『省略』に関わる命題 —— 長篇は構成力の果てに結末を見るが、短篇は、それに加え「その結末を手前に引き寄せる」というもうひと手間が求められる —— つまり、それが省略という技法。
作家・本間祐は言う。
ホンジュラス生まれの作家・アウグスト・モンテローソの『省略の手法』の先に現れたもの(全文たった一行の作品『恐竜』) —— 『目が覚めると、まだディノザウルスはそこにいた(安藤哲行訳)』。
「ここで目覚めたのは誰か?」
「なぜディノザウルスは、まだそこにいたのか?」
「この後、ディノザウルスは、どうなるのか?」
定型詩である俳句に対し、これは不定型の言わば究極の散文詩なのか? これが成功する条件は感受性の領域にあるのか、それとも単に方法の問題か?