アジア映画巡礼

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『マニカルニカ』で明ける2020年<2>ラクシュミー・バーイーのファッションに注目!

2019-12-23 | インド映画

2020年も、もう来週に迫りました。今週、12月27日(金)に公開となる『燃えよスーリヤ!!』に続いて、1月3日(金)には『マニカルニカ ジャーンシーの女王』が公開となるため、ここのところ両作品関連の執筆等でガチ仕事状態でした。それも今朝の送稿で終わり、やっと皆様に『マニカルニカ』のステキなファッションについてご紹介できます。えー、歴史映画なのにファッション? と思われるかも知れませんが、この映画、血なまぐさい戦闘シーンもあるのに、主人公のマニカルニカ、結婚後はラクシュミー・バーイーとなるヒロインのファッションが素晴らしいのです。まずは、順を追って見て行きましょう。その前に、映画の基本データをどうぞ。


『マニカルニカ ジャーンシーの女王』 公式サイト
2019年/インド/ヒンディー語・英語/148分/原題:Manikarnika: The Queen of Jhansi
 監督:ラーダ・クリシュナ・ジャガルラームディ
 主演:カンガナー・ラーナーウト
 出演:ジーシュ・セーングプタ、スレーシュ・オベロイ、アトゥル・クルカルニー
 配給:ツイン
※2020年1月3日(金)より新宿ピカデリーにて2週間限定ロードショー

この物語は、実在の女性でジャーンシー藩王国の王妃となり、夫が亡くなったあと養子を擁立して自分が国を統治する覚悟をしていたところ、イギリスから「養子は後継者として認めん」と言われ、藩王国を併合されてしまった幼名マニカルニカ、結婚後はラクシュミー・バーイーと呼ばれた女性の一代記です。演じるのは、コケティッシュな女性や一風変わった女性を演じることが多いカンガナー・ラーナーウト。雄々しい女性とはイメージが違うのでちょっと戸惑うのですが、それをファッションでうまく補ってあります。3つの時代に分けて、見て行きましょう。

1.マニカルニカ時代

「マニ」とは宝石のこと、「カル二カ」は耳飾りで、いかにも美しく、かわいい女性に似合う名前です。ところが、バラモン僧侶である父よりも、マラーター同盟のトップであった宰相バージーラーオ2世に可愛がられて育ったマヌ(マニカルニカの愛称/カンガナー・ラーナーウト)は、剣や弓矢の腕も確か、乗馬も得意です。そんな彼女のファッションは、ハーフサリー(南インドの未婚女性が着る、短いブラウスとロングスカート、長いスカーフの3点セット)に似たスタイルの衣裳で、ロングスカートの代わりに男性のドーティー(1枚の布を腰に回して前で結び、端を股にくぐらせて後ろに持って行き、お尻の所に入れる)風の着方をした腰布を付けています。初登場シーンの少し灰色がかったブルーの衣裳は、結んでいない天然パーマの髪とよく似合っていてステキです。ほかにも、剣の稽古をする時の白い上着(ワンピース風で丈が長く、絞った上半身にフレアースカート状の下部が美しい)とズボンの組み合わせなど、華美ではないけれど若々しいファッションが印象的です。画像がなくて残念です~。


2.王妃ラクシュミー・バーイー時代

Esselvisionproduction(p) (LTD)

ここはどうしても、豪華な結婚衣裳の画像がほしかったので、劇場で発売予定のパンフレット(簡単な作りですが中身は濃い!って書いた自分が言うな、ですが、インドの当時の歴史も確認できますのでぜひお求め下さい。400円と格安です)から、画像をスキャンさせていただきました。この時代は、豪華なサリーとアクセサリーが目を奪います。夫である藩王ガンガーダル・ラーオ(ジーシュ・セーングプタ)が存命中の、緑や赤の華やかなサリー、夫が亡くなってからの白や落ち着いた色のサリー等々、アクセサリーも含め、つぶさに見たいファッションです。

ⒸEsselvisionproduction(p) (LTD)

また、夫の藩王ファッションも見事のひと言。ベンガル人俳優ジーシュ・セーングプタはノーブルな顔立ちで、貫禄もあり、幼さの残るラクシュミー・バーイーとの対比がなかなかいい感じです。

ⒸEsselvisionproduction(p) (LTD)


3.戦うラクシュミー・バーイー時代

ここのファッションこそ、現代のインドの伝統ドレスに取り入れたいものが多く、惹きつけられます。典型的なのは、近隣のグワーリヤルの王家に説得に行くシーンのこの姿。

ⒸEsselvisionproduction(p) (LTD)

現代のサルワール・カミーズやクルター・パジャーマー(長い上着とズボン、そしてロングスカーフの3点セットの衣裳)に通じる感覚で、戦闘服のためスカーフこそしていませんが、男性と同じくターバンを被っています。このターバン、「マダム用戦闘ターバン」とでも呼びたいような優雅かつ実質的なデザインで、この直前の戦闘シーンでも被って戦います。最初にアップしたチラシの画像もご参照下さい。そのほか、サリー姿も動きやすい着方になっていて、下の女子だけの軍隊を訓練するシーンとかで確認することができます。

ⒸEsselvisionproduction(p) (LTD)

チラシの画像は戦闘のさなか、幼い王国の継承者ダーモーダルを守りながら戦うラクシュミー・バーイーですが、この一見無骨な戦闘服も、細工を施した革の腕カヴァーや胴着など、とても凝っています。

ⒸEsselvisionproduction(p) (LTD)

今回『マニカルニカ』で衣裳デザインを担当したのは、著名女性デザイナーとしても知られるニーター・ルッラー。彼女が注目されたのは、『デーウダース』(2002)で、アイシュワリヤー・ラーイとマードゥリー・ディークシトの豪華なサリーの数々をデザインしてからで、今までに300本を超す映画の衣裳デザインを担当しているとか。これまでにも、同じ歴史ドラマ『ジョーダーとアクバル』(2008)で国家映画賞の衣裳デザイン賞を受賞するなど、数々の賞を受賞しています。インドでもファッションに関心を寄せた人が多いのか、画像をいろいろ集めたこちらのサイトには、本作のファッション一覧のような作りの写真も多く含まれています。

こんな楽しみ方もある『マニカルニカ』。美しい映像を大画面でぜひご鑑賞下さい。最後に予告編を付けておきます。

映画『マニカルニカ ジャーンシーの女王』予告編

 

 


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