旅先では毎日、いろんな出会いがあって面白いのですが、この日もいろんな人にお目にかかりました。まずは、シティ・モールの方のPVRで会った窓口のお二人。
現在インドの映画館では紙発券はまれ、というのは昨年もインド旅行報告として書きましたが、今回もケータイにチケットを入れ込む形だと言われ、ケータイを渡すとチャカチャカとやってくれたのが、下写真で粋なポーズを取っている左のお兄さん。「メッセージ」のマークの所をクリックするとそのチケットが出てくるのですが、もともと私のケータイにはメッセージマークがなく、やっぱり少しすると消えてしまいました。仕方がないので、映画館に入る時間が来た時にまた行って、「消えてしまったんだけど」というと、今度はすごく苦労して呼び出してくれたものの、「また消えるから、紙に書いたチケットをくれない?」と頼んでみました。すると、それもそうだ、という感じでうなずいて、そういう時のための項目が書かれている紙を取り出し、それに時間や席番号、値段等を書き込んで手渡してくれました。今度から、どこでもそれを頼むことにしようと思います。プリントアウトするシステムは姿を消したみたいで、最初に買った時も「紙でくれない?」と言ったら、その時そばにいたもう一人の男性に「ダメ」と言われたのでした。ペーパーレス社会もここまでくるとねー、なのでした。
それから、この日会った楽しい人第2号は、このシティ・モール1階にあるカフェの従業員の人。シティ・モールは今や小規模な問屋さんばかりが入居する何だか怪しげなビルと化しており、映画上映時間までカフェで座っていよう、と思って入った私は面食らいました。前からこうだったっけ? 入り口のセキュリティのお姉さんに「何の用?」と聞かれたので、普通の人はまず来ないんだと思います。それで「お茶でも飲もうと思って。カフェはある?」と聞いたら指し示してくれたのが1階に店というかカウンターを出しているお店。チャイが10ルピー、コーヒー20ルピーと書いてあり、ええ、このモール街でこんな値段? と思いつつチャイを頼んでみました。すると、おじさんがチャイを出したあと「20ルピー」と言うではありませんか。ちょっとピンが惚けましたが、味のある顔をした小柄なおじさんです。
「えー、10じゃないの?」とか言っていると、そばにいた別の人が「説明してあげよう」と割って入りました。こちらは背も高く、年は取っていますがハンサムと言える渋い顔のおじさん。やはりこのカフェの従業員らしいのですが、食べ物を作る方ではなく、外交?担当のようです。
「カップのサイズは3つあってね、あなたのはラージ・サイズなんだ。レギュラーサイズが10ルピーなんだよ。さらに”カッティング”もあって、それなら5ルピーだ」おお、出たぞ「カッティング」。『ラジュー出世する』(1992)に出てきてさんざん悩んだこの言い方。というわけで、3種の紙コップを並べて要領よく説明してくれたこの人は、プラシャーント・シュリーワースタウと言い、チョイ役が多いけど映画俳優であり、コラムの執筆者でもある、という、ボリウッド業界の人なのでした。ペンネームはプラシャーント・ヴァレンタインと言うそうで、2月14日生まれなのでこうしたのだとか。で、下写真で並んでいるカップが左から、ラージ(20ルピー)、レギュラー(10ルピー)、カッティング(5ルピー)なるのです。
そんなこんな雑談をして、映画が始まるまでの1時間弱を時間つぶし。映画館の中でコーヒーとか飲むと100ルピーはくだらないので、20ルピーだと天国ですね。その映画館の中で、1本目を見たあとロビーをぶらぶらしていて出会ったのが、日系企業ではたらく女性。旦那さんとお子さんと一緒に、昨日書いたロボット妻映画『Teri Baaton Mein Aisa Uljha Jiya(君の言葉に大混乱)』を見に来ていたのでした。この日私は普段のTシャツにズボンという格好だったので話しかけやすかったのか、「どこから来たの?」という質問が。「日本よ」「そうだと思った。私の会社も日本関連なんですぐわかったわ」「日系企業だと大変でしょ、挨拶とか」「そーなのよ、帰る時はみんな、”オツカレサマデス”って言うしね」あはは、きれいな発音ですねー、毎日言わされてる訳ね。
そんな楽しい出会いもあって、30分ほどの待ち時間もすぐでした。美男美女の若夫婦にかわいいお嬢ちゃん、スクリーン内に入った時もまた顔を合わせて挨拶したのですが、あの映画、楽しめたかな? CG処理してあるのかも知れませんが、クリティ・サーナンのお肌がもろ人工皮膚といった感じで、充電するシーンとか面白かったよね。ロボットと人間のやり取りもよく考えられていて、脚本がなかなかいい出来でした。監督・脚本はアミト・ジョシーとアーラードナー・サハ(シャーなのかも)の連名になっていますが、初監督作なのか資料なし。ソング&ダンスシーンもノリノリでよかったですよ。その1つを付けておきますね。
