1980年。
ぼくの古いワーゲンのバンにはラジオしか付いていなかったから、好きなシティポップを聴きたければラジカセを持ち込むしか方法はなかった。
エアコンのないのもみんなは笑ったけれど、それは開け放した窓から吹き込んでくる海風の涼しさを知らない者の言うことだ。
みんなはボードをぼくのバンのルーフキャリアに乗せてしまうと、それぞれにエアコンのある他の仲間の車に乗り込んでしまい、バンの中は、いつもぼくとイチ子のふたりっきりだった。
【Kiyonori Matsuo - Moonlight Rendezvous】