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「過大に計算されていた日本株リターン」に思う

2011-06-08 | 会計・株式・財務
ご無沙汰しております。

「この時期の総選挙はAKB48だけで十分だ!」との思いが伝わったのか、とりあえず内閣不信任を巡る茶番劇は収束しました。しかし、この政治の堕落ぶりは怒りを超えて滑稽ですよね。
先日の「岡本太郎化する日本」でも書きましたが、何も決めることができない今の日本は、財政が無目的に膨らんで、最後は爆発するのだろう、との思いを強くした次第です。

となれば、来るべきハイパーインフレの前に、資産運用を今一度見直さなくてはなりません(そう思っているのは私だけ?)

そんな思いを巡らせている中、こんな興味深いレポートを見つけましたので簡単にご紹介。

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株式投資収益率を再考する--過大に計算されていた日本株の長期リターン
前田昌孝・日本経済研究センター主任研究員

▼要 旨▼ 
株式投資は短期的な値動きの変動は大きくても、銘柄を分散し、長期に保有すれば、資産形成につながりやすいといわれる。しかし、過去の長期収益率としてこれまで日本証券経済研究所が集計・公表してきたものは、計算過程に課題があり、実態よりも上振れしていた可能性が大きい。配当込み東証株価指数(TOPIX)を使って計算し直すと、過去58年間の投資収益率は従来推計を2.8%下回る9.1%にとどまり、1986年以降に投資を始めた場合には大半、元本割れになっていることが明らかになった。

▼ポイント▼
・日本の株式市場の長期収益率は、これまで実態よりも過大に算出されていた
・株式投資を指数連動型で1986年以降に始め、2010年まで運用した場合は、配当収入を加えても元本を下回る年が大半
・市場関係者だけでなく、政府も企業経営者も株式市場の厳しい実態の直視を

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「なーんだ」という声が聞こえてきそうです。

たとえが悪いが、「福島原発は実はメルトダウンしていました」という報告を受けた時に通じる後味の悪さ(アレほどは酷くないですが)。
まさに知らぬが仏。

だからと言って国内株運用離れが加速するとは思わないが、日本の年金も金投資を開始との話もあるし、有力な投資家である生保も法規制強化から株式保有リスクが高まる方向にあるし、国内株運用の重要性はますます薄れてくるのでしょうか。

前田氏は次の言葉で論考を締め括っております。
「…データの利用者が統計のクセをわきまえ、株式市場の姿を正しく理解するように努めなくてはならない。どんな情報でもうのみにしないことの重要さを自戒の念も込めて最後に付け加えたい」。

ホント、何でもそうだよね。


・・・・・ついでに、私からの発信情報も鵜呑みにしないようにね。

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1 コメント

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茶番の後ろ (タケチャン)
2011-06-13 21:11:26
田中良紹氏のブログが私は真実を語っていると思うのですが、、、、、。まあ、何が真実かは歴史しか語れないのが政治ですが。
一読の価値アリだと思います。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/06/post_264.html#more
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