ(表記はイーシャーかイシャーの方がいいと思うのですが.../アーリヤー・バット)の裕福な父が設けたドゥルガー女神の祭壇前でイーシャーに会い、一目惚れしたシヴァだったのですが、頭の中に湧き出てくるモーハン襲撃のヴィジョンに苦しめられます。孤児として育ったシヴァは、1歳の時亡くなった母の形見のシャンク(ホラ貝)しか自分の来し方を知るよすがはなかったのですが、どうやら立ち現れるヴィジョンは彼の過去とも関係があるようでした。やがて2人は、不思議な力に導かれ、ベナレス在住の科学者アニッシュ・シェティ(表記はアニーシュ・シェティの方がいいと思うんですが...←しつこい)のもとへ。アニーシュもまたジュヌーンらに襲われるのですが、やがてその経緯から、シヴァとイーシャーはブラフマーンシュのグル(アミターブ・バッチャン)の存在を知り、彼の元へと導かれます...。

© Star India Private Limited.

インドは神話に満ちあふれた国、というのは皆さんご存じだと思いますが、そのどれもがいろんな形でファンタジーの宝庫になりうるんですね。『ブラフマーストラ』はそれらの神話をうまーくファンタジーに溶かし込み、最新CG&VFXを駆使して観客の目の前に繰り広げて見せる、ハリウッドのマーベルものにも匹敵する作品です。サンスクリット語が元になっているカタカナ語が山と出てくるので、よくわからない言葉に脳がぐるぐるすると思いますが(笑)、そのうち解説付きの公式サイトも整備されると思いますので、最初は「わけわからん」で見ていただき、二度目に「おお、これがこれとつながるのか」と納得していただけるとより楽しめると思います。私も最初は字幕なしで見て「???」だったのですが、今回日本語字幕付きの試写を見せていただいて、なにがしかこの映画の構成がわかったような気がします。それにしても、日本語字幕翻訳をなさった方は大変だったことでしょう。上に書いたように、ちょっと直していただけたら、と思う点がポチポチあるので、あとで配給のツインさんにお願いしておこうと思います。

Brahmastra Teaser.jpeg

最初見た時は、公開時のインパクトも含めて、「これはインドにおける『ハリポタ』だったのでは?」と思ったのですが、インドでこれまで作られてきた神話映画には、CG時代に入って”気”というか”パワー”というか、目に見えない力を具現化する表現もよく出てきた中で、これはもう大盤振る舞いのてんこ盛り、という作品です。『ハリー・ポッター』の第1作は2001年の公開ですが、すでに『スター・ウォーズ』(1977)のフォースのような表現はあったものの、あの不思議感がみんなを虜にしたように、インドでも『ブラフマーストラ』が観客を虜にしたであろうことは、想像に難くありません。今回拝見してもう一つ思ったのは、主人公を演じるランビール・カプールとアーリヤー・バットの恋人同士ぶりが、もう見ているこちらにぐんぐん迫ってくることで、それも実際の二人の恋物語を知ると「う~ん、納得ぅ~」と思ってしまうんですね。そのあたりはまたおいおいお話するとして、まずは予告編で『ブラフマーストラ』の概要をつかんで下さいね。

『ブラフマーストラ 』本予告

 

おっと、シャー・ルク・カーンのファンの皆様、「シャー様が出てこない!」と怒らないで下さいね。本編では、カメオ出演とは思えないぐらい、たっぷりと顔を拝ませてくれて、結構なアクションも見せてくれます。ぜひぜひご期待下さい!

 


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