Laal Peeli Akhiyaan (Song) Shahid Kapoor,Kriti Sanon,Tanishk,Romy | Teri Baaton Mein Aisa Uljha Jiya
最後に会った親切な人は、インフィニティ・モールのスーパーマーケットの店員さん。昼はポップコーンとアイスクリーム(普通のチョコバーなのに、何と99ルピーもする、しかも1ルピーは繰り上げられて100ルピー取られる)だけだったので、ちょっと料理っぽいものが食べたい、とインフィニティ・モールに行ってみたのですが、香港やタイのスーパーと違って、調理したものが売っていたりはせず、ちょっとがっかり。目に付いたのがパーニープリーのカウンターで、「ここで食べられるの?」と聞いたら「はい」という返事が返って来たので、立ち食いをすることにしました。
パーニープリーは映画にもよく出てくるので皆さんご存じだと思いますが、揚げてぷっとふくれたボールの中にマッシュポテトマサラ風味みたいなものとちょっと甘い具を入れ、それをプディナー(ミント)のジュースの中に一度浸けてから渡してくれるものです。一口で食べないと、プディナーの汁が流れ出してしまうため、食べるのにもちょっとしたコツが要りますが、辛くて甘くて冷たくて、とってもおいしいです。90ルピーで6個出してくれるのですが、最後に1個おまけを付けてくれました。ラッキー! まさに、ラッキー7ですね。ありがとう、お兄さん。
というわけで、楽しいムンバイ滞在でしたが、日本の友人が「Film Heritage FoundationのFBに、本を寄贈したことが出てるわよ!」と知らせてきてくれて、これまた素敵な最終日となりました。よかったら、こちらをご覧下さい。FHFの友人シヴェンドラは、「歌の本とかもいっぱいあるけど、要る?」と聞いたら「要る、要る」と言っていたので、また来年も持ってこられたら、と思っています。こういうストリート・フードならぬインド映画のストリート資料を集めている人はどうやらインドには皆無みたいで、50年来の収集品がお役に立ってよかったです。帰ったら、またリストに整備して寄贈に備えようと思います。
ところで、いつもcinetamaさんの日記を観ていて感心するのは、出会った人の名前をしっかり把握した上で写真をアップしていますよね。あれって、「ホームページに写真を載せるから撮らせて、名前も教えて」って言って写真を撮ったり名前を聞いたりしているんですか? 出会ったばかりの人とすぐ仲良くなって、あれこれ聞き出している様子に、「凄いなあ」っていつも感心しています。cinetamaさんの人間力のなせるわざですね。
コレクションは、インドの人なら集めないような、路上や駅の売店での販売品をいろいろ買い続けてきたのが役に立っている、という形です。
でも、コレクションと言えば、よしださんこそすごい書籍と映像ソフトのコレクターなので、いつか同じような体験をなさるかも知れませんね。
ブログの中でお名前を書いた方、たとえば今回のヴァレンタインさんとかには、ブログに載せる旨を言ってあります。
インドの人はほぼ全員「おお、載せてくれてもいいよ」という返事なので、勝手に載せさせていただいている上記のご一家のようなことも多いです。
今困っているのは、今回のホテルからはメール送信ができないことで、前にも経験したことがあるのですが、ホテルのWiFiを使っての送信を日本のプロバイダーが拒否してくるのです。
そんなわけで、メアドもうかがったヴァレンタインさんは今頃「あのおばさん、教えたメアドに連絡して来ないぞ。いいかげんな奴だ」と思っているかも。
こういうやり取りができるのは、私がヒンディー語をしゃべるからです。
英語だともっとフォーマルな感じになると思いますが、ヒンディー語であーだこーだ言ってると向こうも乗ってくれて、楽しいおしゃべりになります。
というわけで私の場合、この手のやり取りが効くのはヒンディー語圏だけですね。
タミル語もできるといいのですが、「私はタミル語ができません(ナーン・タミル・テリヤードゥ)」しか言えないのでお手上げです。
でも、タミル語で「タミル語できません」と言うと結構ウケるので、そこから英語でいろいろおしゃべりすることもありますが。
今はインド諸語を学んでいる方も多いので、ぜひ現地で試してみてほしいと思います。