アジア映画巡礼

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因縁のチェンナイ<5日目>総領事館訪問:総領事から貴重な写真をいただきました!

2024-03-07 | インド映画

チェンナイでは、いつもお目にかかるアールーゴービーさんが日本帰省中でいらっしゃらないため、日本人にはお目にかからないものと思っていました。すると、先日メールに入ってきた南アジア学会のお知らせから、チェンナイの日本総領事館の多賀政幸総領事のメールアドレスがわかり、懐かしくてメールしてみたら、「じゃあ、来ませんか?」と言って下さって、ン十年ぶりかでお目にかかることに。多賀さんとは外務省に入られた頃、1980年代からの知り合いで、おだやかなお人柄に加えて、南アジア学会の会員であることからもわかるように、研究者としてのセンスも備えておられる、まれな外交官なのです。

で、多賀さん、上写真左の方なんですが、右側は? うわぁ、何とラジニSirではありませんか! そう、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)の主演にして、”スーパースター”の呼び名で知られるラジニカーントですね。素顔はこんな方なんです。多賀さんのお話だと、「『ムトゥ』公開から25周年の記念イベントに、ラジニカーントにぜひ来てもらいたかったんですが、あいにく予定が合わず、後日、自宅に訪ねてお目にかかった」とのことで、その時の写真を3枚いただきました。この25周年記念のイベントは、アールーゴービーさんが写真やコメントを送ってきて下さったので、こちらで記事にしています。その中の写真や動画にも多賀さんが登場してらっしゃいますが、この時は最初アールーゴービーさんの写真を見ただけではわからず、動画を見て「あ! 多賀さんだ!!」となったのでした。

今回、ラジニSirの自宅でいろいろ歓談なさったようで、ラジニSirとしてもチェンナイ総領事の訪問は嬉しかったに違いありません。こんな風に、チェンナイの総領事館は、インドにある在外公館の中でも珍しく、文化交流、しかも庶民レベルの文化交流にも力を入れている公館なのだそうです。大使館や領事館には、「専門調査員」と呼ばれるポストがあり、外務省職員以外の地域研究専門家が2年間ほど在職し、研究者として公館運営に関わっていくシステムがあるのですが、チェンナイの総領事館は代々、文化交流の専門家がその任に当たることが多いのだとか。私の友人で、タミル語映画の字幕監修をよくやってもらっていた深尾淳一さんも10年ほど前に在任していましたし、現在も寺岡茉美さんとおっしゃる方がおられるのですが、今日の訪問では多賀さんと寺岡さんお二人から、インドと日本の文化交流についていろいろお話をうかがいました。

一番の悩みは、日本の現在の最前線文化をなかなか紹介できないことのようで、映画上映などは国際交流基金の力を借りて日本映画の作品パッケージを回してもらう、という形になるのですが、どんなに新しくても2,3年前の作品になってしまうとか。まあ、基金も映画の評価が定まってから、つまり、製作年の翌年に賞レースなどが終わってから作品を選び、製作会社に許可をもらい、英語字幕を付けて、さらに数本をまとめたパッケージにして送り出す、という形になっているのだろうと思いますので、どうしても2,3年のタイムラグが生じてしまうんですね。これ、何とかならないか、と思いますが、例えば東京国際映画祭で紹介される日本映画を2つか3つのパッケージにして、翌年度から海外公館で使ってもらえるようにすれば、すでに英語字幕は付いているし、賞レース対象のアート系作品と共にガラ部門の娯楽大作も入るし、いいのでは、と思います。とはいえ、各製作会社がウンと言うかどうかは、外務省のお力次第ですねー。

お話の中で、私が韓国文化のインドへの浸透のすごさを、デリーの韓国文化院(こちらでご紹介)の活発な活動ぶりをお伝えして紹介したりしたのですが、ここまで行かなくてもアニメやマンガ文化が人気の日本でも何かもっとできることがあるはず。お二人もいろいろ可能性をさぐっておられるようでした。ただ、多賀さんが3月21日で日本に帰られるので、今後の展開は新たに着任なさる新総領事のご手腕にもかかっている、と言えそうです。多賀さんはチェンナイの前はコルカタの総領事をなさっていたとかで、そのご縁か、現在コルカタのサタジット・レイ映画学校に留学中の佐々木美佳監督が、自作のドキュメンタリー映画『タゴールソングス』を昨年コルカタで上映した時も、多賀さんがいらしてスピーチして下さった、という記事をどこかで読んだ覚えがあります。文化交流を体現なさる総領事の多賀さん、退官なさるのはかなり残念ですね。

いろいろお話をしていて、現在日本映画『鬼滅の刃』がチェンナイでも上映中だということに気づいたので、一度見てみようかと思います。言葉は「Japanese, English」となっていますね。子供向けで英語字幕ということもないと思いますが...。というわけで、最後は『鬼滅の刃』の予告編で締めることにします。多賀総領事と寺岡専門調査員様、いろいろとお話をありがとうございました!

Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba -To the Hashira Training Trailer #1 (2024)

 


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