ラジニカーント主演作『ダルバール 復讐人』の公開が1週間後に迫りました。約半年ぶりのインド映画です。今回の『ダルバール 復讐人』は、ラジニカーントというスーパースターの久々の劇場公開作品となりますが、魅力的な助っ人が揃っている作品でもあります。そのトップ、娘役のニヴェーダ・トーマスはこちらでご紹介しましたが、本日はコメディ・リリーフとして存在感を発揮しているヨーギ・バーブをご紹介しましょう。念のため、まずは映画のデータをどうぞ。
『ダルバール 復讐人』 公式サイト
2020年/インド/タミル語/158分/原題:Darbar
監督:A.R.ムルガダース
主演:ラジニカーント、ナヤンターラ、ニヴェーダー・トーマス、ヨーギ・バーブ、スニール・シェッティー、プラティーク・バッバル、ナワーブ・シャー
配給:ツイン
※7月16日(金)より新宿ピカデリーほかにて2週間限定公開
ヨーギ・バーブは、上写真右側の男性です。インド映画ファンならほとんどの人が、「あ、知ってる、アフロヘアのコメディアン!」と言うことでしょう。『ダルバール 復讐人』はすでに劇場用パンフが出来上がっていて、それにヨーギ・バーブの経歴なども載せてあるのですが、驚いたのは誕生日が1985年7月22日だということ。何という偶然か、7月16日(金)から29日(木)までの新宿ピカデリーでの公開中、ちょうど中日(なかび)に36回目のお誕生日を迎えるんですね。緊急事態宣言が出ていなければ、「ヨーギ・バーブのお誕生日を祝う応援上映」とかが出来たのでは、ととっても残念です。え? まだ35歳なのか!? とそこで驚いているあなた、そうなんですよ、おっさんに見えてもまだ若いんです、ヨーギ・バーブは。
今回、ヨーギ・バーブの役は、ラジニカーント扮するムンバイ市警察長官アーディティヤ・アルナーチャラムの「付き人」、つまり私設アシスタント。「私設」というのは、実は雇い主がアーディディヤの娘ヴァッリ(ニヴェーダ・トーマス)だからなのです。このシビアな雇い主は、父親の時計に心拍数計算機を付けておき、それを自分のスマホでキャッチ、心拍数が上がる=父親が怒ると、付き人の責任だとして付き人の口座から5,000ルピー引きます。反対に、父親が喜ぶと口座に1万ルピーを振り込む、というわけで、付き人のお給料はアーディティヤのゴキゲン次第。半年前に雇われたそうですが、すでに6万ルピー引き落とされているとか。この付き人、役名はカウシクと言うのですが、撮影後に付けられたようで、劇中ではこの名前は出て来ません。インド映画のコメディアンが演じるキャラクターは、凝った名前が付いていることもありますが、コメディアンの個性が強烈なので、こんな風に無名で進行することも多いのです。
タミル語映画のコメディアンと言えば、以前は『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)のセンディル(上写真左)とヴァディヴェードゥ(同右)などが有名でしたが、その後今世紀に入ると、ちょっとハンサム系の『ボス その男シヴァージ』(2007)のヴィヴェーク(コロナ禍のため本年4月に逝去)や『ロボット』(2010)のサンダナム、あるいは禿頭を売り物にしたラージェーンドランらが達者なしゃべくりと演技で笑わせました。そして、ここ数年は何と言ってもヨーギ・バーブ。バクハツ頭とコロッとした体型から繰り出す、何とも言えない面白みに加えて、口も達者で一度観客を掴むと離しません。私が存在を認識したのが、『ピザ!(原題:Kaaka Muttai/カラスの卵)』(2015)からで、一度見ると存在は目に焼き付き、ほんのちょい役で出ていてもヨーギ・バーブに目が惹きつけられてしまいます。そして、出演作はどんどん増え、2014年には6本だったのが、2015年14本、2016年20本、2017年14本、2018年19本、2019年30本と、文字通り引っ張りだこ状態になっていくのです。
2020年はコロナ禍のせいで9本と減少し、2021年は今のところ6本ですが、何と、公開待機作、撮影待機作が20本超という、相変わらずの人気者ぶり。今年の作品には初の主演作『Mandela(マンデラ)』も含まれ、Netflixの配信による公開となったので、日本でも間もなく見られる予定です。その前に『ダルバール 復讐人』を見て、ラジニカーントもたじたじのヨーギ・バーブ演じる付き人を目に焼き付けておきましょう。最後に、予告編を付けておきます。ツイン様、ヨーギ・バーブだけフィーチャーした予告編もほしいです――『ダルバール 腹笑人』とか...。
『ダルバール 復讐人』7/16(金)より2週間限定ロードショー!