またまた不動産関連の倒産。
まずは帝国データバンクの倒産速報より
↑
(ようやくキレイにリンクが張れるようになりました。)
--------------------------------------
創建ホームズ
・8月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
・当社は、1994年(平成6年)1月に設立された大手の戸建住宅分譲会社。
東京都の城北・城西・城南、埼玉、横浜地区を主要エリアに、ニューリッチ層
を対象として「WEL FARE」シリーズの戸建住宅やマンションの分譲、
不動産賃貸業を手がけて順調に業容を拡大、2007年2月期の年売上高は
約424億4900万円を計上。
この間、2003年2月にジャスダックに上場、2005年2月に東証2部
上場、2006年2月には東証1部に上場していた。
・しかし、2008年2月期に入ると改正建築基準法に伴う混乱や金融の
引き締めなどによる不動産市場の軟化とともに、不況の影響を受けた
ニューリッチ層の購入意欲の減退を受けて、年売上高は
対前期比5.2%減の約402億5600万円に低迷。
棚卸資産の評価損もあり約7億7500万円の最終損失を計上、赤字に転落。
・プロジェクト資金を金融機関からの調達に依存していたことで、
2008年2月期の月商の有利子負債倍率は9.75倍と
資金繰りは急速にタイトになっていた。
2008年6月以降になると同業他社の破綻も相次ぎ、金融環境はさらに悪化、
8月末の決算資金のメドが立たなくなったことで、今回の措置となった。
負債は、創建ホームズ(株)が約338億8979万円。
なお、2008年に入ってからの上場企業の倒産は、アーバンコーポレイション(株)(東証1部、広島県、8月民事再生法)に次いで13社目(上場廃止後のエー・エス・アイ(株)を含む)。
------------------------------------
で、創建の有価証券報告書を見てみましょう。
47枚目(ページ数で44ページ)の連結貸借対照表の担保の注記や財務制限条項の注記から当社の資金繰りの多忙ぶりがうかがわれます。
短期借入金を中心に調達してしまって(というか、そうせざるを得なかった
のでしょうが)貸し渋りの嵐の中でリファイナンスできずにアウト!
いわずもがなですが、不動産会社を見るポイントは自己資本云々ではなく、
流動負債の部、つまり短期資金繰りがうまく回るのか。
この一点になってきたような。
売れない在庫を抱えて立ち往生の企業は結構あるでしょうから、
まだまだ続きそうです、倒産ブーム。
ところで、有報47枚目の財務制限条項の注記を見ておりましたら、
「期末の連結のレバレッジレシオを5.0倍以下に維持すること」というのが
ありまして、レバレッジレシオの計算式が長々と書いてありました。
実際、この会社のレバレッジレシオがわからないと
5.0倍という水準が実現可能なものかわからないので、
計算してみることにしました。
-----------------------------------------------------
<定義>
レバレッジレシオ=(有利子負債総額-所要運転資金額)/EBITDA
(要はこの会社が生み出すキャッシュフローで何年で長期債務を返済できるのか、
を示すものですね。本件では5年以内という条件だったワケです。)
有利子負債総額=長短借入金、社債、受手割引高、コマーシャルペーパーなど
所要運転資金=受取手形+完成工事未収入金+売掛金+棚卸資産
-工事未払金-買掛金―支払手形
EBITDA=営業利益+減価償却費
―――――――――――――――――――――――――――――――――
みなさんもご一緒に電卓をたたいて下さい。
有利子負債総額=短借10,911+1年以内長借12,249+1年以内社債1,065
+社債1,160+長借7,831=33,216
所要運転資金=受取手形・完成工事未収入金・売掛金124+棚卸資産35,172
-(工事未払金+買掛金)1,254=34,042
