もはや1か月に1エントリーがやっとの状態(苦笑)
なかなか筆が進まないワタクシですが、お見限りにならずお付き合いくださいませ。
本日は、レヴューのリクエストを頂いていたコチラ。
UNCHAIN
『Orange』
2013/6/5リリース
Cloud Cuckoo Land
YZSM-20011
昨年のマイベストアルバム『Eat The Moon』 以来、約1年ぶりのオリジナルアルバム。
今年は絶品のカヴァーアルバムを既にリリース済ですから、アンチェファンにとっては大豊作の年というコトになりますね(笑)
正直、出てすぐに聴いた時思ったのは“いいんだけど、『Eat The Moon』の方が好きだな~”だったんです(苦笑)
UNCHAIN史上、最もポップと言ってもいい振り切れ方に若干の違和感があったり。
しかし、今回レヴューをリクエストされてから集中的に聴き返した結果、その評価は少し軌道修正。前作に匹敵する名盤と言ってもイイと思います。
今回のキモは、ポップさ加減以上にバンドとしての一体感の強さ。メインヴォーカルの谷川氏だけでなく、ギターの佐藤くんやベースの谷くんがヴォーカルをとる曲が収められたりして、バンドの成熟と結束を感じる1枚になりました。
音楽的にも、彼らの良い意味でのゴッタ煮感(笑)が強くなってて非常に面白い。オープニングを飾る「Makin' Pleasure Cake」から軽やかなギターと小粋なリズムセクションが全開。続く「Take Your Mark」は、サビなんか典型的UNCHAINサウンドと思いきや、エッジィなギターソロ直後のBメロがメロウ&ジャジィだったりして。
3曲目の「Smile Again」は大好きな曲です。しなやかなギターとドライヴするリズムが溶け合う極上のポップグルーヴ。シティポップな佇まいも感じられるのがまたツボで。
「ジーン・ラプソディ」は、ユーミン的ニューミュージックテイストが漂うミドルポップ。ペダルスティールの柔らかい音色がまた郷愁を誘います。バラッド「The Inner Light」では、谷川くんらしいクリアで粘るヴォーカルが哀感を演出してて。
楽しそうな「Cuckooland」から、ムーンチャイルドを思い出す「迷宮パスワード」への流れも面白いですが、その後に響くABCの「ルック・オブ・ラヴ」風リフが堪らない「King of Comedy」が最高です。佐藤くんのヴォーカルは、谷川くんよりザラついた声質がシティポップテイストにピッタリ。谷くんヴォーカルの「Time Machine Blues」の異質な存在感は端正なアルバムの良いアクセントになってます。
アルバムのテイストを体現する様にポップでしなやかな「Hossana」(途中のゴスペル風コーラス&TOTOの「ロザーナ」を彷彿とさせる“Hossana”のフレーズが秀逸)と、淡々としたAメロ~一気にグルーヴを開放するBメロ~キャッチーなサビという理想的な構成で最後を飾る「ウインド・ギア」がこのアルバムを締めます。
全11曲、全編にフックがちりばめられた緻密なポップアルバムと評価できる秀作だと思います。