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花見酒の会計学

2012-04-12 | 会計・株式・財務
桜満開となった先週末、新宿御苑に花見に行ってきましたが入口でビックリ!野球場でよくやっているような手荷物検査。アルコール類を持ち込んでいないかを厳重にチェックしておりました。足元のダンボールには摘発された缶ビールの山。チェックに時間がかかるため入場に長蛇の列・・・・・・・・。
禁酒は今に始まったルールではありませんが、今年はかなり厳しかったですね。
老若男女問わず楽しく花見をしてもらいたいという趣旨は理解できるが、一方で日本の花見で酒を飲ませないのは一体どんな了見なのかとも。酒税収入をみすみす逃してしまうことになるし・・・・。


繰り返すまでもなく、花見とくれば酒。落語では「花見酒」という有名な噺がありますよね。
詳細は専門サイトなどで確認頂きたいのですが、ざっくりまとめるとこんな内容です。

花見で酒を売って儲けようと酒樽や釣り銭まで借りた2人組が、道すがら自分で飲みたくなって、お互いにお金を出し合いながら(=借りた釣り銭が二人の間を行ったり来たりするだけ)飲み合っているうちに実際に売る酒がなくなってしまい、手元に残ったのは最初に借りた釣り銭と債務だけ・・・・。

1960年代には「花見酒の経済学」という本も出版されておりますが、会計の世界ではまさにこれを彷彿させる事例がありますよね。そうです「架空循環取引」。

財務・経理担当者の間に落語ファンが増えているのか、近年、取引事例が増えて、企業不祥事ではすっかりお馴染みの「第三者委員会」が設置される最多の理由が架空取引となっております(帝国データバンク調査)。

いきおい、架空循環取引の対策本もまさに「花ざかり」。

架空循環取引―法務・会計・税務の実務対応
清文社
「循環取引」対策マニュアル―不正発生時の調査とリスクマネジメント
中央経済社


黒字倒産と循環取引―および粉飾企業の追跡調査
税務経理協会


そして、ブームに乗り遅れるなとばかりに(?)、日本公認会計士協会も昨年9月に会長通牒を出しております。
会長通牒平成23年第3号「循環取引等不適切な会計処理への監査上の対応等について

通牒を見てみますと過去の苦い教訓に基づいた対策がふんだんに盛り込まれており、「粉飾関係者に監査の手の内がバレようが知ったこっちゃない!」といわんばかりの協会のなり構わぬ意気込みを感じます(私だけかも知れませんが)。
(不謹慎ながら、私は「確認回答書の信頼性の検証」がツボにはハマってしまいました。というのも、関係者の爆笑を誘った伝説のシニアコミュケーション「外部調査委員会報告書」 p.19「4 残高確認の監査手続に対する犯罪行為」の教訓が記されていたからです。)



あとは会計士の先生方に容赦ない厳格監査をやって頂くだけですね。

新宿御苑の手荷物検査のような。



ちょうどうまく話が「循環」できました。
おあとがよろしいようで。

なかのひと

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