夏。
午睡の夢。
大汗をかいて目覚める。
傍らの時計を見れば、昼寝に費やした時間は小一時間ほど。短いながら、不思議な次元を生きたようだ。
*
きみの肌の色はぼくと違って、スペインとインディオのハーフ・ブラッドらしいカフェ・オ・レ色。
きみは、その豊満な褐色の太ももを作業台代わりにしてハバナ葉の葉巻を巻いていた —— まだ、きみの体温が残っているよう。その巻き立ての一本をぼくに手渡しながら、
「お昼、何か作りますか?」なんて日本語で聞いてくれたりする。
傍らの開け放った窓から、レースのカーテンを大きく揺らして、熱く湿った南風が吹き込んでいた。
あれはきっとカリブの風だったのだろう。
遠く、街の喧噪も聞こえていた。