最近、公開されないままでDVD化されたインド映画を2本発見しました。次の2作品です。
『聖者の谷』
2012年/アメリカ・インド/カシミール語・英語/82分/原題:Valley of Saints
監督:ムーサ・シード(正しくは:ムーサー・サイード)
主演:グルザール・バット、ニーロファル・ハミッド、アフザル・ソーフィー
2013年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された作品で、こちらに来日ゲストのインタビュー記事があります。「allcinema」のサイトによると、「劇場未公開-WOWOWにて放映」とのことなので、監督名の表記が間違っていたりするのは、放映時にアジアフォーカスの表記を参照せず、別途ローマナイズからカタカナ書きしたものが使われているのでは、と思います。アジアフォーカスの時は確か、カシミールに長く留学していた拓徹さん(「インド人の謎」星海社の著者)がカシミール語の監修をして下さったように記憶しているのですが、今回のDVDには字幕のクレジットがなく、アジアフォーカスの時の字幕が二次使用されたのかどうかは不明です。詳しい内容紹介等は、下のサイトをご覧下さい。
クリエーター情報なし | |
アメイジングD.C. |
紛争中のカシミール地方を舞台にした作品は珍しく、閉塞状況に対応せざるを得ないカシミールの人々の日常が、ドキュメンタリー・タッチで描かれていきます。「外からやってきた女性を好きになる青年」というプロットはちょっと陳腐なのですが、外出禁止令の緊張感とその抜け穴など、リアルなカシミールの顔を十分に見せてくれて、惹きつけられます。インド版予告編を付けておきます。
Valley Of Saints Trailer
もう1作はこちらです。
『ピザ!-PIZZA!-』
2014年/タミル語/91分/原題:Kaaka Muttai
監督:M・マニカンダン
主演:ラメーシュ、 ヴィグネーシュ、アイシュワリヤー・ラージェーシュ
(画像はインド版DVD(109分)のもので、日本版DVDとは異なっています)
今日TSUTAYAのレンタルコーナーで見つけたのですが、どうやらセルDVDは出ていないようで、レンタルとネット配信のみのようです。ネット配信はTSUTAYAがこちら、アマゾンがこちらです。チェンナイのスラム街に暮らす幼い兄弟が、ピザに憧れ、近所に開店したピザ屋でピザを食べてみたいと夢見るお話で、兄弟役の少年たちがとてもチャーミングです。原題の「カラスの卵」は、父親が刑務所に入っている貧しい家庭なので、母親も祖母も高価な鶏卵を食べさせることができないため、兄弟は木に登ってはカラスの巣から卵を失敬してくることを繰り返し、自分たちを「大きな卵」「小さな卵」と呼ぶ、ということから付けられたタイトルです。日本版は題名も変わり、尺も少し短くなっているようですが、二重丸オススメの1作ですので、ぜひご覧になってみて下さい。インド版予告編を付けておきます。
Kaakka Muttai Official Theatrical Trailer | Dhanush | Vetri Maaran | Fox Star Studios
劇場公開されないのは残念ですが、せめてセルのソフトも出ることを願っています。
ご無沙汰しております。PKでアヌシュカー・シャルマー様,ひいてはインド,インド映画大好きになったものです。
少し久しぶりに先生のサイトに寄せていただきました。
ピザという作品,ツタヤにあるんですね。一度立ち寄りやすいお店で検索してみます。
少し気にかかるのが貧しいひとたちの話のようなのですが,エグイシーンはなかったでしょうか?
スラムドッグミリオネアが見るべき作品といろんなところできいてまして,amazonでみたのですが,ちょっと全体的に悲惨で,目をそむけてしまったのが,子供の目に薬を垂らして・・・というシーンです(怖くてそこで見るのやめました)。あと幼馴染の女の子が売春宿で働いているとか。ちょっと私には無理な作品でした。
あれほどの怖い場面はないでしょうか?trailer拝見した限りでは全体的に楽しそうにみられるような気がしました。
また先生からコメントいただけましたら幸いです。そこまで怖いシーンないとわかればツタヤでさがします。
いつも情報ありがとうございます。たまにサイトによらないといけませんね。
『ピザ!』はエグいシーンはありません。
一番エグいシーンが、カラスの卵を生のまま食べるところ(殻を割って喉に流し込むのですが、お腹こわさへんのォ、あんたら~、と思ってしまいました)ぐらいなので、子供たちも安心して見られる、かわいい作品です。
あと、お金を貯めてピザ屋に入ろうとしたら、貧しい服装なので入れてもらえず、店員から「出て行け!」とぴっぱたかれるシーンとかがありますが、その程度なら大丈夫ですよね?
ご覧になったら、また感想などコメントして下さいませ。
回答いつもありがとうございます。
実は先生のお返事待ちきれず,今夜帰りに某駅舎内のTSUTAYAに寄り検索して扱っていることを確認。PKと同じくらいの枚数そうですね5枚以上は置いてありました。
で,先ほど早速鑑賞,今,見終わったところです。
教えていただいたとおり,怖いシーンもなく,全体的に明るい作りで楽しくみられました。
あまりネタバレしてはいけませんが,先生がお書きのカラスの卵を生でというシーンですが,同じ感想です。日本も貧しかった時にはああいったことやっていたんでしょうかね。昔は卵って高かったときいたことがありますし。
ひっぱたかれるシーンも,大きめに写るのは一度だけで,あとは基本的に遠景ですし,執拗に何発もでもないので,まったく大丈夫でした。
それにしても,インド人であの手のひっぱたき方が好きなのでしょうか?pkでもお寺で賽銭泥棒したときに,用心棒みたいなのがあのような平手打ちしようとしてましたね。
最後5分くらいからが痛快でした!さらにそのまた最後の最後が・・・。
ネタバレになるので書けませんがね。
ただ,最後の最後,子どもたちがああいった感想を持つのって,痛快なのか,悲しいものだなって感じるべきかなど,少し考えさせられます。
ただ,この物語は基本的に親の愛がしっかりと存在していて,スラムドッグの子どもたちとはまったく違いますね。
先生のブログなくして,この映画をみようなんておもいつきもしませんでしたよ。ありがとうございました。
特に美人女優も出るわけでもない(いや,ツウの方なら,あちこちに,あ,あの人出てる!かもですが)ですが,ええ気分にさせてもらえる映画です。
マヌケチンピラ二人組についても,殺されてしまうんじゃとか心配しましたが,ピザ屋の用心棒もちょっとボコっただけのようで安心しました。
子どもでも安心してみられます。そして,国によったらピザがあれほど憧れの的になるんだなあというのも学べます。
お読みの方,ぜひTSUTAYAへ。
名前の知られた人はあまり出ていなくて、お母さん役のアイシュワリヤ・ラージェーシュと、ピザ屋のオーナーとオープン時に来るスター、町のチンピラのもじゃもじゃ頭の人、線路の保守おじさん役の人などが顔が知られている程度です。
ノンスター作品ですが、香港でも公開されたりしていましたので、日本での公開も心待ちにしていたのですが、DVDスルーになってしまって残念です。
カルチュア・パブリッシャーズ、つまりTSUTAYAの自家ブランド作品なので、展開に力を入れているのは確かなため、どこの店舗でも手に入りやすいかと思います。
まだの方は、ぜひご覧になってみて下さいね。