北海道・東北地盤の食品スーパー・アークスが岩手県地盤のジョイスを完全子会社化すると発表しました。まずは日経記事(一部抜粋)から。
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食品スーパーのアークス、ジョイスを子会社化 大手に対抗
2012/4/16
北海道・東北地盤の食品スーパー2位、アークスは16日、岩手県地盤のジョイスを9月1日付で完全子会社化すると発表した。
両社の売上高を単純合算すると2013年2月期で4600億円の見通しで、業界最大手のライフコーポレーション(同5250億円)を追う。
アークスは子会社化したスーパーと情報システムや商品仕入れを共通化して経費負担を軽減する一方、営業面の自主性を重んじる経営を掲げる。ジョイスは規模に勝るアークスの傘下に入り、情報システム統合などで競争力を高めて生き残りを目指す。
アークスは地域内の市場シェアで15%以上を獲得することで競合する他社に対抗する戦略を取る。ジョイスの子会社化で岩手県内の地域シェアは16%から28%に高まり、地域最大手の地位を確保する。今後も東日本の中堅スーパーを傘下に収め、規模拡大を進める。
スーパーの市場規模は少子高齢化などを受け、日本チェーンストア協会によると、11年のスーパーの市場規模は約12兆7千億円と5年間で1割弱減った。総合スーパーやコンビニなど「業態の垣根を越えた競合も激しさを増す」(アークスの横山清社長)なか、M&A(合併・買収)など再編機運が高まっている。イオンも昨秋に中国四国地盤の大手、マルナカグループを買収した。
消費増税やパートの厚生年金の対象拡大などで食品スーパーの負担は今後も増す見通し。経営体力が弱い中小零細スーパーが単独で生き残るのは難しくなり、イオンやアークスを軸にした再編が今後も進みそうだ。
(引用終了)
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確かにスーパーをめぐる状況は厳しいですね。
少子高齢化で人も減るし、しかも胃袋も小さくなる。コンビニも高齢者に支持されてきました。中小スーパーでは後継者不足や資金力低下、そして日経記事にあった消費増税の影響。パートの厚生年金拡大の動きもあります。
消費税増税に関しては、税率改定前後の駆け込み需要と反動減、さらには内税方式なので税率引き上げ分を価格転嫁できるかという問題もあるでしょうから、経営へのダメージが憂慮されます。
しかも、先日の私の記事でご紹介した「控除対象外消費税」、いわゆる損税の影響(課税売上高が5億円を超える事業者は95%ルールの適用対象外となる)を受ける小売業は結構多いのかもしれない。
したがって、再編の動きはこれからもまだまだ続くのでしょう。
そういう厳しい環境にあって、アークスの横山社長は、「競争はいいこと、歓迎すべきこと」として捉えている。ここが普通の経営者とは違うところ。
事実、数年前、イオンの北海道進出を恐れる社内に対しては「マイナスイオンは体にいい」といって、イオンとの競争をプラス思考で受け止めるようにして、それなりの結果を出してきました。なかなか真似できないリーダーシップぶりですし、危機感をバネに逆風に立ち向かって行く姿は大いに見習いたいものです。
ところが、スーパーの後継者問題は、実はアークスにも忍び寄っているのではないでしょうか。
横山社長は76歳と相応のお歳でありますし、主力子会社の有力社長も高齢化が進んでいます。
強力なリーダーシップを発揮されてグループをここまで拡大させてきましたが、今度はこの巨大化したグループをいかに円滑に次代のリーダーに継承させていくのでしょうかか。「八ヶ岳連邦経営」で各事業子会社は一定の経営独自性が留保されているので大きな問題にはならないのと見ているのか、有価証券報告書の「事業等のリスク」に記載されてはおりませんが(なかなか書きにくいのでしょうが)、気になるところです。
さらに、ネットで調べていて気になったのが、今年1月、中核子会社・ラルズが独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けた件です。公取委は押収した資料を持ち帰り、違反があったかどうかの判断に約1年をかけて調べるとのことです。
ラルズでは、競合店の徹底分析によって価格や品揃え、商品レイアウト、時間ごとの価格設定を細かくチェック。商品の絞り込みと鮮度アップ、低価格を訴求する個店強化による競合対策は「水源地オペレーション」と呼ばれラルズのDNAのみならず、今やアークスのDNAとして引き継がれているとのこと。
しかし、公取の対応如何では、このDNAにも何らかの修正が迫られるかも知れないですね。
