『敵』
□作品オフィシャルサイト 「敵」
□監督・脚本 吉田大八
□原作 筒井康隆
□キャスト 長塚京三、瀧内公美、河合優実、黒沢あすか、松尾 諭、松尾貴史、
カトウシンスケ、中島 歩
■鑑賞日 1月20日(月)
■劇場 109シネマズ川崎
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
<感想>
久しぶりに長塚京三さんの演技が観れるので楽しみしていたこの作品。
第37回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、東京グランプリ/東京都知事賞、
最優秀監督賞(吉田大八)、最優秀男優賞(長塚京三)の3冠に輝いた。
原作は未読。全編モノクロ映像で描かれた作品。
妻には先立たれ、大学教授をリタイアし、代々続く日本家屋に一人暮らしの
渡辺儀助(長塚京三)77歳。特に不自由なく暮らしていた彼のもとに、
ある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてきた。
穏やかな生活を送っていた独居老人の主人公の前に、ある日「敵」が現れる。
ほぼ一人芝居と言ってもいいほどで長塚さんの力量が伝わってくる映画だった。
「妄想」なのか、「自虐」なのか、観た人の感じ方は違うかもしれない。
日々同じ繰り返しの生活で、自分の死までのカウントダウンを、
一人暮らしの老人が「生きること」と「死ぬこと」の狭間で揺れ動く心理描写を、
静かに描いていくのは観ていて共感できる部分もあった。
意外に、いや思った通り、シネコンには初老の方たちが多かったように思う。
死に向かって生きているのは誰しもが当たり前で、ただリタイアして無趣味な老人は、
その方向を迷わないように進むしかない。
描かれる自殺未遂もある意味あり得ないことはないだろう。孤独死も・・・。
意味不明な部分も、原作未読ゆえのことだったのかもしれないが、
何かをつかもうと思っても、この映画の真意を理解することは難しい。
きっと主人公と同様の事態になって初めて、理解することが出来るのかもしれない。
モノクロだったから、様々な想像が働いたことは評価できるものだったと思う。
何気ない毎日の主人公が作る料理は、カラーで観てみたい気もしたが(笑)
長塚京三79歳、吉田大八監督61歳、筒井康隆90歳(出版時73歳)。
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