EBITDA=営業利益100+減価償却費79=179
レバレッジレシオ=(有利子負債総額33,216-所要運転資金額34,042)/EBITDA179
=(-826)÷179=-4.6倍
前期末時点では5.0倍を下回ってましたので「なーんだ問題ないじゃん!」
と思うかも知れませんが、待って下さい。
EBITDAが一定だとしますと、レバレッジレシオ5.0倍と許容できる
追加借り入れは、
179×5倍-(-826)=1,721百万円。
追加で上積みできるのはたったの17億円という計算。
しかも販売不振で前期並みのEBITDAも出せるか分かりません。
厳しい船出だったことが容易に想像がつきます。
それでは、第一四半期はどうだったのか。
第一四半期決算短信
有利子負債=32,376
所要運転資金=33,025
なんとか踏みとどまっていました。
しかし、営業利益の落ち込みはそれなりにあって、
提供できる担保も底を付いてリファイナンスが付かなくなった・・・・
ということなのでしょうか。
っていうか、短期の資金繰りが注目されている中で、財務制限条項に
長期の返済能力を測る指標を入れるってのも仕方ないとはいえ、
あまり意味がなかったのかも知れませんね。
まっ、どうでもいいですが、財務制限条項を数式で表示するのは一向に
構いませんが、投資家の手間を省くため、実績値くらいは開示して下さい。
深夜の電卓作業は疲れました・・・・。
さて、本日は2曲。
梅雨のような天気が続いておりますが、ザーザー降りではなく、
優しい雨という印象。
ということではじめはコレ。
小泉今日子「優しい雨」
この曲の間奏が気に入っております。
で、ついでながら彼女の代表曲も。これもキャッチーな名曲です。
小泉今日子「あなたに会えてよかった」
まずは帝国データバンクの倒産速報より
↑
(ようやくキレイにリンクが張れるようになりました。)
--------------------------------------
創建ホームズ
・8月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
・当社は、1994年(平成6年)1月に設立された大手の戸建住宅分譲会社。
東京都の城北・城西・城南、埼玉、横浜地区を主要エリアに、ニューリッチ層
を対象として「WEL FARE」シリーズの戸建住宅やマンションの分譲、
不動産賃貸業を手がけて順調に業容を拡大、2007年2月期の年売上高は
約424億4900万円を計上。
この間、2003年2月にジャスダックに上場、2005年2月に東証2部
上場、2006年2月には東証1部に上場していた。
・しかし、2008年2月期に入ると改正建築基準法に伴う混乱や金融の
引き締めなどによる不動産市場の軟化とともに、不況の影響を受けた
ニューリッチ層の購入意欲の減退を受けて、年売上高は
対前期比5.2%減の約402億5600万円に低迷。
棚卸資産の評価損もあり約7億7500万円の最終損失を計上、赤字に転落。
・プロジェクト資金を金融機関からの調達に依存していたことで、
2008年2月期の月商の有利子負債倍率は9.75倍と
資金繰りは急速にタイトになっていた。
2008年6月以降になると同業他社の破綻も相次ぎ、金融環境はさらに悪化、
8月末の決算資金のメドが立たなくなったことで、今回の措置となった。
負債は、創建ホームズ(株)が約338億8979万円。
なお、2008年に入ってからの上場企業の倒産は、アーバンコーポレイション(株)(東証1部、広島県、8月民事再生法)に次いで13社目(上場廃止後のエー・エス・アイ(株)を含む)。
------------------------------------
で、創建の有価証券報告書を見てみましょう。
47枚目(ページ数で44ページ)の連結貸借対照表の担保の注記や財務制限条項の注記から当社の資金繰りの多忙ぶりがうかがわれます。
短期借入金を中心に調達してしまって(というか、そうせざるを得なかった
のでしょうが)貸し渋りの嵐の中でリファイナンスできずにアウト!
