きみの靴の中の砂

六月初めの晴れた土曜の午後





 それは、狭まったふたつの長尾根の間に渡された橋だった。下は深い谷。長い時間をかけ、隆起と浸食により刻み込まれたようだ。
 橋は歩いて一分ほどで渡りきれるが、橋が架かる以前 ----- 随分昔のことだ ----- は、谷を降り、沢を渡り、急斜面を登り、きっと一時間以上かかったことだろう。

 梅雨入りも近い六月初めの晴れた土曜の午後、いつエンジンが動かなくなるかも知れない、古いアルファ・ロメオで出かけたドライブの道すがらのこと...。




Cliff Richard / Angel


 

最新の画像もっと見る

最近の「『ノート(Cahiers)』或いは、稿本『北回帰線の南』から」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事