daddy-kのいきあたりばったりⅡ

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ベン・ウェブスター/ダニーボーイ

2024-09-20 | 音楽つれづれ

「ダニー・ボーイ」を知ったのはハリー・べラフォンテの歌からだったか、サム・テイラーのテナー・サックスだったか、ともかく私がまだ中学生の頃だったと思います。

その後シル・オースチンなども知ったのだけど、あの頃人気があったのはサム・テイラー。この曲や「ハーレム・ノクターン」などの官能的な響きにやられたファンが多くいて、その勢いで歌謡曲も多く吹込み人気者になったようで何よりです。

私がジャズ・サックスのベン・ウェブスターを知ったのも「ダニー・ボーイ」からで、ジャズに詳しい友人が「これ良いよ、サム・テイラー真っ青だよ」と教えてくれたのが記憶に残っていますが、なるほど良くて一発で好きになりました。

個人的感想ですが、同じテナー・サックスでも一番ムード・ミュージックに寄せているのがシル・オースチン。いま聞くと若干クサいですがその時代に合ってました。また、ポップ・インストとして王道を行ったのがサム・テイラーという感じ。

そして、一番スマートで"大人の音楽"と感じさせてくれたのがベン・ウェブスターでした。

元は「ロンドンデリーの歌」とか、「ロンドンデリーの流れ」と呼ばれるアイルランド民謡。決まった歌詞は無かったようで、イギリスのコーラス・グループのザ・スコラーズも歌詞を付けず、ハミングで歌っていました。※東芝EMI:ザ・スコラーズ「なつかしきイギリス民謡」より。

その曲に最愛の息子を兵士に送り出す、と言う親の心情を歌詞にしたのがイングランドの弁護士フレデリック・ウェザリーで、歌声は無くとも、詩の持つ静かな怒りや悲しみ、そういった感情が伝わってくるような演奏と感じたものでした。

 

アメリカでジャズ・メンとして活躍してきたベン・ウェブスターですが、後年はヨーロッパで暮らすようになり、そこで吹き込んだのが「恋人と恋泥棒のために」。バラードを集めた演奏は選曲よし、タイトルよしで個人的に大好きです。

亡くなられたサックス奏者の尾田悟さんが「テクニックは練習すれば出来るけど、バラードは感情を持ち合せないと吹けない」と語っていたそうですがわかる気がします。感心はするけど感動はしない音楽ってありますが、ここには豊かな感情が溢れています。

今日9月20日はそのベン・ウェブスターさんの命日。

亡くなられたのが1973年だからもう半世紀以上も経つのですね、数々の素敵なバラード・プレイをありがとうございました。

以上【聞きたい365日】第384話でした。