アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

Cinem@rt MAGAZINE「アジアンスイーツ×カルチャーのいい関係」

2020-10-12 | インド文化

いつもお世話になっている映画館シネマート新宿の母体、Cinem@rtが発行しているwebマガジンがあります。そこにこのたび、「アジアンスイーツ×カルチャーのいい関係」ということで、インドのスイーツ「グラーブ・ジャームン(Gulab Jamun)」と塩辛系の「ナムキーン(Namkeen)」について書かせていただきました。記事はこちらです。インド映画や俳優と関連させて、というご指定で、大枠を編集部の方が決めて下さって依頼が来たのですが、『SAAHO/サーホー』(2019)や『ガリーボーイ』(2019)、シャー・ルク・カーンにも触れたりしながらの、なかなか楽しいお仕事でした。

上の写真は、ムンバイの下町のお菓子屋さんのショーウインドーですが、一番下段の右側、茶色のお団子で蜜に漬かっているのが「グラーブ・ジャームン」です。昔は間違えて、「グラーブ・ジャムーン」と憶えていた私ですが、結構後になって間違いを指摘され、以後は正しく「グラーブ・ジャームン」と書いています。ヒンディー語の辞書によると、「グラーブ・ジャームン」はフトモモ科の小木フトモモのこと、あるいはその実を呼ぶ名前だそうで、このお菓子がその実に似ているので、こう命名されたのだとか。インドでは昔、砂糖は高価で、従って砂糖がたくさん使われているほどリッチで贅沢、というわけで、インドのスイーツはおおむねとっても甘いのですが、「グラーブ・ジャームン」も蜜が非常に甘く、揚げ団子という製法による油脂分とあいまって、1個食べると2個目には手が出ない(!)スイーツです。上の写真の下段左は「ラスグッラー(Rasgulla)」と言って、材料はちょっと違うのですが、揚げないバージョンの「グラーブ・ジャームン」という感じで、これならまあ2個目ぐらいまでは行けます。昔は結婚式に呼ばれたりすると、この種の「蜜にどっぷり」スイーツを7、8個食べさせられるので、ちょっとげんなりしてたのですが、今は多分ヘルシー志向で、上写真の上段にあるような洋風ケーキが多くなっているのでは、と思います。

中段は、左がマハーラーシュトラ州名物のスイーツ「シュリーカンド(Shrikhand)」(上写真)、右は「バターミルク」かなあ(試食しなかったのです、残念)。「シュリーカンド」はヨーグルトの水分を絞ったもので、日本でも簡単に作れます。さらし布の袋を用意し、ヨーグルトをそこにあけて1晩つるしておけば、水分が絞れてクリーム状になります。そこにお砂糖を混ぜ、時にはカシューナッツやアーモンドも入れて、サフランで色づけすれば出来上がり。インド風にするコツは、砂糖をどばっと入れることですね。この店のはあまりしつこくありませんでしたが、1980・90年代にムンバイの安食堂で食べた「シュリーカンド」は、も~のすごく甘かったです。

インドは牛乳がとてもおいしいので、ヨーグルトはもちろん、アイスクリームもとっても美味です。友人の家で20㎝四方ぐらいの容器入りアイスが冷凍庫から複数出てきて、「チョコがいい? それともストロベリー? バニラもあるわよ」とか言われた日には、誘惑に勝てません。昔、来日した女優ワヒーダー・ラフマーンに付き添ってきた娘さん(もう中年の方だった)が、日本の抹茶アイスがことのほか気に入り、毎日ホテルに帰る途中コンビニで買っていましたが、今ならグリーンティー・アイスクリームもインドの冷凍庫に仲間入りしているかも知れませんね。

インド式アイスクリームもあり、「クルフィー(Kulfi)」と呼びます。伝統的な形は、筒に入れて凍らせるもので、上写真左のような形で出てきます。これは、プネーのカフェで撮った写真です。また、円形の容器に入れて固めてある店もあり、そこでは下のような形でサーブされます。

パラフィン紙みたいな紙に包んであって、こんな風に切り分けて供してくれます。西洋風のアイスクリームとは違う、凍った牛乳のジャリジャリした感じがこれまたおいしいです。ムンバイのメトロという映画館の隣にあるレストランでは、メニューの名前は忘れたのですが、なんたらかんたらクルフィーというのがあって、どんなのかな、と思って注文してみたら、こんな派手派手しいのがやってきました。各種ナッツのスライスや、セワイーらしきヌードルなど、トッピングがいっぱい乗っています。お味は...シンプルなものの方がおいしかった、とちょっぴり後悔しました。

