きみの靴の中の砂

願わないことは決して実現することはないのだから...




 自作のスカートを見ながら、
「そろそろこれも季節外れね」と水口イチ子が言う。

 それはこの夏、きみに一番似合っていた。

「家の中ならまだ平気だよ」とぼく。
「それとも、こんなのを一年中着ていられるような暖かい国で暮らすとか...」とイチ子。
 それはなかなかいいアイデアだと思った。少なくとも、願わないことは決して実現することはないのだから...。

 朝からの曇り空が次第に明るくなる気配。

 ぼくはイチ子を誘って、腰越か稲村ヶ崎までサイクリングに行こうかと思いはじめていた。



【The Left Banke - Walk Away Renee】

 

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