3月8日の国際婦人デーは、インドでは盛大に祝われました。この日はまず郵便局に切手を買いに行ったのですが、いつも行きつけのGeneral Post Office (GPO)では大規模な改修工事が行われていて、イギリス統治時代の建物のメインウィングは入れないようになっています。その裏に臨時の郵便局が展開しているのですが、そこに入るためには正面を延々歩いて左折し、そこにある7番ゲートから入らねばなりません。入った後、どこに行けばいいのかなあ、とうろうろしていると、出勤してきたらしき女性2人が「どこをさがしてるんですか?」と声を掛けてくれました。そして、「切手なら、あそこの入り口から入って...」と親切に説明してくれました。別れ際に、「Happy Women's Day!」と2人して笑顔で言ってくれたので、こちらも同じ挨拶を返しましたが、見知らぬ女性同士の間に連帯心が結ばれた一瞬でした。
そして、ここでも郵趣窓口に行き、きれいな切手を買っていると、何やらセレモニーがある気配が。上は郵趣の部屋の入り口に描かれたランゴーリー(歓迎のために地面に描かれる図柄)で、きれいな色粉で「婦人デーおめでとう」と書いてあります。下は、狭いホールに設けられたセレモニー用の看板と席で、インドでは本当に大切にされている記念日のようでした。
その後、通い慣れたGPO周辺をいろいろ回ったのですが、やはりコロナ禍、そして地下鉄工事等でだいぶ様変わりしていました。新しい顔は、下写真のトライバル・アート商品の店で、その名も「TRIBES INDIA」。インド中の少数部族の人たちが作っている衣類やアクセサリー、日用品から絵画などまで、広い店内にいろいろ置いてあります。結構値段が高くて、ゴンドの人たちの絵は1枚1,000ルピー、布地や衣服、スカーフなどは全部4桁のものばかりで、外国人観光客向けという感じです。
店内には、こんな地図も貼ってあり、どんな製品がどこで作られたのかわかるようになっていました。ここでも「Happy Women's Day」の準備がなされていて、この地図の前、つまりガネーシャ神の前にランゴーリーが描かれている最中で、装飾に使うのか、机の上にはバラの花がいっぱい。ちょっとたくさん買ったせいでしょうか、お勘定が終わるとバラの花を1本「Happy Women's Day」と差し出してくれました。
この日は夕方、やっと映画検定局(CBFC)のムンバイ地区長に面会でき、インド映画製作本数の2017年3月以降をもらえることになりました。昨年東京国際映画祭で上映された『アヘン』の監督アマン・サチデーワさんが紹介してくれたCBFCに近しい人、U.S.パーニさんが連れて行ってくれ、約束の時間午後5時にはまだ会議が終わらず、6時半まで待ってようやく5分ほど面会できました。事前にも、パーニさんが指導してくれて、メールやら電話やらをしていたのですが、会ってみると「ああ、じゃ、部下に言っておくからパーニさんに資料が流れたらそこからもらいなさい」で話はおしまい。インドのお役所は日本以上にお役所らしい所です。下が地区長(Regional Officer)のマヘーシュ・パーティルさんです。資料を待っていますので、よろしくお願いします!
そしてその後、パーニさんと共にアマンさんのお宅へ。映画プロデューサーであるアマンさんの父親とパーニさんは、35年にわたる大親友だそうで、「アマンが赤ん坊の頃から知っているよ」とのこと。パーニさん自身も、各国がインドで撮るドキュメンタリーの制作にあれこれ関わっていて、NHKとも仕事をしたそうです。とてもお話し上手で、社交的なパーニさん(下写真)でした。
アマンさんのお宅は、ムンバイ郊外にある36階建てのマンションの20何階だとかで、すごい眺望が広がっていました。『あなたの名前を呼べたなら』の舞台になったマンションみたいですね。ベランダに出てみたら、足がガクガクします。アマンさんのお母さんはまだお若いせいか、「怖い? そんなこと思ったことないわよ」とニコニコしてらっしゃいましたが、この日の顔ぶれの中では私は一番年上、パーニさんもアマンさんのお父さんも「弟たち」と言ったら乗ってくれて楽しい時を過ごしました。
とってもおいしい食事をいただいたのですが、フラッシュのない写真でいまいちですねー。前菜はムンバイ名物ベールプーリーとざくろのサラダでした。おいしくて私を始めみんながいただいてからの写真なのでごめんなさい。伝統的なお料理以外に、サラダ類もセンスのあるコックさん(若い男性と女性の使用人がいたのですが、男性くんの方が作ってくれたのでは、と思います)がいれば、素材がいいのですごくおいしいのです。
メインはいんげんのいためもの、ダール(豆のスープ)、野菜のカレーとプラーオ(炒めご飯)にチャパーティー(パン)、そして生野菜サラダの付け合わせ。
最後はお母様手作りのスイート、ラッドゥーとできたてのハルワーでした。ハルワーは上に干しぶどうやピスタ等、いろいろトッピングがされていて、ほかほかと暖かく、いくらでもいただけそうでした。あ~また太る(汗)。
アマンさん、映画の字幕を担当しただけなのに、ありがとうございました。『アヘン』が日本公開になるといいんですが。左は奥様、下写真はご両親です。ガル・カー・カーナー(家庭料理)は最高ですね。
と、楽しい一夜だったのですが、実はこの日の夕方、CBFCを訪ねた頃から咳が出始め、話そうとすると喉に絡まり、すぐ咳がでる、というやっかいなことに。そんなわけであまりお話もできず、申し訳なかったです。で、ホテルに帰ったその後、咳の発作がますますひどくなったのでした...。(続く)