いやぁ、私のネタと同様、冴えない天気が続きますね。もう梅雨なんですかねぇ?
さて、5月11日に決算発表を行ったNEC。
NECは米国会計基準を採用しているのですが、週刊ダイヤモンド2006.5.27号
では、当社の過年度連結財務諸表のリステート(修正再表示)の一因となった
「有給休暇引当金」について取り上げていました。
今回はそのご紹介と、関連コメントを少々。
--------------------------------------------------------------------------
・有給休暇引当金とは?
有給休暇=前年度の労働の対価として次年度に一定日数与えられるもの
有給休暇引当金=各決算期末に、消化されるであろう有給休暇の給料見合いを
引当金として貸借対照表(B/S)に計上。
一方、損益計算書(P/L)上では営業費用を計上。
引当額算出方法=有給休暇の残日数×過去の消化率×日給
しかし消化率の見積もりには非常に手間がかかるらしい。
↓
米国企業では、未消化の有給休暇を買い取る観衆があるが、
日本では買取が原則禁止されている上、有給休暇が取り難い環境にある。
このため、日本企業からすれば、買い取らないのでキャッシュアウトも
生じないし、計上するための手間が膨大、と不満もある。
ということで、2004年度以前は、NECだけでなく、日立、東芝といった
米国基準採用会社も適用を見合わせていた。
・しかし、今回、NECはこの処理を導入した。
同引当金の影響で、剰余金が▲220億円減少。
税引前に引き直すと約360億円もの引当金繰入費用が計上。
ただし、営業費用が嵩むのは一時的。
導入後は毎期洗い替えとなるので、従業員数や消化率に大きな変動がなければ、
収支・財務に与える影響は少ない。
・では、なぜ、今回導入したのか?
背景には、中央青山監査法人問題の余波なのか、
担当する新日本監査法人がルールの厳格適用を強く迫っていたと。
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(コメント)
①実は、これも間接的に中央青山ネタだったんですね。
私は、今年の中央青山による監査は厳しくなるのでは?と見ておりました。
しかし、マスコミベースでは、今のところ監査厳格化の事例ってのが確認できません。
他の監査法人が監査厳格化に動いている、ってのも想定の範囲内ですけどね・・・。
有価証券報告書のサインまでまだ何か出て来るかも知れませんので、
もう少し様子を見てみましょうか。
②まぁ、それにしても米国会計基準ってのはリステートやら、有給休暇引当金やら、
いろいろあって面白いですね。
米国基準で思い出しましたが、去る19日に米国財務会計基準委員会(FASB)
メンバーの来日セミナーがあったので行ってきました。
大した収穫はなかったので記事にしませんでしたが、例の国際会計基準との
共同プログラムによる「企業結合」プロジェクトの日程を確認できました。
私が何度かご紹介した、いわゆる少数株主持分を経済的単一体説に基づいて
株主資本に入れちまおう!というあの新基準案です。
2007年の第二四半期に、最終基準の公表を予定しております。
1年後、どうなっているか楽しみです。
FASB側も「経済的単一体説」に対する批判は十分承知していました。
ですが、「ある企業が他社によって支配されたのならは、全ての資産・負債が
支配されたと見なすのが当然でしょう?」とガンコな姿勢も見せておりました。
③日本でも有給休暇を企業側が買ってくれればいいのに・・・・・・。
年次有給休暇の買取禁止。労働基準法39条ですか・・・・・。
私も今年ちょうど節目の年次ということで、やや多目の有給休暇があるんです
けどね・・・・。ほとんど消化できないんだろうなぁ・・・・。
まぁ、万が一取れても、ブログ更新が気になって結局、遠出できないでしょう
から・・・。
④で、この基準が日本に導入される可能性は、今のところ低いようです。
例の国際会計基準とのコンバージェンス(収斂)作業では取り上げられなかった
ようでしたので。
でも、仮に導入されると、有給休暇の「価値」に注目が集まって、
意外と消化率が上がったりして、日本人の勤労観に変化が出るかも。
尤もそれは、企業側が恐れていることかも知れませんが。
さて、5月11日に決算発表を行ったNEC。
NECは米国会計基準を採用しているのですが、週刊ダイヤモンド2006.5.27号
では、当社の過年度連結財務諸表のリステート(修正再表示)の一因となった
「有給休暇引当金」について取り上げていました。
今回はそのご紹介と、関連コメントを少々。
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・有給休暇引当金とは?
