アジア映画巡礼

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週一『SANJU/サンジュ』<7>魅力的なキャストについて

2019-06-08 | インド映画

『SANJU/サンジュ』の公開も、いよいよ来週土曜日、6月15日に迫りました。この連載も、最後のまとめに入ろうと思います。というわけで、本日はまずキャストのご紹介から。パンフレット風に書いてみましたが、人名のカタカナ表記は公式サイトに倣っています。顔写真等のクレジットは、特に明記していないものはすべて「©Copyright RH Films LLP, 2018」です。

 

ランビール・カプール Ranbir Kapoor(サンジャイ・ダット=サンジュ役)

ボリウッド映画界のサラブレッド中のサラブレッド。曾祖父はインド映画界黎明期の大俳優プリトヴィーラージ・カプール、祖父ラージ・カプールは「インド映画界のキング」と呼ばれた1950~80年代の人気俳優兼人気監督、そして父は祖父の映画でデビューし、1970年代から80年代にかけてトップスターとして活躍したリシ・カプールで、母も女優。さらに、従姉にはカリシュマー・カプール、カリーナー・カプールがいるなど、回り中映画人だらけの中で育ったランビール・カプールは、1982年9月28日ムンバイ生まれの現在36歳。

助監督経験を経て、俳優デビューは2007年のサンジャイ・リーラー・バンサーリー監督作品『Saawariya(愛しい人)』。ハリウッドのメジャー会社ソニーのインド現地製作第1号で、相手役にはやはりデビューのソーナム・カプールが起用されたが、この作品は大コケとなる。翌年の『Bachna Ae Hasino(美人さん、ご用心)』ではディーピカー・パードゥコーンら3人の美女と共演、本作のヒットで若手人気スターの仲間入り。その後、『Rockstar!(ロックスター)』(2011)と『バルフィ! 人生に唄えば』(2012)で演技力が認められ、若手のトップスターに。この2作の演技が評価されてフィルムフェア誌賞主演男優賞を受賞しているほか、本作『SANJU/サンジュ』の演技でも同賞を受賞している。日本公開作品ではほかに、『若さは向こう見ず』(2013)や、ラストシーンにゲスト出演した『PK/ピーケイ』(2014)がある。

デビュー当初から今まで、ディーピカー・パードゥコーン、カトリーナ・カイフ、マヒラー・カーンら多くの女優たちと浮き名を流してきたが、現在はアーリア-・バットとの結婚が秒読み、と言われている。

 

ソーナム・カプール Sonam Kapoor(恋人ルビー役)

日本では、『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)や『ミルカ』(2013)の出演で知られるソーナム・カプールは、1985年6月5日生まれ。父は1980年代のトップ男優で、今も活躍しているアニル・カプール。その兄が大物プロデューサーのボニー・カプールなので、『マダム・イン・ニューヨーク』の主演女優で昨年亡くなったシュリーデーヴィーは伯母に当たる。さらに、父アニル・カプールの弟サンジャイ・カプールも俳優という、映画人一家に育つ。
ランビール・カプールの項でも述べたように、彼と共に2007年『Saawariya(愛しい人)』でデビュー。続く2009年の『デリー6』での、アイドルになりたいデリー下町の女の子役で人気が出、以後順調にキャリアを重ねる。ダヌシュと共演した『ラーンジャナー』(2013)、『プレーム兄貴、お城へ行く』(2015)などがヒットし、トップ女優の1人に。また、2016年の『ニールジャー』と2018年の『親友の結婚式』では、その演技が高く評価された。これら邦題のある5作品は映画祭公開だったが、『パッドマン 5億人の女性を救った男』の全国公開で日本でも多くのファンを獲得した。
2018年に実業家のアーナンド・アフージャーと結婚。次作『The Zoya Factor(ゾーヤー因子)』は、南インドの人気男優ドゥルカル・サルマーンを相手役に撮影中で、9月公開が予定されている。現在では、弟のハルシュワルダン・カプールのほか、従弟のアルジュン・カプールやその妹ジャーンヴィー・カプールらも俳優として活躍しているという、カプール・ファミリー第二世代の中心的存在である。

 

パレーシュ・ラーワル Paresh Rawal(父スニール・ダット役)

インド映画には欠かせない名脇役。1955年5月30日ムンバイ生まれ。1984年のデビュー以降悪役が多かったが、2000年のコメディ映画『Hera Pheri(ごまかし)』の大家さん役でアクシャイ・クマールおよびスニール・シェッティーを手玉に取り、以後名脇役としてボリウッド映画界には欠かせぬ存在となった。俳優として250本超の作品に出演しており、『オー・マイ・ゴッド~神への訴状~』(2012/Netflix)のような主演作品も何本かある。2014年にはインド人民党(BJP)から出馬して当選、国会議員となった。

 

マニーシャー・コイララ Manisha Koirala(母ナルギス役)

