今回のタイトルは省略すると「もしトラ」になるのでしょうか。
なお、前もって言っておきますが「善意の寄付」の話とは全く関係ありませんので。
いつもご覧下さり誠に有難うございます。
善意の「伊達直人運動」が全国に広がり、何やら気持ちの良かったこの一週間。
一方実業界に目を転じると、こんなサプライズ人事が発表されました。
まずは日経記事より。
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ローソン副社長に玉塚氏 ファストリ前社長
2011/1/11
ローソンの副社長に、コンビニエンスストア大手のローソンは11日、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの前社長の玉塚元一氏(48)を3月1日付で副社長として迎え入れると発表した。
ローソンは3月1日付で国内コンビニ事業、海外事業、エンターテインメント・eコマース事業の3グループ制を導入。玉塚氏は現在、企業再生会社リヴァンプ(東京・港)代表パートナーを務める。ローソンでは国内コンビニ事業を統括する「CVSグループ」の最高経営責任者(CEO)にも就任する。
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(コメント)
ローソン・新浪社長が先日、日経の経営者ブログでこんなことを書いておりました。
「リーダーの条件は決断力」
リーダーとして一番大事な条件は、あいまいにしないで決断することです。決定をむやみに延ばしても、ずるずると状況がおかしくなってしまいます。本当に重要な案件は別として、決定する為には決断力が大切だと思います。決断力は経験と知の集積です。勘ではありません。突然は出てこない。悩み、失敗し、考え、そして生まれてくるものです。これがないとCEO(最高経営責任者)は務まらないのではないでしょうか。
玉塚氏は、その新浪社長のメガネにかなったというワケですね。ユニクロ時代では強烈なカリスマ経営者と現場との板挟みの中でいろいろ苦労をされていました。そうした得難い経験を活かすチャンスが巡ってきたということなのでしょうか。
かくいう私も、玉塚氏には(一方的ですが)奇縁を感じます。
同年齢でして、大学時代は玉塚氏がフランカーを務めた慶応ラグビー部の試合も観戦しておりました。1984年、黒黄のタイガージャージの慶応は明大戦、早大戦では劇的な逆転勝利。平尾・大八木を擁する同志社との大学選手権決勝は「幻のトライ」で惜敗しましたが今なお名勝負として語り継がれており、当時国立で観戦していた私も激しく魂を揺さぶられたことを記憶しております。
それから十数年後、私がしがない小売株のバイサイド・アナリストをしていた時、玉塚氏がユニクロの社長として登場してきたのには驚きました。とまぁ・・・・いろいろお世話になった(と自分で勝手に解釈している)方です。
これも偶然ですが、正月のブックオフ半額セールで買ったこの本に、玉塚氏が考える「企業価値を上げる8つの原理・原則」というのがありました。
今後のローソンを舵取りする際に、指針とするかも知れません。参考までにポイントを書き出してみましょう。
(詳細は現物でご確認ください。)
①経営理念と企業文化
経営理念とは「我々は何のために存在して、何を目指して、何を皆で成し遂げようとしているのか」。そして何を絶対的価値観として歩んでいくのか考えるべき。財務、コストに対する規律も大事。
②顧客を基点とした勝てる戦略
顧客に一番近い距離で働く人が会社の主役。その反面、常識を超えて大胆な発想を持ち、顧客の心を突くことも忘れずに。
③ステークホルダーとの強力な連携
ドラッカー「マ―ケティングの基本は自分が望むことでなく、相手が望むことを考え抜くこと」。この文脈では相手=ステークホルダー。ステークホルダーに御神輿を担がれるように。
④経営に奇策なし
「仮説―実行―検証」は多くの場合失敗する。だからスピード感もって回し続ける。
⑤現場社員を竜巻のように巻き込む
現場が主体的に行動するよう、そしてその人たちの手柄となるように「仕掛け」をする。
⑥強靭な経営基盤
・具体的な数値目標を掲げ、指標をベースとしたローコスト・高効率・キャッシュフローに基づいたオペレーションを目指し、厳格かつ第三者的にモニタリングする。
・目指そうとする会社の姿と、お客さんに与えたいと考えている感動との間のギャップを埋めるのが経営の役割。実態としてギャップが少ないときに「高いマネジメントレベル」にあると言える。
⑦商品・ブランドへの強いパッション
社員が熱いパッションで商品の良さを伝えていくのが、一番効果的。社員がさめているのに、ポンとテレビで有名タレントを使ってコマーシャルを流しても、ブランドは浸透しない。
⑧自立型組織の構築
「レンタカーを洗うバカはいない」。社員にとって会社がレンタカーのように(=当事者意識が欠落)なってはならない。会社は自分の車。大切に愛さなければならない。
・・・・そして、リ―ダーの仕事とは「顧客に感動を与えること」
商売の最終理想形を常に考え、問題・課題を正しく認識し、肝を突いた戦略を組み立てて、社員自ら主体的に挑戦し、結果が出せる状態を作り続けること。これがリーダーの本質。
まぁ、やや抽象的なところはありますが、熱い思いは伝わってきます(特に⑤⑦⑧)。小売業にはうってつけの方でしょう。玉塚氏はタイガージャージ慶応出身の「伊達」男であります。タイガーマスクのように颯爽と、コンビニ業界という新しいリングで思い切って暴れて下さい!
