先日、書店に行った私はひっくり返りました。
あのNHK土曜ドラマ「監査法人」のノベライズ版が、出版されているではありませんか。
(かなり前からですが)
↑↑↑
あの…余計なことかも知れませんが、
この本の表紙、暗くありませんか?
何か、ブラック企業の暴露本みたいな装丁になってませんかね?
本題に戻しますと、このドラマは、あの「ゲゲゲの女房」の松下奈緒が公認会計士役を演じて話題となった2年前のドラマです。
名作「ハゲタカ」に続けとばかりに、骨太の経済ドラマを狙った・・・・までは良かったのですが。
ツッコミどころ満載で、救いのない爆笑ドラマでした。少なくとも私にとっては。
(どんな内容かあらすじをご覧になりたい方は拙稿
NHKドラマ「監査法人」に思う をご参照ください。)
ゲゲゲ人気に乗じて、失敗作ともいえるあの作品に投下した資金も回収しようという魂胆かもしれません。
結構売れていました。ドラマを見ていなかった方が買われたのかも。
でも、事実は小説より奇なりです。
こっちの”監査法人”のほうがずっとエキサイティングです。
まずは少し前の週刊ダイヤモンドの記事をご覧ください。
「会計士増の旗振り役が採用減 新日本監査法人のお粗末経営」
これに対して、新日本は早速抗議。
真相はどうなのでしょうか。
そこで実際はどうなっているのか、
「第11期 業務及び財産の状況に関する説明書類」から何か言えるのか、言えないのかを見てみることにします。
まず業績ですが
H21/6期経常赤字▲13億円、最終赤字▲16億円から
H22/6期は経常利益31億円、純利益3億円と黒字を確保。頑張りました。
ただ、2期分の決算書を見て気づいたのは、p.40の注記表で
関係会社向け債権が膨らんでいること。
関係会社向け長短金銭債権は1,843百万円と前年比で+1,622百万円増えています。
B/S「その他の流動資産」はほぼ全額がこれかもしれません。
次にp.41の関係会社との取引をご覧ください。
固定資産譲渡額1,103百万円とあります。昨年には無かった取引です。
では何を売ったのかなぁ?と思ってP.42 有形固定資産明細を見ますと、
有形固定資産はこの1年で償却及び減損以外で約5.8億円も減少していることが確認されます。
これだけの有形固定資産を関係会社に1,103百万円で売却した、とみるのが常識的なところでしょう。
であれば、利益が5~6億円出ているのかなぁ~と思ってP/Lを見ると、
その他営業外収益として631百万円が計上されています。
営業外で計上してるってことは経常的に固定資産を売却しているってことですかね。
(それにしても、建物付属設備からは減損損失が3億円も発生しているってのに、
簿価4.5億円の器具から多額の売却益が発生するってのは、違和感があります。)
ですから、
約5.8億円の有形固定資産を11億円で関係会社に売却して売却益約5億円をその他営業外収入として計上、
未収入金をその他流動資産に計上した可能性があるってことになります。
で、私が次に着目したのはこの売却益の金額です。
もしこの売却益がなかったらどうなるか・・・・・。
当期純利益が291百万円ですから、売却益5億円×(1-税率40%)がもしなかりせば・・・・・
そうです、赤字になっていた可能性があるってことです。
2期連続で赤字となると監査法人は地方公共団体といった公共部門の監査を引き受けられなくなるとのこと。
そこで、関係会社への資産売却により何とか帳尻を合わせた・・・・・・
やはり見た目以上に厳しい決算だったのかも知れませんね。
監査報酬ダンピングが事実だとしますとこの業界もお先真っ暗。
でもブラック業界の仲間入りだけは勘弁してください。
あのNHK土曜ドラマ「監査法人」のノベライズ版が、出版されているではありませんか。
(かなり前からですが)
監査法人 | |
矢島正雄(脚本),小林雄次(脚本・ノベライズ) | |
TAC出版 |
↑↑↑
あの…余計なことかも知れませんが、
この本の表紙、暗くありませんか?
何か、ブラック企業の暴露本みたいな装丁になってませんかね?
