京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『ミリオンダラー・ベイビー』

2005-05-30 | 洋画

 “モ・クシュラ”

■監督・製作 クリント・イーストウッド
■脚本 ポ-ル・ハギス
■原作 F・X・トゥール
■キャスト クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、アンソニー・マッキー

 ★第77回アカデミー賞主要4部門を制覇!
  ・作品賞
  ・監督賞 クリント・イーストウッド
  ・主演女優賞 ヒラリー・スワンク 
  ・助演男優賞 モーガン・フリーマン

 「自分を守れ」が信条の老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)は、
23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と、昔ながらの
ジム、ヒット・ピットでボクサーを育成している。 有望株のウィリー(アンソニー・マッキー)は、
教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、
別のマネージャーの下へと去ってゆく。 そんな折、フランキーの前に現れた女性ボクサー、
マギー(ヒラリー・スワンク)。 マギーはフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは
女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーの一本気さに、
やがてフランキーの心も揺り動かされ始めるのだった。

おススメ度 ⇒★★★★(5★満点、☆は0.5)
cyazの満足度⇒★★★★☆

実に素晴らしい映画です。 アカデミー受賞作品は時に「何でこの映画がアカデミー作品に?」と
いう疑問を感じる時がありますが、この映画はアカデミー賞で作品賞をはじめ主演女優賞、
助演男優賞、監督賞の計4部門を受賞しました。 殆どが主役である3名の各々が力を発揮し、
それぞれがオスカーを手に入れた作品だと素直に思える作品でした。

原作は、50歳を過ぎてからボクサーを目指し、その後トレーナーに転じた人物で、96年に
心臓発作を起こしたのを機に筆を執り、70歳にして発表したF・X・トゥール。
短編集『Rope Burns』(邦題:『ミリオンダラー・ベイビー』)におさめられた作品で、主人公と
同じく、試合中のボクサーのケガに応急処置を施すカットマンをしていたトゥールによる
リアルなエピソードをベースにした作品である。
 
この原作を読んで映画化への興味を示したイーストウッド。 監督業もすっかり板について、
しかもこのキャスティングも最高だったと思う。 ヒラリー・スワンク、そしてモーガン・フリーマン。 
 
ヒラリー・スワンクが演じるマギーはスワンクだからこそ出来た役だと思える。
女優としてのハングリーさが、このボクサーという役柄にあまりにはまっていた。
時々見せる彼女の目の強さにゾクゾクさせられた。 役者としては他の女優さんとは
一味違う感じがする彼女だが、こういった非常に個性的な役柄は彼女にとても似合う。
ボクシングなんて全く興味なかった彼女が、この役を作るためにかなりのトレーニングを
積んだことは、映画を観ればすぐにわかるはずだ。 サンドバッグを打ち続ける彼女は
本気でボクサーを目指しているような殺気すら感じるくらいだった。
 
またいぶし銀のモーガン・フリーマン。 彼がこのキャリアをしてオスカーが始めてというのは
ほんとビックリで、プロモーションで来日したヒラリーへのインタビューで「私が2度のオスカーなら、
彼は10個は必要だわ。」と言ったぐらい、その言葉が当然のように聞こえてしまうから不思議だ。
ヒラリーとの会話の面白さももちろんだが、やはり老練なイーストウッドとの会話が実に楽しい。
もちろん涙を誘う場面もあるのだが、僕はこのイーストウッドとフリーマンの実に魅力ある演技に
感嘆してしまった。 映画を歳観てる最中一人でニコニコしていた。

イーストウッドは監督として、映像的に孤独なボクサーとそれに関わる人物の画を、光の当たる
部分と影になる部分とを見事に使い分けた映像に仕上げている。 更に音楽についても
ストーリーの邪魔にならず、必要最小限な音楽で演出しているところが素晴らしい。 
しかも自身が作曲をしているのである。 そもそもイーストウッドの監督作品は少なからず
彼の音楽的センスが生きていると思う。
もうひとつ、この映画の中でイーストウッド演じるフランキーは23年間教会に通い続ける。
その教会の牧師との会話も楽しめるところです。
 
イーストウッドとスワンク、お互いの父親・娘を互いに相手に映しながら夢に向かって
進んでいく姿は、僕が今まで観た映画の中でも最良のものだと言える。 そこにフリーマンが
加わることで実に巧妙に且つ魅力的な出来映えの映画になっている。

