◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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今、改めて会計基準のコンバージェンスに思う

2023-12-08 | 会計・株式・財務
月刊企業会計1月号では「会計の未来」というテーマで有識者による多彩な論考を掲載している。
詳細は実物でぜひご確認頂くとして、私はこのこのうち面識のある(私の方から一方的であるが)ニッセイ基礎研・徳島氏の意見に我が意を得たり!と思った。

要するに、「会計基準を国際規格にホントに統一しちゃっていいの?(程度問題では?)」。
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・国際会計へのコンバージェンス(収斂)は、一定程度の正当性や利便性があることも否定しないが、取扱いによっては、各国の会計基準はおろか企業文化そのものの変革をもたらす可能性もある。

・一部の新興国のように全面的に国際会計基準を採用するのも1つの手であるが、それでは従来の企業経営が成り立たなくなる可能性がある。何を採用して何を残すか。

・会計基準の統一や透明性の向上は、時に独自の文化とは二律背反するものとなってしまう可能性がある。幅広い利用者にとって何が適切かは、時代によって変わる可能性がある。そういった意味でも、会計は企業等の会計主体と外界をつなぐ”窓”であり、どのような窓にするかは、統一規格を参考にしながらも、気候や立地等から適切と思える仕様にするべきだろう。


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日本基準はかなりの会計基準を国際規格に寄せてきたが、「のれんの定期償却」だけは今もまだ残している。
何十年もの間、海外投資家からどう言われようが、突っぱねてきた。
そんな中、今年6月に証券監督者国際機構IOSCOは「のれん減損で、より厳しい会計規則が必要」と提言
<のれん総額>
米国S&P50種構成企業:金融危機の2008年には1兆6000億ドル(約231兆1900億円)→2021年 3兆7000億ドル(約534兆6300億円)
欧州連合(EU)の上場企業1477社:2019年総額は2013年比約50%増の1兆6000億ユーロ(約252兆1000億円)
のれんの減損処理が『Too little, too late(少なすぎ、遅すぎる)』な点と、減損テストに関する情報開示が不十分と指摘。

それなのに、のれんは活発なM&Aを背景に膨張の一途。確かに、産業・事業構造の転換・活性化に資するとは思うが、金額が異常すぎないか。

9月には日本の企業会計基準委員会ASBJ<が証券監督者国際機構IOSCO向け『「のれんに関するコンサルテーション」に対するコメント』として、「のれんは定期償却すべし」という従来の主張を繰り返している。
記載されている理由は明確であり、長年の主張にブレがない。
この頑固さ、愚直さ、保守性は日本企業文化と気脈を通じているように思えてならない。
確かに、徳島氏のいうとおり会計は企業等と外界をつなぐ「窓」なのだろう。
日本は「窓のフレーム」をあえて変える必要はない。
日本はこのままでいいと思う。
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