アジア映画巡礼

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変身前のテルグ語映画を見る

2024-03-22 | インド映画

現在公開中のテルグ語映画『ザ・フェイス』(2014)と『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』(2010)。奇しくも同じヴァムシー・ヴァイディパッリ監督の作品ですが、10年前以前のテルグ語映画はこんな感じだったのか、と腰砕けになるような作品でした。これでは、ボリウッド側の視野にも入って来なかったはずです。しかし、すでにS.S.ラージャマウリ監督は2010年に『あなたがいてこそ』(同年テルグ語映画興収2位)を、そして2012年にはCGをふんだんに使った『マッキー』(同年テルグ語映画興収2位)を世に出しているので、テルグ語映画界が変わり始める過渡期への入り口だった時代なのでしょう。しつこく反復される動作やシーン、強調だけを目的としたカメラワーク等々という粘着性には、私などはだいぶ辟易してしまいましたが、主演俳優のファン向け映画、と言うべきなのでしょうか。インド公開時の興行収入がいまひとつ伸びなかった、という結果からは、そのファンたちが「このスターはもっといい作品に出るべき逸材だ。彼が輝く映画を作れ!」と叫んでいる声が聞こえるようです。ストーリー等は公式サイトを見ていただくとして、映画のデータを付けておきます。

『ザ・フェイス』 公式サイト

 2014年/インド/テルグ語/166分/原題:Yevadu  /字幕:内海千広 
 監督・脚本:ヴァムシー・パイディパッリ
 音楽:デーヴィ・シュリー・プラサード
 出演:ラーム・チャラン、シュルティ・ハーサン、エイミー・ジャクソン、ジャヤスダ、ラーフル・デーヴ、スッバラージュ
 特別出演:アッル・アルジュン、カージャル・アガルワール
 配給:インドエイガジャパン
※2月23日(金・祝)よりシネ・リーブル池袋、池袋HUMAXシネマズほか順次公開

『RRR』ラーム・チャラン主演の大ヒット作が日本上陸!映画『ザ・フェイス』予告編

 

『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』 公式サイト Fan's Voiceサイト

 2010年/インド/テルグ語/170分/原題:Brindavan బృందావనం/字幕:内海千広 
 監督・脚本:ヴァムシー・パイディパッリ
 出演:NTR Jr.、カージャル・アグルワール、サマンタ
 配給:インドエイガジャパン
※3月15日(金)よりシネ・リーブル池袋、池袋HUMAXシネマズほか順次公開

映画『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』予告編

 

どちらの上映もパンフレットはありません。グッズの販売のみです。グッズの売れ行きがいいようで、ファンはありがたいなあ、という感じでしょうか。

アクスタ、大当たり、といったところですね。私の方は、この日でここの劇場では上映が終わるインド映画『ストリートダンサー』(2020/ヒンディー語)のパンフレットを買いました。紙質のよい、立派なパンフで、内容も充実、特に公開前のパブ(宣伝)では見たことのない画像が一杯使ってあって、こんないい画像を隠していたんなら使わせて下さいよォ、と思いました(そうは問屋が卸さない、のが映画業界というところ)。ここには表紙と裏表紙中の写真だけしか付けてありませんが、中開きのページに使ってある6枚の写真など、惚れ惚れします。

内容ももちろん充実していて、コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニーのインド舞踊のお師匠様野火杏子さんのインタビューとか、字幕も担当なさっている佐藤裕之さんのエッセイ「パンジャーブ地方の歴史」とか、興味深いものがいっぱい。野火先生が、ゴーヴィンダーの踊りがお好きとは知らなかった! 下写真の人気男優で、1990年代には、本作の主演男優ヴァルン・ダワンのお父さんデヴィッド・ダワン監督と組んで、『Aankhen(目)』(1993)を皮切りに、『Raja Babu(ラージャー坊ちゃん)』(1994)、『Coolie No.1(クーリー・ナンバーワン)』(1995)、『Hero No.1(ヒーローナンバーワン)』(1997)等々、いくつものヒット作を世に出した人です。

Photo by R.R. Chawla

パンフレットを作っての映画の一般公開、というスタイルは、日本の長い伝統に裏打ちされているものでもあるので、インドエイガ.comさんも、将来的にはパンフを作ってのちゃんとした公開を目指してほしいものです(でも、急ごしらえ公開が多いから無理だろうなあ...)。などと考えながら帰ってきた、シネリーブル池袋での上映でした。

 


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