↓ネタバレというか・・・  
こういうエンディングが用意されているとは知らなかった。 確かに予告編ではゴング後に
卑怯な相手のパンチを受ける部分があったが、まさか自分を守れなかった彼女の最期の
選択があるなんて・・・。 イーストウッドは彼女の選択を受け入れる決心をする前に、
返送され続ける娘への手紙が、最後のカットで、拾い上げた手紙は娘からの初めての
返事が来たのだったんだろうか? だからこそスワンクへの死への選択を協力してやろうと
決心できたのだろうか? 残念だったのはあの手紙が返送なのか、娘からの最初で最後の
手紙だったのか、そこが見て取れなかった。

ラストシーンのように、僕も静かにレモンパイを食べた。


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130 コメント

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トラックバックありがとうございます (ゆう)
2005-05-30 01:13:06
ヒラリー・スワンクは素晴らしかったですね。3人とも素晴らしい演技を見せてくれましたが、中でもスワンクの演技が光る一作でした。
返信する
TBありがとうございます (小夏)
2005-05-30 07:33:32
私の場合、予告篇も目にしていなかったので存分に楽しめました。

ヒラリー・スワンクの表情、セリフ全てに感銘を受けました。

彼女は素晴らしい女優です。

納得のオスカー受賞ですねw
返信する
はじめまして (ゆうき)
2005-05-30 07:37:47
TBありがとうございます!

サクセスストーリーだと思って

観に行った私にとっては、ラストは衝撃的でした。

ラストを知ってから観ると生まれる感情も

違ったものになると思うので、

再度観に行こうと思っています。

返信する
そうですね~ (cyaz)
2005-05-30 08:51:44
ゆうさん、TB&コメントありがとうございますm(_ _)m



彼女にぴったりの役柄だったと僕も思いました!

彼女は本当に上手な女優さんになりました^^
返信する
どうも~ (cyaz)
2005-05-30 09:01:07
小夏さん、TB&コメントありがとうございますm(_ _)m



スワンク、上手ですよね~♪

ほんと、オスカー2度は実力だと思いますねぇ!
返信する
TBありがとうございます (Master)
2005-05-30 10:18:19
 賞取りレースの時には「大穴」と言われてましたが、見てみて感じたのは

「これが大本命じゃないか」という印象でした。もちろん結果を知って見ている

事を差し引いて考えないといけないとは思いますが、非常に心に残る映画でした。



 ラストの手紙、僕は返送されたものだと思ってます。だからこそ仮でこそあれ

真に信頼している「娘」の選択を尊重する気になったのだろうと考えてます。

スクラップが実の娘に手紙を書いているようなシーンもありましたし。



 ネタばれ配慮したつもりですが、問題あると思われたら消してしまって下さい。
返信する
TBありがとうございました^^ (choco)
2005-05-30 10:55:26
ヒラリー・スワンクの演技が光る作品だったと思います!

最期は悲劇となりましたが、だからこそ惹きつけるモノがあったんじゃないでしょうか。。。
返信する
おはつです~ (cyaz)
2005-05-30 12:29:04
ゆうきさん、コメントありがとうございますm(_ _)m



>ラストを知ってから観ると生まれる感情も違ったものになると思うので、

再度観に行こうと思っています。



僕も同じ気持ちを持っています。

あのラストが用意されているとは知らなかったので、

もう一度その感動と3人の心の動きを感じたいと思っています^^

返信する
やっぱり~ (cyaz)
2005-05-30 12:33:57
Masterさん、TB&コメントありがとうございますm(_ _)m



>「これが大本命じゃないか」という印象でした

仰るとおりだと僕も思いました!



>僕は返送されたものだと思ってます。だからこそ「娘」の選択を尊重する気になったのだろう

ありがとうございます。僕もかみさんと話していて同様の想いでいました^^

もう一度観たい映画です!
返信する
おはつです~ (cyaz)
2005-05-30 12:39:25
chocoさん、TB&コメントありがとうございますm(_ _)m



>スワンクの演技が光る作品

そうですね!

登場人物も少なく、それぞれが個性的で演技派である分、

じっくりとそれぞれに感情移入が出来て、

久しぶりにアカデミー賞らしい作品に出会いました!
返信する

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