コルカタの地下鉄、一体どこが開通しているのやら、あちこち調べてもよくわかりません。確実なのは、一番最初に開通し、延伸を重ねて北はダムダム空港の先まで行っており、南は「カヴィ・スバーシュ(詩人スバーシュ。今回地名はみんなヒンディー語読みです)」という駅まで走っているブルーライン。このブルーラインは、泊まっているホテルからも徒歩圏内にマイダーン駅があることから、昨日ちょこっと乗ったのに続き、南の方へ乗って行ってみることにしました。コルカタの映画製作中心地だったトリガンジという地区があるのですが、そこの最寄り駅が今改名されて、「マハー・ナーヤク・ウッタム・クマール(偉大な俳優ウッタム・クマール)」になっているのです。これは、映画ファンなら行ってみなくちゃあ。
で、行ってみたら、この駅の直前に地下鉄から脱して高架鉄になるという駅でした。ラッキー! とりあえずスタジオをちょっとチェックしてから、あとで高架鉄ちゃんの喜びに浸ろう。まずは駅のホームにいっぱいディスプレイしてあるウッタム・クマール(1926-80)の写真をいろいろご覧下さい。
駅舎の入り口にも大きなパネル写真が。左はウッタム・クマールとのペアで秀作をいろいろ世に出した女優スチトラ・セーン(1931-2014)とのツーショットです。
日本では、ウッタム・クマールを知っている人はほとんどいないと思いますが、一昨年2023年1月に国立映画アーカイブで、サタジット・レイ監督作で彼が主演した『主人公』(1966)が上映されたのをご覧になった方もいらっしゃるのでは、と思います。その時のブログ記事で、ウッタム・クマールのことは紹介していますので、詳しくはこちらをどうぞ。彼の他に、ベンガル出身の俳優はたくさんいるのですが、そのうちの多くがボンベイのヒンディー語映画界に行ってしまい、ベンガル語映画の俳優とは言えないため、それで彼がよけいに評価されるのでしょう。ウッタム・クマールもヒンディー語映画に出てはいますが、最後までコルカタを活動の中心にしていたのでした。
さて、駅を出て道路の反対側に渡り、通り過ぎようとしたお店の前で目に入ったのは、紅茶ロプチューの小さなピンクパッケージ。え、こんなのがあったの! 100g入りで295ルピー(約500円)。いつももっと大きなのをムンバイのPKワインストアに行って買い、おみやげにしていたので、もらった方が持て余さないかな、と思いつつ差し上げていたのでした。ああ、これから飛行機に乗るのでなければ、10パックぐらい買いたかった..。父子でやってらっしゃるお店だそうで、息子さんはまだ修行中のよう。仲のいい親子でほっこりしました。ロプチューの赤箱、おいしいですよー。ぜひお試し下さい。
そこからちょっと歩くと、コルカタ映画界の歴史ではいつも登場するインドラプリー・スタジオが。現在も撮影に使われているらしく、ガードマンの人から「写真はダメだよ」と言われました。他にもスタジオがある、と言うので、教えられた方向に行ってみたのですが、州政府のスタジオがあったのみ。
門扉から中が見えるので、撮影中らしき様子がうかがえます。そしたらまたガードマンが来て、「撮影は禁止です。外からでもダメ」ということで、あえなく退散。ほかにもある、とのことでしたが、ちょっと見つかりませんでした。
そのかわり、面白い乗り物を見つけました。オートリキシャの前部がバイクにとって変わられている乗り物で、「初めて見たわ。何て言うの?」と聞いたら「tututu discar」だとおしえてくれました。近くに別のも停まっていたので、そちらもパチリさせてもらいました。
うーん、北インドは昨年のデリーと言い、いろんな乗り物を生み出しますね。で、私はサイクルリキシャに乗せてもらって駅まで。tututuのお兄さんに、「リキシャだと駅までいくらかな?」と聞いたら「25ルピーで行くよ」とのことだったので、値段交渉もなくて楽でした。サイクルリキシャに乗ったのも、久しぶりです。
駅でコーヒーを飲もうとしたら、またそこにいた40がらみのなかなかダンディなおじさんがかまってくれ、どこでもおじさんたちが私を気にしてくれるようです。自分の母親みたいな年だから、心配になるのかしら? コルカタはコーヒーも素焼きの容器で出してくれました。ミルクが温めてあって、そこにインスタント・コーヒーと砂糖を入れ、高度差攪拌をしてくれます。これで12ルピー。コルカタの物価は切りがいいの反対で端数のある値段が付けられていることが多く、地下鉄の料金も15ルピーとかになっていてちょっと謎です。乗車距離を厳密に計算しているのかしら?
で、高架鉄の方は気持ちがよくて写真を撮り忘れ、終点の「カヴィ・スバーシュ」についてまた戻ろうとしたら、切符売り場前のセキュリティのところで、またおじさんからお声が。次にどこへ行こうか、と迷って地図を見ていたのを見つけ、軍人さんが心配になって声がけしてくれたようです。いろんな話をして、今度は北のハウラー橋の所まで行って見ることに決め、切符を買って戻ってくるとその人が、「えーと、年はいくつなの?」と聞いてきます。「76歳よ。あなたのお母様よりずっと上でしょ?」「あ、うちの母は72歳なんだ。やっぱりそれぐらいなのか」と妙に納得。普通は荷物を持っていると後ろのセキュリティー機器を通さないといけないんですが、後ろの係官の人も「いいよ、やらなくて。通って」というゼスチャーをしてくれるなど、親切な皆さんなのでした。
方ラー橋周辺はものすごい下町で、地図をみるとすぐ近くがカレッジストリートの本屋街だったため、40年ぶりぐらいで行ってみることに。全然変わっていない感じでした。
とまあちょこちょことコルカタ観光もしつつ、楽しんでいますが、この通りは路面電車もまだ走っていて、コルカタらしい風景が撮れます。いらした時にはぜひどうぞ。