老婆心ながら、アークスを支えてきた「水源地オペレーション」が、経営を揺るがす「震源地」とならないことを願うばかりです。
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食品スーパーのアークス、ジョイスを子会社化 大手に対抗
2012/4/16
北海道・東北地盤の食品スーパー2位、アークスは16日、岩手県地盤のジョイスを9月1日付で完全子会社化すると発表した。
両社の売上高を単純合算すると2013年2月期で4600億円の見通しで、業界最大手のライフコーポレーション(同5250億円)を追う。
アークスは子会社化したスーパーと情報システムや商品仕入れを共通化して経費負担を軽減する一方、営業面の自主性を重んじる経営を掲げる。ジョイスは規模に勝るアークスの傘下に入り、情報システム統合などで競争力を高めて生き残りを目指す。
アークスは地域内の市場シェアで15%以上を獲得することで競合する他社に対抗する戦略を取る。ジョイスの子会社化で岩手県内の地域シェアは16%から28%に高まり、地域最大手の地位を確保する。今後も東日本の中堅スーパーを傘下に収め、規模拡大を進める。
スーパーの市場規模は少子高齢化などを受け、日本チェーンストア協会によると、11年のスーパーの市場規模は約12兆7千億円と5年間で1割弱減った。総合スーパーやコンビニなど「業態の垣根を越えた競合も激しさを増す」(アークスの横山清社長)なか、M&A(合併・買収)など再編機運が高まっている。イオンも昨秋に中国四国地盤の大手、マルナカグループを買収した。
消費増税やパートの厚生年金の対象拡大などで食品スーパーの負担は今後も増す見通し。経営体力が弱い中小零細スーパーが単独で生き残るのは難しくなり、イオンやアークスを軸にした再編が今後も進みそうだ。
(引用終了)
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確かにスーパーをめぐる状況は厳しいですね。
少子高齢化で人も減るし、しかも胃袋も小さくなる。コンビニも高齢者に支持されてきました。中小スーパーでは後継者不足や資金力低下、そして日経記事にあった消費増税の影響。パートの厚生年金拡大の動きもあります。
消費税増税に関しては、税率改定前後の駆け込み需要と反動減、さらには内税方式なので税率引き上げ分を価格転嫁できるかという問題もあるでしょうから、経営へのダメージが憂慮されます。
しかも、先日の私の記事でご紹介した「控除対象外消費税」、いわゆる損税の影響(課税売上高が5億円を超える事業者は95%ルールの適用対象外となる)を受ける小売業は結構多いのかもしれない。
したがって、再編の動きはこれからもまだまだ続くのでしょう。
そういう厳しい環境にあって、アークスの横山社長は、「競争はいいこと、歓迎すべきこと」として捉えている。ここが普通の経営者とは違うところ。
事実、数年前、イオンの北海道進出を恐れる社内に対しては「マイナスイオンは体にいい」といって、イオンとの競争をプラス思考で受け止めるようにして、それなりの結果を出してきました。なかなか真似できないリーダーシップぶりですし、危機感をバネに逆風に立ち向かって行く姿は大いに見習いたいものです。
ところが、スーパーの後継者問題は、実はアークスにも忍び寄っているのではないでしょうか。
横山社長は76歳と相応のお歳でありますし、主力子会社の有力社長も高齢化が進んでいます。
強力なリーダーシップを発揮されてグループをここまで拡大させてきましたが、今度はこの巨大化したグループをいかに円滑に次代のリーダーに継承させていくのでしょうかか。「八ヶ岳連邦経営」で各事業子会社は一定の経営独自性が留保されているので大きな問題にはならないのと見ているのか、有価証券報告書の「事業等のリスク」に記載されてはおりませんが(なかなか書きにくいのでしょうが)、気になるところです。
さらに、ネットで調べていて気になったのが、今年1月、中核子会社・ラルズが独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けた件です。公取委は押収した資料を持ち帰り、違反があったかどうかの判断に約1年をかけて調べるとのことです。
ラルズでは、競合店の徹底分析によって価格や品揃え、商品レイアウト、時間ごとの価格設定を細かくチェック。商品の絞り込みと鮮度アップ、低価格を訴求する個店強化による競合対策は「水源地オペレーション」と呼ばれラルズのDNAのみならず、今やアークスのDNAとして引き継がれているとのこと。
しかし、公取の対応如何では、このDNAにも何らかの修正が迫られるかも知れないですね。
老婆心ながら、アークスを支えてきた「水源地オペレーション」が、経営を揺るがす「震源地」とならないことを願うばかりです。