いわずもがなですが、不動産会社を見るポイントは自己資本云々ではなく、
流動負債の部、つまり短期資金繰りがうまく回るのか。
この一点になってきたような。
売れない在庫を抱えて立ち往生の企業は結構あるでしょうから、
まだまだ続きそうです、倒産ブーム。
ところで、有報47枚目の財務制限条項の注記を見ておりましたら、
「期末の連結のレバレッジレシオを5.0倍以下に維持すること」というのが
ありまして、レバレッジレシオの計算式が長々と書いてありました。
実際、この会社のレバレッジレシオがわからないと
5.0倍という水準が実現可能なものかわからないので、
計算してみることにしました。
-----------------------------------------------------
<定義>
レバレッジレシオ=(有利子負債総額-所要運転資金額)/EBITDA
(要はこの会社が生み出すキャッシュフローで何年で長期債務を返済できるのか、
を示すものですね。本件では5年以内という条件だったワケです。)
有利子負債総額=長短借入金、社債、受手割引高、コマーシャルペーパーなど
所要運転資金=受取手形+完成工事未収入金+売掛金+棚卸資産
-工事未払金-買掛金―支払手形
EBITDA=営業利益+減価償却費
―――――――――――――――――――――――――――――――――
みなさんもご一緒に電卓をたたいて下さい。
有利子負債総額=短借10,911+1年以内長借12,249+1年以内社債1,065
+社債1,160+長借7,831=33,216
所要運転資金=受取手形・完成工事未収入金・売掛金124+棚卸資産35,172
-(工事未払金+買掛金)1,254=34,042
EBITDA=営業利益100+減価償却費79=179
レバレッジレシオ=(有利子負債総額33,216-所要運転資金額34,042)/EBITDA179
=(-826)÷179=-4.6倍
前期末時点では5.0倍を下回ってましたので「なーんだ問題ないじゃん!」
と思うかも知れませんが、待って下さい。
EBITDAが一定だとしますと、レバレッジレシオ5.0倍と許容できる
追加借り入れは、
179×5倍-(-826)=1,721百万円。
追加で上積みできるのはたったの17億円という計算。
しかも販売不振で前期並みのEBITDAも出せるか分かりません。
厳しい船出だったことが容易に想像がつきます。
それでは、第一四半期はどうだったのか。
第一四半期決算短信
有利子負債=32,376
所要運転資金=33,025
なんとか踏みとどまっていました。
しかし、営業利益の落ち込みはそれなりにあって、
提供できる担保も底を付いてリファイナンスが付かなくなった・・・・
ということなのでしょうか。
っていうか、短期の資金繰りが注目されている中で、財務制限条項に
長期の返済能力を測る指標を入れるってのも仕方ないとはいえ、
あまり意味がなかったのかも知れませんね。
まっ、どうでもいいですが、財務制限条項を数式で表示するのは一向に
構いませんが、投資家の手間を省くため、実績値くらいは開示して下さい。
深夜の電卓作業は疲れました・・・・。
さて、本日は2曲。
梅雨のような天気が続いておりますが、ザーザー降りではなく、
優しい雨という印象。
ということではじめはコレ。
小泉今日子「優しい雨」
この曲の間奏が気に入っております。
で、ついでながら彼女の代表曲も。これもキャッチーな名曲です。
小泉今日子「あなたに会えてよかった」
そのときは創建ホームズと言うのを知らなかったので不動産仲介のひとに聞いてみたら、結構、質の良い戸建てを作ることで有名な業者だという話。まあ、ひやかしだったのと、とても高くて買えなかったのでそのままになりましたが、創建ホームズという名前だけは覚えています。
それにしても本当に不動産、建築の資金繰りは怖いですね。バブル崩壊時期は千葉の田舎のマンションに住んでいたので全然気づきませんでしたが、東京に住むようになってあちこちで不動産、建築の会社がぶっとんでいくのを見ると恐ろしくなってきます。
でも、銀行を責めるべきではないんでしょうが、本当に雨の日に傘を取り上げて、晴れの日に傘を貸してくれる人たちなんですねえ。
うまい言い回しですねぇ。
行き詰ってしまう会社の大部分は、
経営者がこの事実を理解していません。
で、雨の日に家の屋根をはがされたりしちゃいます。
「困っているヒトにカネを貸す」のは慈善家で、
慈善家は金貸しになりません。