きみの靴の中の砂

海鳴りを聞かずに過ごす午後

 

 

 プレゼントをひとつ買うために、初めは藤沢か鎌倉へ行こうと思っていた。でも結局、元町に来てしまった。

                    

 プレゼントは、まだ決まらないけれど、ゆっくりランチをしながら考えてもいいかもと思い、昔懐かしい海員閣のある狭い路地の入口を探しはじめていた。

                    

 『記念すべき日かもしれない。あるいは、記念すべき日になるかもしれない日、か...』 —— 昔観たテレビ・ドラマのナレーションの一節が、不意に口をついて出る。
 
 一瞬、人気の途絶えた表通り。
 
 久し振りに海鳴りを聞かずに過ごす午後。
 
 

 

【F. R. David - Words】
 
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