有給休暇=前年度の労働の対価として次年度に一定日数与えられるもの
有給休暇引当金=各決算期末に、消化されるであろう有給休暇の給料見合いを
引当金として貸借対照表(B/S)に計上。
一方、損益計算書(P/L)上では営業費用を計上。
引当額算出方法=有給休暇の残日数×過去の消化率×日給
しかし消化率の見積もりには非常に手間がかかるらしい。
↓
米国企業では、未消化の有給休暇を買い取る観衆があるが、
日本では買取が原則禁止されている上、有給休暇が取り難い環境にある。
このため、日本企業からすれば、買い取らないのでキャッシュアウトも
生じないし、計上するための手間が膨大、と不満もある。
ということで、2004年度以前は、NECだけでなく、日立、東芝といった
米国基準採用会社も適用を見合わせていた。
・しかし、今回、NECはこの処理を導入した。
同引当金の影響で、剰余金が▲220億円減少。
税引前に引き直すと約360億円もの引当金繰入費用が計上。
ただし、営業費用が嵩むのは一時的。
導入後は毎期洗い替えとなるので、従業員数や消化率に大きな変動がなければ、
収支・財務に与える影響は少ない。
・では、なぜ、今回導入したのか?
背景には、中央青山監査法人問題の余波なのか、
担当する新日本監査法人がルールの厳格適用を強く迫っていたと。
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(コメント)
①実は、これも間接的に中央青山ネタだったんですね。
私は、今年の中央青山による監査は厳しくなるのでは?と見ておりました。
しかし、マスコミベースでは、今のところ監査厳格化の事例ってのが確認できません。
他の監査法人が監査厳格化に動いている、ってのも想定の範囲内ですけどね・・・。
有価証券報告書のサインまでまだ何か出て来るかも知れませんので、
もう少し様子を見てみましょうか。
②まぁ、それにしても米国会計基準ってのはリステートやら、有給休暇引当金やら、
いろいろあって面白いですね。
米国基準で思い出しましたが、去る19日に米国財務会計基準委員会(FASB)
メンバーの来日セミナーがあったので行ってきました。
大した収穫はなかったので記事にしませんでしたが、例の国際会計基準との
共同プログラムによる「企業結合」プロジェクトの日程を確認できました。
私が何度かご紹介した、いわゆる少数株主持分を経済的単一体説に基づいて
株主資本に入れちまおう!というあの新基準案です。
2007年の第二四半期に、最終基準の公表を予定しております。
1年後、どうなっているか楽しみです。
FASB側も「経済的単一体説」に対する批判は十分承知していました。
ですが、「ある企業が他社によって支配されたのならは、全ての資産・負債が
支配されたと見なすのが当然でしょう?」とガンコな姿勢も見せておりました。
③日本でも有給休暇を企業側が買ってくれればいいのに・・・・・・。
年次有給休暇の買取禁止。労働基準法39条ですか・・・・・。
私も今年ちょうど節目の年次ということで、やや多目の有給休暇があるんです
けどね・・・・。ほとんど消化できないんだろうなぁ・・・・。
まぁ、万が一取れても、ブログ更新が気になって結局、遠出できないでしょう
から・・・。
④で、この基準が日本に導入される可能性は、今のところ低いようです。
例の国際会計基準とのコンバージェンス(収斂)作業では取り上げられなかった
ようでしたので。
でも、仮に導入されると、有給休暇の「価値」に注目が集まって、
意外と消化率が上がったりして、日本人の勤労観に変化が出るかも。
尤もそれは、企業側が恐れていることかも知れませんが。
http://www.nec.co.jp/ir/ja/financial/200506/AuditDoc/702_kansa_0648400101706.htm
FASBのセミナー、私もいました。
KOHさま
ご指摘有難うございました。
仰るとおりでして、早速修正いたしました。
高いといえるかどうか、という問題はあるのですが、
賞与の支給率に有給未消化率を反映させて社員の
ロイヤリティーを高める(というか不公平感をやわらげ
る)という裏技をアドバイスすることはあります。
組織の一体感を維持するために「公平感」を維持す
るのは重要なのですが、そのためには買取制は
有効だと考えます。
バブルに踊りながら外圧に屈して「週40時間制」
を
導入したわが国の労基法ですが、やはりGDPに
対
する加工付加価値型産業の寄与度が高い上に、
休日の過ごし方が「原価以下エンタテーメント」を選
好する国民性のある国では、ご指摘の通り有給の
取得率アップは企業業績にマイナスの影響を与え
かねないと思います。
特に、企業数で99%以上を締める中小企業では、
労働力の量と業績が完全にリンクしていますから、
週40時間制と有給の完全消化を両方こなすというのはかなり厳しい状況にあるということはご認識下さい。
そういう中で、業績・社員のモティベーション・社員の
心身の健康 といったものを向上させてゆくことに智
恵を絞るのが経営ってもんなんです。
いつも役立つ情報をありがとう。