昔、ラモス瑠偉さんがヴェルディのヘッドコーチをしていた頃の話だ。
普段、瑠偉さんは試合中にベンチから出ることはなかったが、ある日は違った。
その日は、ベンチから出て、左右動き回り、選手に大声で檄を飛ばした。知り合いのクラブ・スタッフも普段無いことなので不思議に思ったそうだ。
ラモスさんには、試合が終わるまで、誰にも明かさなかったことがあった。実はその日、ブラジルで母上が逝去されていた —— それを明かせば、みんなが急いでブラジルへ行けと気を使うのがわかっていたからだろう。
だから、母のためにも、その日の試合は負けるわけにはいかなかったに違いない。