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会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

ソフトバンクが国際会計基準の適用を急ぐ理由とは

2009-09-04 | 会計・株式・財務
大変ご無沙汰でした。



8月30日、総選挙という名の国民的ガス抜きが終わり、
大量の自民党議員が失業者となりました。
溜飲を下げた方も多かったことでしょう。
次は天下り官僚が吊し上げられるのでしょうか。
楽しみです。




さて、少し古い話ですが、世界陸上の女子マラソン。
凄かったですね。

ゴール直前で中国選手に抜かれた日本選手。
あの光景を見て、「GDP」を連想された方、多かったことでしょう。
ダブルで打ちのめされたのは、私だけでしょうか。

それと、銀メダルの日本選手は、
来年、株式会社化する第一生命の人でした。

「そろそろ陸上部が成果を出さないと、
 上場してからうるさい株主から廃部を突き付けられるかもしれない。」
そういう危機感(邪推ですが)が銀メダル獲得に結びついたとしたら、
それも立派な株式公開効果となるのでしょう。






前置きが長くなりましたがようやく本題。
久々に会計ネタ。まずは本日の日経記事から。
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国際会計基準、前倒し 住商・日産、来期にも採用

 日本企業の間で、国際会計基準の前倒し採用を目指す動きが出てきた。
住友商事、日産自動車が早ければ2011年3月期にも適用する方向で検討に
入ったほか、日本たばこ産業(JT)は12年3月期に導入する。
日本経団連は住商などを含む上場19社と共同で実務家で構成する準備会合を
近く立ち上げ、日本基準にない「包括利益」の開示方法など実務面の課題を
整理する。会計の国際化が一歩進む。

 日本経団連が19社とつくる準備会合には新日本、トーマツ、あずさ、あらた
の4監査法人も参加し、月内に初回会合を開く。
日本基準と比べ、会計処理が大幅に変わる項目について問題を整理する。
後続組の企業の参考となるモデルをつくり、国際基準の導入が進む
地ならしにする狙いもある。
                          (引用終わり)
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この19社ですが、顔ぶれを見て、おや?と思いました。
財閥系中心の国際優良企業に交じって、
なぜかあのソフトバンクが名を連らねていたからです。


しかし直後に、妙に納得してしまいました。


ソフトバンクには確かに国際会計基準を早期適用したい理由がある!
と思ったからです。


それは、いわずと知れた「のれん償却」の停止です。

ソフトバンクの決算短信をご覧下さい。


ソフトバンクはB/Sに9,567億円ののれんを計上しておりまして、
H21/3期決算ではのれん償却費が611億円にのぼっており、
大きな負担となっております。

国際会計基準ではのれん償却は停止となりますので、
この定期償却が停止すればその分、純利益は大きく膨れます。
脆弱な株主資本も厚みを増すピッチが早まることでしょう。

もちろんキャッシュフローには中立なのですが、
財務に課題のあるこの会社にとって株主資本がどんどん充実していくことは、
非常に意味のあることだと思います。

同様にJTも、のれん償却停止効果を取りにきたのかも知れませんね。



以上、一面的かつ邪推の域はでませんが、この2社が受ける恩恵は結構あると思った次第です。


<付記>
なお、のれん償却に関しての日本基準と国際会計基準の相違点
に関しては、以下のレポートが詳しく解説しておりますので
ご参考ください。
  ↓ ↓
「のれん償却について考える」



また行きます。


なかのひと

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