NHK文化センター青山教室の＜さらに！ インド映画を読み解く＞3回連続講座、いよいよ来週土曜日、2月17日が最終回です。今回、第3回はちょっと趣向を変えてゲストをお招きしました。タイトルは「インド映画字幕翻訳者を増やそう！～藤井美佳さんをゲストに迎えて～」で、今をときめく字幕翻訳者藤井美佳さんが登場して下さいます。実は藤井さんとは古いお付き合いで、藤井さんが東京外国語大学の学生だった頃から知っているため、もう25，6年になります。今回、藤井さんの字幕翻訳者歴を調べるため、1990年以降に一般公開されたインド映画の字幕翻訳者を全部チェックしたのですが、昔は字幕翻訳者名がどこにも書かれていない、ということも多く、チラシ、パンフ、ソフト化された作品と全部をチェックする羽目になった作品が結構ありました。それだけ調べてもお名前が出てこない作品もあって、字幕翻訳者はどれだけ軽んじられてたんだ、と思わず怒りがわいてきたり。そんなお話も交えながら、藤井さんにいろいろうかがってみたいと思います。
＜さらに！ インド映画を読み解く＞
インド映画字幕翻訳者を増やそう！
～藤井美佳さんをゲストに迎えて～
日時：2月17日（土）13:00～14:30
場所：NHK文化センター青山教室（地下鉄銀座線＆半蔵門線・青山一丁目駅直結・新青山ビル西館4F）
受講料等詳細はこちらのセンター公式サイトをご参照下さい。
藤井さんと言えば、『バーフバリ』二部作に『RRR』が有名ですが、私がまず魅せられたのが2013年の日活が展開した「ボリウッド4」4作品の中の『タイガー 伝説のスパイ』（2012）。アクション映画の字幕も向いてる人だなあ、と思ったのと同時に、ラストのエンドクレジットにかぶるソング＆ダンスシーンの歌詞訳にほれぼれしてしまいました。文語体をうまく使ってあって、前にも書きましたがこれが『バーフバリ』へと繋がっていくんですね。昨年インドではこのシリーズの3作目『Tiger 3』が大ヒットしましたが、サルマーン・カーン演じるタイガーと、カトリーナ・カイフが演じるその妻ゾーヤは、『タイガー 伝説のスパイ』での二人を知る者にとっては、「ちょっとォ、何してるのよ！」というストーリーになっていて、とても面白かったです。このシリーズ、2本目の『Tiger Zinda Hai（タイガーは生きている）』（2017）も含め、なかなかいいんですよ、底に流れるスピリットが。全部藤井さんの字幕で見たいものです。
アクションと言えば、やはりサルマーン・カーン主演の『ダバング 大胆不敵』（2010）も、藤井さんの上手な字幕で得していましたね。いーかげんな、悪徳警官と言ってもいい主人公チュルブル・パーンデーをカッコよく見せるには、藤井さんの字幕が欠かせません。特に最初の方の『マトリックス』をパクったシーンがあるアクションシーンは、ワルどもをやっつける時にいちいち言うセリフが面白い！ 『♫Munni Badnaam Hui』の歌詞訳は、ちょっと「？」の箇所もあったのですが、藤井さんの字幕だったのになぜに日本でヒットしなかったのか不思議です。今は「YRFスパイ・ユニバース」の1作となっている『WAR ウォー!!』（2019）も、もっとヒットしてもよかったのに。どちらもテルグ語じゃなかったからダメだったんだって？ いやー、そりゃ違うでしょ。
アクション映画も、それからしっとりした作品も、藤井さんの字幕は全然邪魔にならず、それでいて理解を100％助けてくれるので、とても心地よい字幕と言えます。しっとり系で好きなのは、『バルフィ！人生に唄えば』（2012）、『ガンジスに還る』（2016）、そして『ガリーボーイ』（2019）。『ガリーボーイ』は3月で上映権が切れると聞いているので、今回ぜひ取り上げたいと思っています。そうそう、いとうせいこうさんの字幕監修のことも聞かねば。私も『きっと、うまくいく』（2009）でいとうさんに字幕監修をしていただいたので、ツボだけを取り上げた上手な監修だったことなど話してみたいと思います。
そんなこんなのお話、ぜひ受講してお聞きになってみて下さい。教室参加もできますので、あこがれの藤井さんと直接お話もできると思いますよ。さっき、やっとレジュメができたので、今、藤井さんにチェックしてもらっているところです。字幕翻訳者になりたい、と思っている方にもお役に立つような内容も入れ込んでありますので、いろんな方に聞いていただけると嬉しいです。お待ちしていま～す。
