きみの靴の中の砂

初午(はつうま)

 

 

 昼もだいぶまわった頃、初午だから佐助稲荷に散歩がてらお参りに行こう、とイチ子に誘われ、多少重い腰を上げることになった。

                    

 佐助ヶ谷(さすけがやつ) —— 貴人伝説のある隠里の谷筋は、着けば早くも陽の落ちかかる時刻。参拝客の足も絶えはじめていて、小さな境内はひっそり。冷たい風が谷戸を吹く。

 ぼくが石段を上がった奥社へ参っている間、イチ子は下の社務所で陶製の小さな稲荷神を買い、それを拝殿にかしこまって奉納しているのが見える。

                    

 帰り道。どこかで稲荷寿司を買おうとイチ子が言う。

 

 
 
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