日本でも、『ボンベイ』(1995)や『インドの仕置き人』(1996)、『ディル・セ 心から』(1998)の清純な主演女優として知られているマニーシャー・コイララは、1970年8月16日、ネパールのカトマンズ生まれ。祖父がネパールの首相も務めた名家の出身で、ネパール映画でデビューしたあと、1991年『Saudagar(商人)』でヒンディー語映画界にデビュー。インド人女優とは異なる清楚な美しさでたちまち人気を獲得、特にアニル・カプールと共演した『1942・愛の物語』(1993)は大ヒットとなった。続いて、マニラトナム監督の『ボンベイ』と『ディル・セ 心から』で世界的にも名前が知られるようになる。その後も多くの作品に出演したが、2010年に結婚したネパール人実業家との婚姻生活が2年で破綻し、その直後の2012年には卵巣ガンがみつかって闘病するなど、不幸に見舞われた。2014年にはガンを克服、現在では再び映画女優として様々な作品に出演している。

 

ヴィッキー・コウシャル Vicky Kaushal(親友カムリー役)

(撮影時の写真ですが、劇中の写真ではありません)

現在、最も注目されている男優。1988年5月16日ムンバイ生まれ。パンジャーブ州出身者の父は、映画のアクション監督やスタントマンをしており、ヴィッキーと弟のサニーは映画界を身近なものとして育った。父は息子たちが固い職業に就くことを望み、ヴィッキーを工科大に入れたが、ヴィッキーは自分が勤め人に向いていないと自覚し、演技者養成学校に入る。『血の抗争』(2012)での助監督経験を経て、『Luv Shuv Tey Chicken Khurana(恋愛とかとクラーナー家のチキン)』(2012)で主人公の青年時代を演じてデビュー。その後、2015年の『生と死と、その間にあるもの』(Netflix)の大学生役で注目され、多くの賞を受賞して出演オファーが相次ぐ。日本版DVDが出ている『ラマン・ラーガブ2.0』(2016)、『平方メートルの恋』(2018)、『慕情のアンソロジー』(2018)(いずれもNetflixで配信)等に続き、本作『SANJU/サンジュ』で再び助演男優賞を多数獲得。その後、日本でも映画祭上映された『同意』(2018)がヒット、さらに2019年年明けに公開された『Uri: The Surgical Strike(ウリー:ピンポイント攻撃)』がスーパーヒット、一躍トップスターに名を連ねることになった。現在は映画賞の司会者やパーティーの花形としても引っ張りだこで、ついにはトップ女優カトリーナ・カイフとの恋の噂も出て、大物俳優に上り詰めつつある。

 

ディア・ミルザ Dia Mirza(妻マニヤタ役)

Dia Mirza photoshoot for World Environment Day.jpg(写真はWikipedia "Dia Mirza"より)

1981年12月9日、南インドのハイダラーバード生まれ。父はドイツ人、母は西ベンガル州出身者で、2人ともインテリア・デザイナー。カレッジ卒業後ミスコンで優勝、その後2001年にマーダヴァン、サイフ・アリー・カーンと共演した『Rehnaa Hai Terre Dil Mein(君の胸に住む)』で正式に女優デビュー。以後、ゲスト出演も含めて多くの作品に顔を見せている。日本公開作では『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007)の、映画賞授賞式シーンでシャー・ルク・カーンと共演している。2014年の結婚以降は映画出演は減ったが、プロデュ-サー業に進出、ボリウッド・セレブの1人として輝きを放っている。

 

アヌシュカ・シャルマ Anushka Sharma(伝記作家ウィニー・ダイアス役)

日本では、『PK/ピーケイ』(2014)のヒロインとして人気のあるアヌシュカ・シャルマは、1988年5月1日、インドUP州アヨーディヤ生まれ。父親は陸軍士官というお堅い家に生まれたが、南インドのベンガルールで育って大学を卒業したのち、ムンバイに出てモデルとなる。その後、オーディションでシャー・ルク・カーン主演作『神が結び合わせた2人』(2008)のヒロインに抜擢され、女優としてのキャリアをスタート。ランヴィール・シンと共演した『Band Baaja Baaraat(花婿行列が賑やかに)』(2010)や、再びシャー・ルク・カーンと共演した『命ある限り』(2014)をヒットさせたあと、プロデューサー業にも進出。現在は女優とプロデューサー両方の分野で活躍している。2017年12月にクリケットの花形選手ヴィラート・コーフリーと結婚、2人で仲良く出演するCMも話題になった。

というような、とーっても魅力的な俳優たちが顔を揃えています。大画面でじっくりとご覧下さい。公式サイトはこちらで、全国の上映劇場が徐々に増えつつあります。ラストのランビール・カプールとサンジャイ・ダットによるMVまで2時間39分、「サンジュ・コースター」に乗ってた~っぷりとお楽しみ下さいね。

 

ところで、昨日から、『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』公式サイト)と『パドマーワト 女神の誕生』公式サイト)も劇場公開中です。もうご覧になりましたか? 『クローゼット~』のほうはこんな映画評や、子役のハーティー・シン君が気になった人にはこんな紹介があります。拙ブログでのご紹介はこちら。一方『パドマーワト』は、「BANGER!!!」のこちらで紹介されたり、拙ブログでもこちらこちらでご紹介していますので、ご参照の上ぜひ劇場へGO!

 


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