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闘う公認会計士・監査審査会

2014-11-20 | 会計・株式・財務
ご無沙汰しております。
ここ2日ほど種類の異なる講演会に参加したのですが、その結論が偶然にも一致したので面白いと思い、久々に投稿しました。

まずは監査関係の講演会から。

闘う公認会計士
中央経済社


この本を書かれた公認会計士・監査審査会、千代田邦夫会長様の講演を拝聴してきました。
出席して良かったです。
テーマは「わが国公認会計士監査制度の課題と展望」でしたが、新著で取り上げたアメリカの監査制度の変遷を非常に丁寧にご説明頂いた関係で、日本に関するコメントはやや駆け足に。それでも非常に熱いメッセージでして、これぞ「闘う公認会計士・監査審査会長!」と思った次第です。

特に興味深かったのは「日本の再興戦略」(H26年6月閣議決定)に秘められたメッセージ
〇監査の質の向上、公認会計士資格の魅力の向上に向けた取組みの促進
 「会計・監査の役割に関する認識の向上」
   →5年間監査報酬が上がっていない→上げよう!
 「会計人材の育成」  →グローバルに展開する日本企業の監査報酬のうち海外(pwcなど)に流れているものが多い
    →海外に流出している監査報酬を取りにいこう!


ではどうやって監査報酬を上げるか?
まず財務諸表利用者に監査済の決算情報は「公共財」であることを理解してもらう。
マスコミとかタダで決算情報を利用しているが、これってフリーライダーでは?
    ↓
と言っても、だからといって利用料をもらうワケにはいかない
    ↓
だとすると監査の質を上げ、付加価値を付ける方策か。
しかし、マニュアル化した組織監査では本当に質を高めることができるのか?
マニュアルを埋めるのが仕事となってしまい、クライアントの取引の実態などを考えずに後ろ向き・思考停止になっていないか?
    ↓
若手の会計士は相当危機意識を持っていると承知しているが、
問題なのは各現場のパートナーが弱体化していること。ここの再教育が必要だと考えている。


ここまで聴いた私は、前日に読み、かつ著者の講演を聞いた次の本を思い出しました。
そして結論が奇跡的な一致となったことに思わず天を仰いだのです(大げさですけど)。

現場論: 「非凡な現場」をつくる論理と実践
クリエーター情報なし
東洋経済新報社


著名コンサルである著者・遠藤功氏による出版記念講演。
講演の趣旨は以下の通り(自分のために整理)。

・日本企業を取り巻く環境がどんなにダイナミックに変化しようとも、価値を生み出す源泉が現場であるという経営の本質は何も変わらない。
社長が外人、外様に変わろうが、M&Aを仕掛けようが、現場という足元の競争力を高める努力をしなければ、熾烈な競争に勝てない。

・今、高い業績を上げている企業は現場の「戦闘能力」がとても高い。現場力という組織能力にはとても大きな企業間格差がある。「非凡な現場」は全体の10%程度。

・「非凡な現場」を作るには、経営者そして本社・本部がま変わらなくてはならない。
本部の在り方、役割を再興することから始めなくてはならない。

・イノベーション(革新)を求める声が長い間繰り返し連呼されるが、真に大事なのは「微差」である。現場の知恵によって生み出される「微差」こそが競争において決定的な差になりうる。

・「微差」を集合的、連続的に生み出すことができる「微差力」こそが現場力の本質。現場起点で帰納的に生み出される「微差」の中にこそ、イノベーションの芽も潜んでいる。
トヨタの純利益2兆円。ハイブリッド技術は微差力の賜物。東レの炭素繊維も微差の連続。
「まずは小さな変化を」。トヨタができるなら他もできる。


・現場では全体を見て仕組みや仕掛けを考える「プロデューサー」が必要。
役職としては部長クラス。モノにするには1人の人が最低5年はコミットする必要がある。
今の部課長は自分のテーマを持っていない。
自分の任期の間にこれをやろう!というのがないとダメ。
組織を変えていくには1人ずつ「共感者」を作っていくしかない。
ある程度の人数になったらそれが会社の空気になる。
まず、身の回りから。共感者を増やす。やれるところからやる。


ですので、監査の現場でパートナーが「プロデューサー」となって、微差を生み出していくように、組織のあり方を変えていくということが重要になるかもしれません。
これから監査の世界でも「現場力」「微差力」が注目される可能性、結構高いと直感した次第です。

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