きみの靴の中の砂

きみの目をひくために心掛ける、どうでもいいようにも思えること

 

 『常に』念頭に置いていること —— 文章は黙読用というより(ジャック・ケルアックのように)より音読に馴染むスタイル・文体・エクリチュールを工夫すること。故に、文節の区切りとバランス(句読点の位置は殊更重要であり、文節ごと入れ替えを試みるなどは日常)、採用する単語の語感(なるべく音が自然に流れるものを選ぶ)、文章全体を貫く音感(聞いて、耳に心地よいこと)などなど点検箇所は多い。当然、詩的許容(Poetic License)、創作的許容(Artistic License)を求めることになり、よって、作文の先生や新聞の編集委員会からの駄目出しは増える —— 創作効果のために文法規則を逸脱しようというのだからごもっともな話である。その逸脱は、多くの日本人の国民的性格と学校の国語教育では良しとしないので、多くの人に其れは違和感として印象が残る。
 手近な辞書で『灰汁(アク)』をひくと、最後に其の違和感についての説明がある。程度により、其のアクの中に、つまり違和感の中に個性、いわゆる文体の核心部分が潜んでいるのが想像できる。

 学校の作文で習う規則や新聞が採用する日本語、ヘミングウェイが説明文で使う平文などは、正に間違いなく事象を伝達するための(省略を最小限に留めた)手法で、初期の文学表現ではありがちだが、其れが味わい深い情緒を表現し得るかというと個人的には却って難関で、ハードルと言うより棒高跳びのバーに思える。

 

【Gary Lewis & The Playboys - Everybody Loves A Clown】

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