朝の雨が上がって、薄日が差し始めていた。 庭のテラスに続く縁側のガラス戸が開け放たれる音が遠くで聞こえる。 「チューリップも、もう見納めよー」と呼ぶようなイチ子さんの声。 洗面所の窓から庭を見遣ると、さっきまでの雨の雫が至るところで乱反射している。