きみの靴の中の砂

小壜





 ホテルの朝。

 客を迎え入れ始めたばかりの食堂でひとり、早々と朝餉を済ます ----- このところ、めっきり洋食に手が出なくなった。

 テーブルの上に調味料の小壜がふたつ。

 近からず、遠からず ----- 先週までのふたりの距離感が、目の前のこのふたつの小壜のようだったら...。
 でも、もう今はなにもかもがもとへは戻らない、冬の朝六時半。

 今朝は寒そうと言いながら、見知らぬ次のふたり連れが食卓を選び始めている。




【The Marvelettes / When You're Young and in Love】


 

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