お待たせしました、「豊穣の秋の韓国映画」第2弾は『弁護人』です。以前香港で見た時に感激して、「日本でもきっと公開されると思うので、楽しみにしてお待ち下さいね」とブログに書いたのですが、あれから2年、ついに公開されることになりました。日本語字幕で見てみたら、ガンちゃんことソン・ガンホの法廷での弁護シーンがさらによくわかり、迫力倍増。まずは基本データからどうぞ。
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『弁護人』 公式サイト
2013年/韓国/韓国語/127分/原題:변호인
監督:ヤン・ウソク
主演:ソン・ガンホ、オ・ダルス、イム・シワン、キム・ヨンエ、クァク・ドウォン
提供:彩プロ、スプリングハズカム
配給:彩プロ
宣伝:彩プロ、フリーマン・オフィス
※11月12日(土)、新宿シネマカリテほか真実のロードショー
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19870年代末の韓国。主人公は、高校出の学歴だけで司法試験に受かった努力家のソン・ウソク(ソン・ガンホ)。判事から弁護士に転身したものの、仕事が来なくて、信頼する先輩弁護士のもとに顔つなぎに通ったり、会う人ごとに名刺を配ったりする毎日でした。彼はこれまで弁護士が手がけていなかった不動産登記に目を付け、引き受け始めたのはいいのですが、大学出の弁護士たちからは邪道の存在として軽蔑される羽目に。ですがこの商売は当たり、補佐役の事務長ドンホ(オ・ダルス)や女性事務員も雇って、大いに羽振りをきかせます。そんな時、昔不義理をしたのがきっかけで、今は家族のように付き合っている食堂のおばさんスネ(キム・ヨンエ)の息子ジヌ(イム・ジワン)が、公安当局に捕まったことが判明しました。女子工員たちと勉強会を開いていただけなのに、それが「アカ」の活動だとして検挙されてしまったのです。スネから懇願され、ジヌに面会に行ってみると、ジヌは明らかに拷問を受けたと思われる様子で出て来ました。ウソクの正義感が騒ぎ始めます...。
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冒頭、栄養ドリンク「バッカス」の箱を小脇に抱え、先輩の事務所を訪れるウソクの姿は、弁護士と言うにはあまりにも庶民的すぎます。ソン・ガンホの昔の作品、『反則王』(1999)などをつい思い出してしまうような、冴えない小市民です。その後に登場するエピソードも、それを裏付けるものばかり。敏腕弁護士と言うよりは、気のいい、そして金銭的な計算もちゃっかりできる、その辺のおっさんという感じですが、そんなウソクが、ジヌを弁護していくうちにどんどん変わり始めます。かつて、高校出で司法試験に受かろうと不断の努力をした時のように、ジヌたちの思想背景を証明するため夜遅くまで文献を読み、その内容を頭にたたき込んでいくのです。それらを背景に、ジヌの弁護に邁進する姿は、まさに「神ってる」。すでに出来レースと思っている裁判長と検事、ウソク以外の弁護士のなれ合いを突き崩し、真実に迫っていくウソクは、一回りも二回りも大きく見えます。
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そのウソクの天敵となるのが、公安の警監チャ・ドンヨン(クァク・ドウォン)。甘い顔をし、ふっくらとしたその容貌からは女性的なものすら感じるのですが、この男、冷酷無比。まさに血も涙もない奴と言え、戦前の日本の特高(特別高等警察。思想犯を主に扱った)を彷彿させるやり口で、ジヌら検挙した青年たちを追い込んでいきます。演じているクァク・ドウォンの演技が素晴らしく、最後の最後まで敵役としての貫禄十分。彼とソン・ガンホの演技対決は、劇中のウソクと公安側との闘いを手に汗握るものにして、観客を劇中に引き込んでいきます。
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もう1人、注目すべき人はジヌ役のイム・シワン。最初この『弁護人』を見た時は、嵐の二宮クンに似た俳優だな、と思って見ていたのですが、あとで調べると9人組の男性アイドルグループZEA(ゼア)のメンバーだそうで、これが映画初出演だとか。このあとにテレビドラマ「ミセン-未生-」(2014)に出演して大ブレイク、一挙に若手俳優としても注目が集まるようになります。さらにその後『戦場のメロディ』(2015)で映画初主演も果たし、その成長ぶりを見せつけました。『弁護人』でも、拷問され、ニセの供述書を強いられてだんだんと精神的にまともでなくなっていくジヌを、ひたむきに演じていて涙をさそいます。
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ほかにも、事務長役のオ・ダルス、ジヌの母役のキム・ヨンエ、そして同級生の新聞記者役のイ・ソンミン(下写真)ら芸達者が脇を固め、社会派ドラマとしても、サスペンス劇としても見応えのある作品に仕上げています。当初、韓国の元大統領で、2009年に衝撃的な自殺を遂げた盧武鉉(ノ・ムヒョン)の青年時代の話、と聞いて、亡き人を持ち上げるヨイショ映画かと警戒しながら見たのですが、元大統領の人生に依拠しつつも、普遍的に理想と正義を求めて闘う人を描く秀作となっていました。
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それにしても、ソン・ガンホ恐るべし。もう、至宝の韓国俳優と言ってもいいかも知れません。今回もハズレなしのソン・ガンホ主演作、『弁護人』をぜひ劇場でご覧になってみて下さいね。
『スノーピアサー』などのソン・ガンホが主人公を熱演!映画『弁護人』予告編
咳は体力消耗しますからね。
マサラ咳には、マサラで!
スパイスたっぷりのチャイでも飲んで、温かくしてくださいね。
早く良くなりますように・・・。
おもしろそうな韓国映画をご紹介いただき、ありがとうございます。
この映画、ソン・ガンホをはじめ、実力派俳優が出演していますね。
クァク・ドウォンやイ・ソンミンは、ドラマで観て、演技力のある俳優さんだな~と思っていました。
韓国は、こういう社会派(この言い方で正しいのかな?)映画、本当うまいというか、cinetamaさんのいうとおりハズレなしなので、是非、観たいですね~♪
観たい映画がいっぱいで、毎日が映画祭な感じです(#^.^#)
また素敵な映画のご紹介、楽しみにしていますね♪
『弁護人』に続き、やっと『戦場のメロディ』も今アップしました。
こちらもぜひどうぞ。
ガンちゃんも好きですが、イム・シワンもいいですね~~~(ゴホッ、ゴホッ)。