・・・・で終わらせるワケにはいきません!
だってそうでしょう?
今一度、「タイガーマスク」のストーリーを思い出してみて下さい。覚えている方は。
孤児院ちびっこハウスの伊達直人は、悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウトされる。 虎の穴での殺人トレーニングをこなす日々の中で、自分と同じような生い立ちを持つ孤児たちに、同じような苦しみを味わわせたくないという想いを抱くようになり、「虎の穴」を卒業、「タイガーマスク」としてプロレスデビューをしてからは、収入の一部を孤児院へ寄付するようになった。
当初は「虎の穴」へのファイトマネーの半額という上納金は支払った上で、自分の手取り分の範囲内での援助を考えていたが、自分の出身施設である孤児院「ちびっこハウス」の窮状を知り、虎の穴へ納める分まで寄付せざるを得なくなる。虎の穴はタイガーを裏切り者とみなし、タイガーを倒すための刺客を次々と送って来る。……
カンの鋭い方はもうお分かりでしょう。
ファイトマネーを「粗利益額(売上総利益)」、上納金を「本部へのチャージ」と置き換えれば、そう!「虎の穴」は実は「コンビニ本部」になるのです。
要するに、虎の穴出身のレスラーは、コンビニのフランチャイズ加盟店と同じように、「上がり」の半分を「虎の穴」(本部)へ送金していたのです。『タイガーマスク』はコンビニの仕組みを先取りしていたフランチャイズビジネスだったのです
(もちろん、コンビニ本部が問題ある組織だというつもりはありませけど)
・・・・・・となると、ローソンのコンビニ本部トップとなる玉塚氏は・・・・・「ミスターⅩ」!の役回りになってしまうってワケです。
タイガーを裏切り者と見なし、タイガーを倒すための刺客を送った「虎の穴」極東地区を統括するマネージャー、その人であります。
コンビニ経営の難しいところは、フランチャイズ加盟店とコンビニ本部(例:ローソン)との間で利害が対立する場面が多々あることです(具体的にはロス・チャージ問題など)。
人柄が良いともっぱらの評判の玉塚氏が、ミスターⅩのように心を鬼にして先程の「8つの原理・原則」を徹底できるかが、ローソン成長のポイントになるのかも知れませんね。
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なお、前もって言っておきますが「善意の寄付」の話とは全く関係ありませんので。
いつもご覧下さり誠に有難うございます。
善意の「伊達直人運動」が全国に広がり、何やら気持ちの良かったこの一週間。
一方実業界に目を転じると、こんなサプライズ人事が発表されました。
まずは日経記事より。
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ローソン副社長に玉塚氏 ファストリ前社長
2011/1/11
ローソンの副社長に、コンビニエンスストア大手のローソンは11日、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの前社長の玉塚元一氏(48)を3月1日付で副社長として迎え入れると発表した。
ローソンは3月1日付で国内コンビニ事業、海外事業、エンターテインメント・eコマース事業の3グループ制を導入。玉塚氏は現在、企業再生会社リヴァンプ(東京・港)代表パートナーを務める。ローソンでは国内コンビニ事業を統括する「CVSグループ」の最高経営責任者(CEO)にも就任する。
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(コメント)
ローソン・新浪社長が先日、日経の経営者ブログでこんなことを書いておりました。
「リーダーの条件は決断力」
リーダーとして一番大事な条件は、あいまいにしないで決断することです。決定をむやみに延ばしても、ずるずると状況がおかしくなってしまいます。本当に重要な案件は別として、決定する為には決断力が大切だと思います。決断力は経験と知の集積です。勘ではありません。突然は出てこない。悩み、失敗し、考え、そして生まれてくるものです。これがないとCEO(最高経営責任者)は務まらないのではないでしょうか。
玉塚氏は、その新浪社長のメガネにかなったというワケですね。ユニクロ時代では強烈なカリスマ経営者と現場との板挟みの中でいろいろ苦労をされていました。そうした得難い経験を活かすチャンスが巡ってきたということなのでしょうか。
かくいう私も、玉塚氏には(一方的ですが)奇縁を感じます。
同年齢でして、大学時代は玉塚氏がフランカーを務めた慶応ラグビー部の試合も観戦しておりました。1984年、黒黄のタイガージャージの慶応は明大戦、早大戦では劇的な逆転勝利。平尾・大八木を擁する同志社との大学選手権決勝は「幻のトライ」で惜敗しましたが今なお名勝負として語り継がれており、当時国立で観戦していた私も激しく魂を揺さぶられたことを記憶しております。
それから十数年後、私がしがない小売株のバイサイド・アナリストをしていた時、玉塚氏がユニクロの社長として登場してきたのには驚きました。とまぁ・・・・いろいろお世話になった(と自分で勝手に解釈している)方です。
