半月のご無沙汰でございます。台風やらなんやらで色々と忙しくしておりました(苦笑)
さて、本日の1枚。ベストアルバム候補目白押しの今年ですが、その中でも筆頭候補である名盤がリリースされました。
UNCHAIN
『N.E.W.S.』
2014/7/30リリース
Cloud Cuckoo Land
YZSM-20014
今現在、最もグルーヴィなギターロックを奏でるバンド、アンチェインのニューアルバム。コンセプトは“ダンスナンバー”。実に私好みの1枚を仕上げてくれました。
今回は、英語詞の曲や歌詞が殆ど無いインストなどを織り交ぜ、全編に亘ってキャッチー&グルーヴィな曲が満載。彼らのポテンシャルを遺憾なく発揮した見事なアルバムになってます。
まず聴いて感じたのは、曲の並べ方の妙。2曲終わる毎に「NORTH」「EAST」「WEST」「SOUTH」というインストが挟み込まれているのですが、コレが“フルコースにおける途中のグラニテ”の様に作用し、ともすればキャッチーさの洪水で若干クドくなりそうな印象を和らげ、耳をリフレッシュさせていると感じます。その構成力の高さに脱帽。
そして、ダンサブルナンバーという括りの中でこれだけのヴァリエイションを提示するコンポーザー及びアレンジャーとしての成長具合。スピードあるドライヴ感は寧ろ抑えめで、どちらかと言えば緩めのテンポで身体を揺らす楽曲が多い。彼らが、如何にグルーヴを理解しているかが良く解ります。
更に言えば、アルバムの其処彼処から感じる先達のエッセンスが、見事に彼らの世界に昇華していること。「うーん、この感じ何処かで聴いたような・・・・」と思っても、下敷きが思い浮かばないくらい(笑)
ただ思ったのは、増尾好秋やナニワエキスプレスやスペクトラムや角松敏生といったシティポップスからJ-FUSION・ファンクロック辺りの匂いは紛々と漂ってるかなと。大野克夫の名フレーズ使いには思わずニヤけてしまった。個人的ベストトラックはラストの「Number-One」なのですが、この曲のサビメロ及びその直前辺りにはマーヴィン・ゲイ&タミー・ティレルの「Ain't No Mountain High Enough」がチラチラして、本当にテンションが上がってしまうのです。
谷川くんのヴォーカルは、英語・日本語を問わず円熟味を増しているし、佐藤くんのギターカッティングのグルーヴィさはこの世代としては群を抜く。谷くんのベースは今までにも増して存在感たっぷりで、吉田くんのドラムはシャープでタイトなんだけどちゃんと歌心に溢れてて。
このサウンドをギター2本とリズムセクションの4人で作ってるというのが素晴らしいと思うのです。アナログな楽器がシンプルに奏でられることで作りだされるリアルグルーヴ。しかも、そのシンプルなサウンドを補完するハンドクラップや(この種のバンドとしては必要以上に)秀逸なコーラスワークがまた見事。ゴージャスな分厚い音が好きな私が言うのも何なんですが、彼らの引き算の上手さには脱帽です。
9月にライヴに行こうと思い、家族4人分のチケットを確保したのですが、これを生で聴けると思うと今から楽しみでしかたない。そんな風に感じさせてくれる、フィジカルなダンスグルーヴが満載の名盤だと思うのです。