京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

「身の上話」/佐藤 正午

2013-04-05 | Book

「身の上話」/佐藤 正午(光文社)

 

 

 あなたに知っておいてほしいのは、人間にとって、
秘密を守るのは難しいということです。 たとえひとりでも、
あなたが誰かに当選したことを話したのなら、
そこから少しずつ噂が広まっていくのは避けられないと
考えたほうがよいでしょう。(『【その日】から読む本』第二部・第4章)

地方の書店で勤務していたミチル(23歳)は、ある日、書店の同僚などには
歯医者に行くと言って、実は不倫関係が始まったばかりの東京の出版社の
社員・豊増一樹を空港に見送りに行くつもりが、衝動的に羽田行の飛行機に
乗ってしまう。 出掛けに立石、沢田主任、初山から頼まれて買った宝くじを
持ったまま。 地元の恋人の上林久太郎には何も連絡をせずに・・・。

最初は次の日の早朝に帰るつもりだったが、何故か豊増が
予約してくれた飛行機には乗らず、
そのまま東京に居ついてしまうのだ。
とはいえ、豊増以外には知り合いもおらず、結局ミチルは後輩(高校)で
大学生の竹井輝夫の部屋に居候することになる。 実家にも何の知らせも
しなかったことから父親の怒りを買い、ミチルの貯金百万円も
おろされてしまう。
ところが、ある宝くじ売場で頼まれた宝くじをチェックしてもらい、
その中の1枚が何と2億円当選していたのだ。 ただこれは
立石、沢田主任からは5,000円ずつ、初山から3,000。
立石と沢田主任の分はほんとうなら16枚ずつでそれぞれ200円の
おつり、のはずがミチルはもう1枚余分に買ってしまったのである。
そこからミチルの人生が思いも寄らぬ速度と方向で走り出す。

この小説の鍵は、宝くじで当選した
2億円。
それを巡ってそれまでのミチルを知る同僚の立石、沢田主任、初山、
地元の恋人だった上林久太郎、不倫相手の豊増、学生時代の後輩・
竹井、
また新たに逃避行の間で知り合う竹井の彼女・高倉等々。
様々な人間関係がミチルの「2億円」を巡って、人間として犯罪者として、
ありえない人としての最大の振りを見せるのである。

そして、ストーリーテラーとして、
最初から
ミチルの「身の上話」を語っているの「私」が、

この物語の最大の謎であり、オチなのだ。

先日、何かの占いで、2月27日の17:00以降でその日のうちに、宝くじを
買えば、当たる確率が上がると知り、買いに行ったことを思い出した。
その翌日にこの本を読み始めたので、何かの因縁を感じる。

人は予測も付かない大金を持ったとき、
どんな風に変わっていくのか・・・。
それを、この小説で目の当たりにすることになる。

「【その日】から読む本」なんて欲しくないかも・・・。


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2 コメント

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こんばんは (kazu)
2013-04-05 23:36:48
ありえない行動など
共感できる人間は一人も
いなかったですが…
読めない展開が
面白くて結構楽しめました。
返信する
夢~ (cyaz)
2013-04-06 08:03:49
kazuさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>ありえない行動など共感できる人間は一人もいなかったですが…
やはり大金が絡むと人間の本性がでるのでしょうか・・・。

>読めない展開が面白くて結構楽しめました。
やっぱ、誰でも宝くじって夢を見ますからね(笑)
返信する

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