これも偶然ですが、正月のブックオフ半額セールで買ったこの本に、玉塚氏が考える「企業価値を上げる8つの原理・原則」というのがありました。
今後のローソンを舵取りする際に、指針とするかも知れません。参考までにポイントを書き出してみましょう。
(詳細は現物でご確認ください。)
企業価値向上論講義 社長の値打ち | |
佐山 展生 | |
日本経済新聞出版社 |
①経営理念と企業文化
経営理念とは「我々は何のために存在して、何を目指して、何を皆で成し遂げようとしているのか」。そして何を絶対的価値観として歩んでいくのか考えるべき。財務、コストに対する規律も大事。
②顧客を基点とした勝てる戦略
顧客に一番近い距離で働く人が会社の主役。その反面、常識を超えて大胆な発想を持ち、顧客の心を突くことも忘れずに。
③ステークホルダーとの強力な連携
ドラッカー「マ―ケティングの基本は自分が望むことでなく、相手が望むことを考え抜くこと」。この文脈では相手=ステークホルダー。ステークホルダーに御神輿を担がれるように。
④経営に奇策なし
「仮説―実行―検証」は多くの場合失敗する。だからスピード感もって回し続ける。
⑤現場社員を竜巻のように巻き込む
現場が主体的に行動するよう、そしてその人たちの手柄となるように「仕掛け」をする。
⑥強靭な経営基盤
・具体的な数値目標を掲げ、指標をベースとしたローコスト・高効率・キャッシュフローに基づいたオペレーションを目指し、厳格かつ第三者的にモニタリングする。
・目指そうとする会社の姿と、お客さんに与えたいと考えている感動との間のギャップを埋めるのが経営の役割。実態としてギャップが少ないときに「高いマネジメントレベル」にあると言える。
⑦商品・ブランドへの強いパッション
社員が熱いパッションで商品の良さを伝えていくのが、一番効果的。社員がさめているのに、ポンとテレビで有名タレントを使ってコマーシャルを流しても、ブランドは浸透しない。
⑧自立型組織の構築
「レンタカーを洗うバカはいない」。社員にとって会社がレンタカーのように(=当事者意識が欠落)なってはならない。会社は自分の車。大切に愛さなければならない。
・・・・そして、リ―ダーの仕事とは「顧客に感動を与えること」
商売の最終理想形を常に考え、問題・課題を正しく認識し、肝を突いた戦略を組み立てて、社員自ら主体的に挑戦し、結果が出せる状態を作り続けること。これがリーダーの本質。
まぁ、やや抽象的なところはありますが、熱い思いは伝わってきます(特に⑤⑦⑧)。小売業にはうってつけの方でしょう。玉塚氏はタイガージャージ慶応出身の「伊達」男であります。タイガーマスクのように颯爽と、コンビニ業界という新しいリングで思い切って暴れて下さい!
・・・・で終わらせるワケにはいきません!
だってそうでしょう?
今一度、「タイガーマスク」のストーリーを思い出してみて下さい。覚えている方は。
タイガーマスク(1) (講談社漫画文庫) | |
辻 なおき | |
講談社 |
孤児院ちびっこハウスの伊達直人は、悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウトされる。 虎の穴での殺人トレーニングをこなす日々の中で、自分と同じような生い立ちを持つ孤児たちに、同じような苦しみを味わわせたくないという想いを抱くようになり、「虎の穴」を卒業、「タイガーマスク」としてプロレスデビューをしてからは、収入の一部を孤児院へ寄付するようになった。
当初は「虎の穴」へのファイトマネーの半額という上納金は支払った上で、自分の手取り分の範囲内での援助を考えていたが、自分の出身施設である孤児院「ちびっこハウス」の窮状を知り、虎の穴へ納める分まで寄付せざるを得なくなる。虎の穴はタイガーを裏切り者とみなし、タイガーを倒すための刺客を次々と送って来る。……
カンの鋭い方はもうお分かりでしょう。
ファイトマネーを「粗利益額(売上総利益)」、上納金を「本部へのチャージ」と置き換えれば、そう!「虎の穴」は実は「コンビニ本部」になるのです。
要するに、虎の穴出身のレスラーは、コンビニのフランチャイズ加盟店と同じように、「上がり」の半分を「虎の穴」(本部)へ送金していたのです。『タイガーマスク』はコンビニの仕組みを先取りしていたフランチャイズビジネスだったのです
(もちろん、コンビニ本部が問題ある組織だというつもりはありませけど)
・・・・・・となると、ローソンのコンビニ本部トップとなる玉塚氏は・・・・・「ミスターⅩ」!の役回りになってしまうってワケです。
タイガーを裏切り者と見なし、タイガーを倒すための刺客を送った「虎の穴」極東地区を統括するマネージャー、その人であります。
コンビニ経営の難しいところは、フランチャイズ加盟店とコンビニ本部(例:ローソン)との間で利害が対立する場面が多々あることです(具体的にはロス・チャージ問題など)。
人柄が良いともっぱらの評判の玉塚氏が、ミスターⅩのように心を鬼にして先程の「8つの原理・原則」を徹底できるかが、ローソン成長のポイントになるのかも知れませんね。
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