ブーゲンビリアが咲く島の入江の奥に、今はもう朽ちて廃屋になってしまったボートハウスがあって、かつて盛んだったというシャコ貝採りの家族が暮らした日々が偲ばれます。
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浅い入江の海底が露出するという、年に一度の夏の大潮の日におこなわれる浜祭り —— 合図を待ち受けていた大勢の島人達が我先にと海に降り、名物のシャコ貝や潮だまりに取り残された魚を手づかみで採り合い、それぞれに岸辺で塩焼きやスウプ煮にして、食べて呑んで大騒ぎで時を過ごすのだといいます。
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祭りのあとの木炭がらなどが散らばる小径から —— その日知り合ったのか —— ふたり連れの男女の楽しげな会話も聞こえてくるではありませんか。