きみの靴の中の砂

多少のアクも味のうち





 昔から友だち作りに『浅く・広く』を目差したことはない。それは、付き合いが煩わしくなるのを嫌ったわけでは毛頭なく、卒業したり職場が変わったりする度に関係が断ち切られそうな人と必要以上に絡む理由を見出せなかったからだ。必然として友人の頭数は多い方ではない。結局、長く関係の続けられそうな厳選された人達だけが出汁の旨味のように煮出された ------ たまに取り除きそびれたアクのような人が表面に浮いてきたりもするが...。かつて、料理人の友人が『多少のアクも味のうち』などと変なアドバイスをくれたので、それが今も微妙に選択の判断を優柔不断なものにしている。まあ、古希にも達すれば明解な判断もできようという期待もあるのだが、杜甫の言うように『人生七十古来稀なり』 ------ これは今から千四百年くらい前の実態で今は人生七十は人生九十に言い換える必要があるだろう ------ ということなら、その判断を下せられるようになる前に冥土と現世を隔てる河の渡河作戦に招集されてしまうかも知れない。




【Kris Fuchigami - Can't Take My Eyes Off You】

 

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