本題に戻しますと、このドラマは、あの「ゲゲゲの女房」の松下奈緒が公認会計士役を演じて話題となった2年前のドラマです。
名作「ハゲタカ」に続けとばかりに、骨太の経済ドラマを狙った・・・・までは良かったのですが。
ツッコミどころ満載で、救いのない爆笑ドラマでした。少なくとも私にとっては。
(どんな内容かあらすじをご覧になりたい方は拙稿
NHKドラマ「監査法人」に思う をご参照ください。)
ゲゲゲ人気に乗じて、失敗作ともいえるあの作品に投下した資金も回収しようという魂胆かもしれません。
結構売れていました。ドラマを見ていなかった方が買われたのかも。
でも、事実は小説より奇なりです。
こっちの”監査法人”のほうがずっとエキサイティングです。
まずは少し前の週刊ダイヤモンドの記事をご覧ください。
「会計士増の旗振り役が採用減 新日本監査法人のお粗末経営」
これに対して、新日本は早速抗議。
真相はどうなのでしょうか。
そこで実際はどうなっているのか、
「第11期 業務及び財産の状況に関する説明書類」から何か言えるのか、言えないのかを見てみることにします。
まず業績ですが
H21/6期経常赤字▲13億円、最終赤字▲16億円から
H22/6期は経常利益31億円、純利益3億円と黒字を確保。頑張りました。
ただ、2期分の決算書を見て気づいたのは、p.40の注記表で
関係会社向け債権が膨らんでいること。
関係会社向け長短金銭債権は1,843百万円と前年比で+1,622百万円増えています。
B/S「その他の流動資産」はほぼ全額がこれかもしれません。
次にp.41の関係会社との取引をご覧ください。
固定資産譲渡額1,103百万円とあります。昨年には無かった取引です。
では何を売ったのかなぁ?と思ってP.42 有形固定資産明細を見ますと、
有形固定資産はこの1年で償却及び減損以外で約5.8億円も減少していることが確認されます。
これだけの有形固定資産を関係会社に1,103百万円で売却した、とみるのが常識的なところでしょう。
であれば、利益が5~6億円出ているのかなぁ~と思ってP/Lを見ると、
その他営業外収益として631百万円が計上されています。
営業外で計上してるってことは経常的に固定資産を売却しているってことですかね。
(それにしても、建物付属設備からは減損損失が3億円も発生しているってのに、
簿価4.5億円の器具から多額の売却益が発生するってのは、違和感があります。)
ですから、
約5.8億円の有形固定資産を11億円で関係会社に売却して売却益約5億円をその他営業外収入として計上、
未収入金をその他流動資産に計上した可能性があるってことになります。
で、私が次に着目したのはこの売却益の金額です。
もしこの売却益がなかったらどうなるか・・・・・。
当期純利益が291百万円ですから、売却益5億円×(1-税率40%)がもしなかりせば・・・・・
そうです、赤字になっていた可能性があるってことです。
2期連続で赤字となると監査法人は地方公共団体といった公共部門の監査を引き受けられなくなるとのこと。
そこで、関係会社への資産売却により何とか帳尻を合わせた・・・・・・
やはり見た目以上に厳しい決算だったのかも知れませんね。
監査報酬ダンピングが事実だとしますとこの業界もお先真っ暗。
でもブラック業界の仲間入りだけは勘弁してください。
関係会社との取引高の固定資産譲渡額が1,103百万円なので、多く見ても25百万円の利益にしかならないですよ。
その他の営業外収益の6億の正体はわかりませんが。
ご指摘くださり
誠にありがとうございます。
なるほど、そういうことですか・・・。
勉強になりました。
引き続きよろしくお願いします。
「その他営業外収益」は去年も5億くらい計上されいているので、毎期計上されるのものなのでしょうね(中身が何かは知りませんが)。
それよりも、監査法人なのに構造改革費用やリストラの後発事象の注記があるのが、物悲しいです。
後発の注記は、金額が見積もれないと逃げましたが、この部分を引当てていたら確実にドボンかと・・・。
関係会社の収益も悪化しているのでは。
今回の拙稿はツッコミどころ満載でしたね。
数々の有益なご指摘、有難うございました。