ほかにも牛乳で作るおいしいスイーツはいっぱいあり、というか、インドの伝統的スイーツは牛乳から作る物がほとんどなのですが、その中でも私の好きなのは「フィールニー(Phirni)」ですね。いわばミルクがゆを冷まして固めたもので、私がよく行くムンバイのグラントロードにあるお茶屋さんのは絶品です。素焼きのお皿に入っており、このまま買って帰ることもできます。

ニューデリーの地下鉄の駅ムールチャンドの高架下には、コーヒーショップと共に2、3軒食堂が入っていて、その中の1軒でもラッシーとフィールニーをいただきました。ここはフィールニーはそれほどでもなかったのですが、ラッシーが超絶美味で、おかわりしました。今もあるのかなあ、あの店。ああ、デリーに行きたい....。

Cinem@rtさんのWebマガジンご紹介のはずが、食べ物の話となるとすぐ長くなってしまってすみません。最後に、コロナ禍が終わったら、真っ先に食べに飛んでいきたいインドのスイーツをご紹介しましょう。以前にも何度かブログに書いているのですが、チェンナイのムルガン・イドリー・ショップの「ジガルタンダー(Jigarthanda)」です。アイスクリーム・ミルクシェイクの一種なんですが、不思議な味なんですよね~。今度行ったら、ぜひ作り方を聞いてみようと思います。ああ、チェンナイにも行きたい....。

しかしインドは、今日の日本のニュースでも感染者数累計が700万人を超えた、と伝えられていましたが、そのうちアメリカを抜いて世界一になる模様。感染者数増加のスピードはちょっと鈍化したものの、まだまだ当分、インドには行けそうにありません....。

余談ながら、「ジガルタンダー」はシッダールトが主演したユニークな映画の題名でもあります。『無職の大卒』(2014)と同時に見たので、こちらでの紹介を読んで下さった方もいらっしゃるかも。ついでに、『Jigarthanda(冷たい心)』(2014)の予告編も付けておきますね。日本語字幕でもう一度見たいので、<IMW>さん、来年あたりいかがでしょうか?

Official : Jigarthanda Theatrical Trailer | Sidharth, Lakshmi Menon

 


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2 コメント

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Unknown (アールーゴービー)
2020-10-13 14:39:01
ご無沙汰しております。今年は夏の帰国を諦めまして、ずっとチェンナイにいます。毎日30度超えの暑い中、チェンナイの人々は頑張ってマスクしています。マスクしてない人は入店お断り、の貼紙してる店が多いです。ほとんどの人が、人生初マスクだと思います。
クルフィーと言えば、デリーの赤い手押し車(?)で売っていたクルフィーがおいしくて、よく買っていました。残念ながら、チェンナイでは見かけないんですよね〜。
早く日本に帰って、お寿司やスイーツが食べたいと思う日々ですが、ジカルタンダーを食べながら、もう少しチェンナイで頑張ります。1日も早く、自由に行き来できる日が戻りますように。
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アールーゴービー様 (cinetama)
2020-10-14 01:36:59
久しぶりのコメントをいただき、とっても嬉しいです!
インドにおいでの皆さんはどうしてらっしゃるかなあ、といつも気に掛かっていました。
お元気そうで、何よりです。

ロックダウン初期にチェンナイのお巡りさんが歌う応援ソング(お掃除の人とかも登場して、よく目配りが効いた構成でした)でみんながマスクしているのを見た時は、偉いなあ、と思ったものですが、今も皆さんしっかりマスクしてらっしゃるのですね。
トランプ、見倣え!です。
ここ1週間ほど、インドの1日の感染者数増加が少し鈍化してきて、私もホッとしていますが、皆さんのマスク&手洗い等感染予防の賜物ですね。

ジガルタンダー、くうぅ~、食べたい!
本当に、早く自由に行き来できる日が来ることを願っています。
来年3月は無理としても、夏か、年末にはチェンナイでお目にかかりたいものですね。
それまで、お互いがんばりましょう!
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