小澤書店版『小沼丹作品集 全五巻(1980)』を書棚から久し振りに持ち出してきた。
小沼丹の作家としてのデビューは三十代半ばで、昔のこととしても早い方ではない。英文学を大学で教えていたこともあり、今風には兼業作家と言うのだろう。本人がどちらを本業と思っていたかは、生憎、文献には見あたらない。
さて、その小澤書店版作品集は執筆年代順に編集されていて、一巻ごとに彼の年代的な作風の推移を見ることができる。
第一巻より、やはり最終巻、五十代以降に執筆された作品群の文体が際立って上手い。井伏鱒二を師と仰いだ程だから、中年以降の文体の醸し出す雰囲気は師匠に多少似かよってはいるが、そこに長い間生業としている英文学のテイストがあって、師の文体と比べると大分モダンな感じがする。その辺りが気持ち良く、気に入っている理由かもしれない。
作品集第五巻に収められた短編『エッグ・カップ(昭和五十三年・講談社刊『木菟燈籠(みみずくとうろう)』所収)』を、今日、しみじみと二回読んだ。
Peter Paul & Mary / Early Morning Rain
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