年が改まりまた一つ歳を重ね、「門松は何とかの一里塚」などと読んだ一休宗純の皮肉に、少し共感を覚える歳になりましたが、寒い今時期だからマイナス思考になるのか?
日中の気温がプラスになる三月とかに正月があると、もっとポジティブになれるのかも。沖縄では二月の旧正月を祝う地域もあるそうで、寒緋桜の咲く正月は素敵でしょうね。 季節の移ろいがあるから折々の楽しみがある、道民はそう思って今は辛抱の時期ですが。
話が時の移ろいとなると、色々ある中で私が好きなのが、サンディ・デニーの書いた名曲、「時の流れを誰が知る」(Who Know the Time Goes)があります。
今日は彼女の誕生日。なので少しだけこの曲に触れてみたいと思います。
鳥たちが夕空を去ってゆく あの鳥たちはどうしてその時を知るの? 過酷な冬を前に私はまだ夢みている。 時とはどんなものか私にはわからない 誰か知っているのかしら?時の行方を…
彼女が歌ったのは、ザ・ストロベリー・ヒル・ボーイズというグループに参加した1967年。そのテープがジュディ・コリンズに渡り、翌年の彼女のアルバム・タイトルになりました。白状すると私は当時、ブリティッシュ・フォークのトラッド・シンギングが苦手だったので、ジュディの方がスーッと入って来ました。今はサンディの方により惹かれますが。
因みに鳥が飛んで行くのは、サンディでは Across the evening sky ですが、ジュディの盤では morning sky 。どちらでも…とは思いますが、さあこれからの朝より、ねぐらに帰る一日の終りの情景の方が、この曲に合っているかな?は個人的感想ですが。
サンディのソロ・アルバム(上)は後追いで、先に聞いたのは1969年のフェアポート・コンベンションの方。当時はこのギター(R・Thompson)の音数がやたら多く感じ、ジュディ盤のギター(S・Stills)に比べると、なんかねぇ…と思っていました。トラッドも苦手だったし。
好きなブルーグラスも源流はアパラチア山脈周辺のマウンテン・ミュージックだったり、更に遡れば古いケルト・ミュージックだったりしますし、英国のエレクトリック・トラッドも時間の出来た今、ゆっくり聞き直してみるのも良いかな?
けれど歳月は人を変える? 半世紀以上も古いポップス・ファンでいると、そうした情報の切れ端が少しづつ流れ込み、自分の中で適当に融け合い醸成される。これがエイジングと言うなら、トシとるのも悪くはないかな?と。
私は一人じゃない 恋人がそばにいるから 別れの日が来たとしても 冬の嵐が来ても 春はまた来て鳥は帰ってくる。時とはどんなものか私にはわからない 誰か知っているのかしら? 時の行方を…
彼女が20歳の時に書いたこの曲、既に達観した歌のようにも聞こえ、78年に31歳の若さで夭逝する事を予知していたかのようにも思えるのです。
そして繰り返しこの曲を聞いていると、気持ちが入り込んで何かウルっと来るのは、それもまたトシのせいなのでしょうね。きっと。
※以前旧teacupブログに書いた内容に加筆しました。またフリー百科事典ウィキペディアより「サンディ・デニー」を一部参考にしました。