きみの靴の中の砂

文章のクォリティ

 

 

 戦後、大学で第2外国語としてドイツ語を選択した学生は、テキストにトーマス・マンを当たり前のように使った(今でもそうかもしれない)。手助けの日本語訳は、判で押したように新潮文庫にあった高橋義孝先生の翻訳を使ったはずだ。
 先生を有名にしたのは、実はそれ以外にあって、日本酒を非常に愛されたことと、それにまつわるエッセーを沢山残されたことだ。

 ここ数年、本の整理、廃棄を進める中、飲食に関する書籍のそれを忘れていた —— その分野の本は、書斎ではなく、食堂に置いてあったためで、昨日、やっと着手した(モタモタしていては人生の時間がなくなる)。それらは概ねエッセーかレシピで、整理方法は、まず目次を見て興味をひいた部分の冒頭を読み、今再読したい思ったら合格、そうでない場合は敗退となる。

 最初に手に取ったのが、件の高橋先生のエッセー集だった(過去二回は読んだかもしれない。もう一度通読したいと思えたので勝利!)。

                    

 未読の人にその部分を読んでもらうと、内容の深さから筆者が老年なのは推測できるが、文体は実年齢より若く、フレッシュ。文章のクォリティーは、このようにありたい。先生は1913年生まれ。

 

 

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